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レジェンドオブアストラル  作者: ゆきみだいふく
プリンセスナイト
13/59

プリンセスナイトとギルドホーム

 それから一日後。

 セレナの素材集めも終わらせて思ったよりも早くの素材が集まり、ギルドホームを建てる準備が整った。あとはギルドホームを建てる場所を探すだけとなった。

 街の中心はすでに、有名ギルドなどがギルドホーム建てており、ギルドホームを建てる場所はなく。王都の端近くまで歩いたところで、足を止める。

 中心の広場やNPCの店を利用するには少し不便なところはではあるが。


「なかなか、良い場所が見つからないね」

「そうだね。街の中心は有名ギルドが占めてるからね」


 ヒナタとユキは話をしながら、どこか良さそうな場所にギルドホーム建てられる場所を探す。

 しばらく歩いているうちに、シロウは人通りのない道の奥を見つけた。

 ひっそりと存在する隠れ家的雰囲気を醸し出していた。


「騎士君、どうしたの?」

「なんか、雰囲気が良さそうな場所を見つけて」

「本当だ。ここ……いいかも」

「確かに、ここいいよね。騎士くんナイスだよ」

「なかなか雰囲気が良さそうですね」

「なんだか秘密基地みたいでいいよね」

「ふふ、確かにそうね」

「いいと思うぜ」


 たまたま、シロウが見つけた場所は全員に好評みたいだ。


「騎士君、ここでいいかな?」

「うん、いいんじゃないかな」


 聞いてくるヒナタにシロウも賛成だ。


「それじゃあ、マツリちゃんにメッセージを送るからちょっと待っててくれるかしら?」

「「はーい」」


 リサはメッセージをマツリに送ると、ものの数分でやってきた。


「お待たせッス! なかなか良さそうな場所ッスねー」

「ふふ、そうでしょう」

「それじゃあ、早速、とりかかるッス!」

「なあ、マツリどれぐらいかかるんだな?」

「そうッスねー、三日ぐらいはかかると思うッス」


 レメが聞いてみると三日はかかるみたいだ。


「マツリさん、ギルドホームが完成するまでの間を見学しててもいいですか? 邪魔はしないので」

「もちろん、いいッスよ!」


 見学の許可をマツリから得ることができた。シロウは興味があり、どう完成できるのか楽しみだった。

 着工から三日、その間はシロウと他の皆も見学しつつも手伝えることのできるところは一緒にやっていたりした。

 差し入れをしつつ、ギルドホームがどんどん完成していく姿を間近で見ていた。

 そして完成の日。


「これで完成ッス!」

「やったあああーーーっ!」


 マツリの完成宣言にヒナタが高くジャンプして喜びを表現する。

 細かいところまで色々と手を加えて、やっとシロウ達のギルドホームが完成した。ギルド【スターライト】の本拠地である。

 出来上がったのは隠れ家的雰囲気にあった洋館で、周りには蔦が絡んでいるところがこだわりポイントらしい。


「早く入ろうよ! 私が一番乗りー!」

「ずるいぞー! オイラが一番乗りだー!」

「お二人とも待ってください。私も」

「まあまあ、三人とも。四人で一緒に入ろうよ」


 ヒナタ、レメ、セレナ、ユキの四人は我先にと玄関へと向かう。普段落ち着きがあるユキとセレナまで、珍しくはしゃいでいる。

 普段クールなセレナが見せない素顔を見せて、どこか子供っぽい感じがした。付き合いがまだ短い為、セレナのことはまだ全てを知っているわけではない。

 シロウがセレナの知っていることは、育ちの良さと食いしん坊なところでまだまだセレナのことはよくわかっていなかった。


「あの子たちのように、シロちゃんはしゃがないのかしら?」

「僕がわーい、やったーって言えばいいですか?」

「ふふ、キャラじゃないわね」

「うーん、キャラじゃないねー」


 完成したことに喜びはあるが、ヒナタ達が喜んでいるのを、見ているのがシロウは好きだった。


「ほらほら、騎士君達も早くおいでよー!」

「私達も行きましょうか」

「うん、そうだね」

「今、行くよー」


 ヒナタに促されて、シロウは笑いつつ玄関の扉をくぐった。中は広く、二階へと上る階段が左右の壁にあり、真上には派手さはないが趣のあるシャンデリアがぶら下がっていた。


「このギルドホームはギルドメンバーとメンバーが許可登録した者しか入れないッス。試しに自分をギルドウィンドウの許可リストから、外してみるッス」


 マツリに言われた通りに許可リストから彼女の名を外すと、マツリが玄関外へと強制転移された。

 再びリストにマツリの名前をまた入れると、また玄関に入ってこれるようになった。


「ホーム内にメンバーがいない時には許可されてても誰も入ってこれないッス」


 防犯対策はバッチリだ。街中にギルドホームを作るのが一般的だが、中には変わり者がフィールドに作るギルドもある。


「一階はリビングや応接間、キッチン、食堂、衣装部屋などになるッス。地下は保管庫で共有の倉庫と金庫はこちらになるッス。二階にはそれぞれの個室が一応十部屋、あと談話室。その上は屋根裏部屋になってるッス。離れには工房があるッスよ」


