表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は悪魔かもしれない  作者: カラフルなステンドグラス
第一章 王宮にて
4/25

4 昼食後

 エスぺは、説明の後半を利用することを瞬時に決めた。


「魔力が、二十五、ですか」

 ゆっくりと、ことばを区切りながら尋ねる。


「残念ながらそうだ。マス(一般市民)でも五十はあるだろうから、繰り返すが、極めて低い。予想で悪いが、その分をアビリティが補うのだろう」

 シルバーがはっきりとした口調で告げる。


「わかりました。自分のことを知ることができ、感謝いたします」

 エスぺは残念そうな顔をしてそう答えた。



 ターバンの案内で客間に戻る。


 正しい応対だっただろうか。エスぺにはそれがわからない。もっと適切な態度があったかもしれない。


 行きは遠いように感じたが、帰りはすぐに客間に着いてしまった。途中の光景を覚えていないほどに。


 エスぺはふかふかのベッドに横になって、気持ちを切り替えて今後のことを考える。


 アビリティは知られてしまった。これはどうしようもない。ただ、魔力が二十五だけあって、あの場にいる二人の反応は冷ややかだった。


 陽が高くなったせいで窓からの陽射しはなくなったが、変わらず、小鳥の声は遠くから聞こえてくる。朝と同じ小鳥の声だ。


【えいゆう】からどのようなスキルが派生するのかがわからない……こればかりは考えてもしかたがない。覚悟していたことだ。



 なんとかなるだろう。



 ドアをノックする音が聞こえ、ポリーニがお辞儀をして入ってきた。


 エスペは起き上がった。


「昼食の準備ができました。いつもの部屋にお越しください」







 ポリーニの後について食堂に座る。


 給仕をしてくれるのも昨日と同じポリーニだ。やはりちらりとエスぺを見て皿を置く。


 ご飯の上に、野菜、獣肉を炒めて白いあんとともにかけてある。そしてスープ、サラダ。


 食後には紅茶とケーキを出してくれた。


 部屋に戻ると、急な眠気に襲われた。耐えきれずにふかふかベッドに横になる。


 遠くから、かすかに小鳥の声が聞こえ……


 #


 #


 #



 目が覚めると、朝だった。あのまま眠ってしまったようだ。なんだかまだ頭がぼんやりする。ふと横を見ると、昨日と同じようにポリーニが椅子に座っていた。


「おはようございます。()()()()()()()()()

 尋ねながら、ポリーニはじっとエスぺの瞳の動きを観察した。


「おはようございます。とてもよく眠れました。まだぼーっとしますが。昨日の昼から寝てしまったようで、疲れていたのかもしれません」


 ペリエのことばに、そうですね、ここに着替えを置いておきます、朝食は昨日の部屋ですので、身支度ができ次第お出でください、そう答えて部屋を出て行こうとする。


 ポリーニはドアのところで立ち止まり、振り返ると、


「お疲れのところ申し訳ありませんが、今日は【けんせい】の方がいらっしゃって、稽古があるそうです。朝食はいっぱい食べてくださいね」


 そう言ってドアを閉めた。


 窓からの陽射しはまぶしく、遠くから小鳥の声が聞こえる。


 エスぺは目をこすりながら、ゆっくりと伸びをしたあと起き上がった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