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英雄は悪魔かもしれない  作者: カラフルなステンドグラス
第三章 タキアからの冒険者
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27 指輪 ①

 さすがに同じ宿に泊まるのはどうかと思う。しかし、使い勝手がわかっているから、その分楽である。

 自分がいなくなったあとどんな様子か、王宮ー協会ー宿と繋がっていると思えば、確認してみたくもなる。

 ということで、メリトは一泊だけ泊まってみることにする。もう宵の口で、これから適当な宿を探すのが面倒くさい、早く休みたいというのも本音だ。今日は魔の森を駆け回ったり、緊張したりで疲れてしまった。それに輪をかけて変身を長時間維持するのは思った以上に苦痛だった。

 幸い、宿「王都コレガーレ」は協会から近い。


 奥の食堂では早い夕食が始まっていた。宿の主人に一泊をお願いすると、今日の朝引き払った部屋に案内された。今日空いた部屋が埋まらなかったということらしい。


 賑やか笑い声が響く食堂は変わらずである。一人の夕飯を終えたあと、部屋に戻って、変身を解く。身体がだるく、疲れ切ってしまった。ポーチから指輪を取り出して眺めながら硬いベッドに横になった。

 明日はこの指輪の確認をしよう、そう思っているうちに寝てしまった。



 翌日、朝起きるとすぐに変身をかけた。身支度を整えて朝食を取ったあと、背負い袋を背負って宿を出る。


 宿の様子は特に変わったところはなかった。ソレッラがことばどおり消えてしまい、おそらく被疑者として疑われていたであろうエスペが死んだことが伝わっても、ここの宿はいっさい変わるところはないのだ。当たり前といえば当たり前のことだが、メリトはこころの中で、とても良いことだと思った。そして、王宮もそうであるようにと静かに祈った。


 お世話になったナイフやピッキング道具を購入した大きな道具屋は朝にもかかわらず、すでに開いている。冒険者相手の商売だから、朝も早いのだろう。メリトは中に入って魔道具のコーナーに向かうと、そこの店員を捕まえて指輪を見せた。この間とは違う店員だ。


「この指輪ってどんな魔道なんだ?」

 知っていれば、情報料がこれだけかかるがいいか、と聞いてくるだろう。


 いきなり指輪を見せられた店員は面食らっていたが、指輪を見ると目の色が変わった。ためつすがめつ眺めたあと、単眼鏡をかけて見始めた。


「これは魔道具じゃないね。装飾品か、宝具か、宝具のニセモンか、どれかだろう」

 そう店員は言って、これぐらいの情報じゃあ金は取れないな、とつぶやいた。

 うーん、と考えたあと、

「この指輪は、俺にも実はよくわからない。だからいい情報屋を紹介するよ。紹介料は3ゴールドだ。今後も使える情報屋だから高くないはずだ」

 そう言って、指輪を返してくれた。

 メリトは高いとは思ったが、3ゴールド払って情報屋を教えてもらい、そこに行くことにした。


「わかってると思うが、そこの情報屋を他人に教えるなよ。店の親父に、この店をどこで知ったと聞かれたら、カラスに聞いたと言え」


 別れ際にそっとささやかれてメリトはうなずく。合言葉が必要とは、かなりヤバめのところなのだろう。


 教えられた店、情報屋は、小さな小汚い、役に立ちそうもないガラクタを扱っている骨董屋だった。ほんとうにこの店でいいのか? と思って店の中に入ると、老年に差し掛かる男が奥に座っている。白髪と少し皺の目立つ顔立ちの男だった。


「指輪を見てくれないか」

 メリトがそう声をかけると、売り物か? と尋ねられた。

「いや、売り物ではない。いわくがありそうなので教えてもらいたいんだ」

 そう言うメリトに、この店のことを誰から聞いた? と尋ねられので、ほんとうにこのやりとりをするのかと思いながら、

「カラスからだ」

 と答えると、オヤジは、おまえさんの名前は? それ、見せてみろ、そう言って手を出した。


 メリトだ、そう言って、指輪を渡すと、一目見るなり単眼鏡を出して見始めた。


 何者だろうと思って、メリトはこのオヤジに鑑定をかける。

 輪は一つ、大したアビリティではないようだが、文字は読めない。博識な老人か、特殊な鑑定持ちか、いや、鑑定持ちなら、文字は読めるはずか……


「この指輪、どこで手に入れた?」

 単眼鏡で指輪を見ながらオヤジが聞く。

 メリトは、魔の森で拾ったんだ、と答えた。嘘をついたことにはならないだろう。


「情報料は20ゴールド。若造なので負けてやる。払えるか?」

 つっけんどんなオヤジのことばに絶句してしまった。


 え、そんなに高いのか?







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