 マツリが人通り説明してくれる。

 二階に上がると十二畳ほどの広さの個室があった。マツリのサービスなのか、それぞれ机と棚、ベッドが取り付けられていた。


「ありがとうございます。予想以上の出来ですよ、マツリさん」

「へへ、それならよかったッス。こちらこそありがとうッス!」


 シロウがお礼を言うと、マツリは少し照れていた。

 マツリに約束していた報酬を渡して、シロウ達【スターライト】はついにギルドホームを手に入れた。


「そうだ! ギルドを結成してホームを手に入れたわけだから、記念にパーティーをしようよ!」

「あら、それはいいわねー、ユカ」

「私も賛成です!」

「オイラも賛成だぜ!」

「いいですね!」

「私もいいと思います」

「僕もいいと思います」


 ギルドホームを手に入れた記念ということで、ユカがパーティーを提案した。

 全員に反対意見はなく、賛成ということでパーティーを開催することになる。


「よかったらマツリさんもどうですか?」

「自分もいいんッスか?」

「ええ、もちろんよ。マツリちゃんにお礼をしたいし」

「自分は頼まれてやっただけッスよ」

「いいのいいの。気にしないでマツリちゃん」

「ではお言葉に甘えて、参加させてもらうッス」


 パーティーの誘いにマツリも参加することになった。


「私は【料理】スキルを持っているけど、他に誰かいるかしら?」

「僕、持ってます」

「私も持っております」

「私も持ってます」


 リサは【料理】スキルを持っていて、他はシロウにセレナ、ユキが【料理】スキルを持っているようだ。

【料理】スキルを持っていないのは、ヒナタとユカだ。


「調理器具はあるから大丈夫だとして、材料などがないから買い出しに行きましょうか」

「「了解です」」


 全員で調味料や材料などの買い出しを出た。NPCやプレイヤーがやっている商店街エリアにやってきた。

 全員で手分けして材料や調味料を買っていく。


「へへっ、料理が楽しみだぜ」

「だね! リサさん達何を作るんだろうねー?」

「お姉ちゃんの料理は美味しいから楽しみにしてて」

「たまに自分もお呼ばれするッスけど、リサさんの料理は美味しいッスよねー」


 レメ、ヒナタ、マツリは、楽しそうに話を咲かせる。


「ふぅー、こんなものでいいかしら?」

「大丈夫だと思います。食べきれなかったらセレナとレメが食べてくれるので」


 食べきれなくてもセレナとレメがいるので大丈夫だろう。レメは小さいのにいっぱい食べるのだ。

 毎度不思議に思う、小さいな体なのにどんだけの量が入るのだと。


「シロウ様は私のことをなんだと思っているのですか」

「んー、クールで腹ペコキャラ?」

「……否定できないのが悔しいです」


 持ち前のジト目を向けてくるセレナだが、否定できないのが悔しいみたいだ。

 セレナは食いしん坊なところが恥ずかしいらしい。シロウは別に恥ずかしがる必要はないと思う。


「私はいいと思うよ。いっぱい食べてくれる方が嬉しいし、喜んでくれるなら作り甲斐があるよ」

「そうね。ユキちゃんの言う通り、別に恥ずかしがる必要はないわよ」

「僕はセレナらしくていいと思うよ」


 三人はセレナをフォローする。セレナらしくていいと思うのだ。

 買い出しを終えて、ギルドホームに戻ってくる。


「全員、これを着てくれるかしら?」

「私とお姉ちゃんで作ったんだー」

「そういえば、僕用事を思い出しました」

「自分も用事があったので、自分も……」

「騎士くんとマツリちゃんどうしたの?」

「二人ともどうしたんだろうね?」

「なんでしょうか?」

「ああ、そういうことか……」


 シロウとマツリは嫌な予感がして逃げようとする。何も知らないユキ、ヒナタ、セレナは不思議に思う。

 何かを察してたレメは二人に同情的な視線を向けた。


「ふふふ、二人とも逃がさないわよー」

「お着替えしましょうねー?」

「「ヒェッ!」」


 逃げようとするシロウとマツリを捕まえて、怪しい笑みを浮かべたリサとユカは二人に迫る。


「はぁー、わかりました。自分で着替えるので勘弁してください」

「わ、わかったッスから! 自分で着替えるッス!」

「ふふふ、逃げちゃダメだからね♪」

「楽しみにしてるねー♪」


 げんなりしつつ、二人は仕方なく着替えることにするのだった。服を渡された、ユキ、ヒナタ、セレナ、レメの四人も着替えた。

 全員着替えを終えて戻ってくると、シロウとマツリは死んだ魚の様な目をして、ユキとヒナタ、セレナの三人は少し恥ずかしそうにしていた。


「みんなとても似合っていて可愛いわよ」

「うんうん、みんなに似合う服を作れてよかったよー」


 エプロンはまあいいとして、シロウは今ひらひらの可愛い服に着替えさせられた。

 シロウは自分の容姿が可愛い系なのは自覚していたし、身長も高いとはいえなかった。

 リサとユカが可愛いものが好きなのは知っているし、ヒナタ達と出会う前は何度か二人に何着も試着を試されたこともあった。

 みんなが楽しめるなら、別に女装するなど抵抗はないが、リサとユカが迫ってくるのは引き気味で少し恐怖がある。


「なんで僕まで……」

「ううっ、自分にはこういうのは似合わないッスよ」

「騎士君とマツリ似合ってていいじゃん!」

「あはは、なんだか二人とも大変だね。でも可愛いくて似合ってるよ」

「シロウ様とてもお似合いです」


 みんな似合ってと褒めてくれる。ヒナタは普通に褒めて、ユキは苦笑いしつつも褒め、セレナはクールな表情ではなく薄っすらとながらも微笑んでいる。


「それじゃあ、料理を始めましょうか」

「了解です」

「わかりました」

「承知しました」


 料理に取り掛かり、買ってきた材料をインベントリから出して始める。

 ヒナタ達は皿を受け取ってせっせとテーブルに並べていく。

 時間が強って料理が完成すると、リサ達は料理を並べていく。


「おおっ! 美味そうだぜ!」

「うわあっー、美味しそう!」

「美味そうッス!」


 料理が完成してレメとマツリは目を輝かせて、今にも涎を出しそうな勢いだった。


「みんな良い? ギルド結成とホーム完成を祝ってかんぱーい!」

「「かんぱ〜い!!」」


 ヒナタが飲み物を持ち、パーティーの宣言をする。


「美味しいぞー!」

「美味しいッス!」

「……」


 レメとマツリは美味しそうに食べていて、セレナは何も言わずに黙々と食べている。


「お酒を飲みながらみんなの可愛さを肴にするのはいいわねー」

「そうだねー」

「あはは」


 リサとユカ言動にユキはただ苦笑いになる。この場の雰囲気を楽しみつつ、シロウも料理を食べながら眺めていた。

 みんながパーティーを楽しんでいる頃、ヒナタは一人外に出ていた。


「こんなところにいたんだね。ヒナタ」

「あっ、騎士君」


 パーティーを楽しんでいる最中に、ヒナタの姿がないことに気づいたシロウは、ヒナタを探しにきた。


「騎士君はパーティー楽しんでる?」

「うん、楽しんでるよ」

「へへへ、それならよかった。騎士君……私の『アストラル』での願いを聞いてくれない?」

「ヒナタがいいなら、ぜひ聞かせてほしいな」


 ヒナタが『アストラル』での願いを聞かせてくれる。


「あのね。 私の願いは世界中の人を助けて一人でも多く笑顔にすること!  ……変かな?」

「すごく壮大な願いで、とってもヒナタらしいよ」

「実はね……時々人に笑われるんだ。この願いって、そんなに変なのかな……?」

「全然変じゃないよ。笑う人たちなんて気にせずに、ヒナタらしくやればいいさ。それに僕はヒナタの頑張るところとか困ってる人を助けたりしてるヒナタのそういうところ好きだよ」

「えへへホントに? ありがとう騎士くん! そう言ってくれて、すっごく嬉しい! 聞いてくれてありがとね! なんだか騎士君に話してよかったかも」

「それならよかったよ」

「みんなのところに戻ろうか」

「うん」


 先にヒナタが戻っていく。

 ヒナタの願いは壮大な願いでとてもヒナタらしい。中には無理だとか、できないとバカにする者もいるだろう。それでもシロウはヒナタの願いを応援するのだった。


 To be comtinued

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