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第33話 マギーレウスからの素敵なプレゼント!?

「あれ……ここは?」


 気づけば俺は見知らぬ場所にいた。見渡す限りの大草原、そして澄み渡るほどの青い空。


 俺は確か王宮にいたはず。そして疲れて寝ていた、時間も夜だったはずなのに。


「お疲れ様、スタンリー。よく戻ってきたね!」


 女の子の声が聞こえて俺は振り向いた。


「マギーレウスじゃないか、もしかしてここは夢の中?」

「そうさ。悪いけどまた召喚してもらったよ」

「勘弁してくれよ、せっかく寝ていたのに」

「だから肉体は眠っている状態だから安心してよ」

「……で、何の用だ?」

「もちろん君の偉業を称えるためさ、生還おめでとう! そして新ダンジョン踏破おめでとう!」

「あぁ、ありがとう」


 マギーレウスもちゃんと俺達の戦いを見届けていたのか。でもどうせなら、現実世界で祝ってほしかった。


「いやぁ、僕の目に狂いはなかった。さすが【アイテムボックス】に選ばれた者だけあるね。例の種もちゃんと持ち帰ってくれたし、数々の奇跡も起こしてくれたし。僕は大満足だよ!」

「でも俺一人の力ではどうにもできなかった。優秀な仲間たちがいたおかげさ……」

「なるほど。君は相変わらず謙虚だね」


 マギーレウスが俺のすぐ目の前までやってきた。そして俺の顔をじっと見つめる。


「……冒険者、やめるのかい?」

「え? どうしてそんなこと……」


 マギーレウス、まさか俺の心まで読めるのか。どう返事をしようか。


「君の顔色からすっかりやる気が消えているよ。昨日までは、ギラギラと燃えていたのに」

「……正直に言うと、目標がなくなってね」

「おいおい、君には【アイテムボックス】があるじゃないか。これからもっといろんな奇跡を起こせるよ」

「そうだけど……一生遊んでいけるくらいの金をもらったからね。このままどこか安全な場所で、のんびり暮らすのも悪くない」


 マギーレウスも反論する気がなくなったのか、ちょっと悲し気な顔だ。


「……君の口からそんな言葉が出るだなんてね」

「ごめん。俺だってこんなことを言いたくなかった。だけど俺は、ただの【アイテムボックス】持ちに過ぎないからね」

「ただの【アイテムボックス】持ちが、ティアマットを倒せるのかい?」


 マギーレウスは痛いところを突いてきた。


「だから、それはみんなの協力があったおかげで……」

「まぁ、いいさ。君がそういうなら僕は別に止めはしないよ」

「そうか。ありがとう、それじゃ好きにさせてもらう」

「アーミスダル帝国」


 マギーレウスがボソッと呟いた。


「……なんだって?」

「海を挟んで、東に1000kmほど行けばアーミスダル帝国がある。君も知っているだろ?」

「あぁ、世界最大の面積と人口を誇る帝国だな」

「その帝国の周辺には、まだ未踏のダンジョンがたくさんあるらしいよ。一つのダンジョンにつき、踏破された際の報酬は金貨千枚はくだらない」

「そうか……」


 何を言い出すかと思ったら、そんなことか。正直そんなことでも俺の心は揺るがない。


「悪いけど、興味がない。金貨千枚とか今更貰ってもな」

「でも、ほかの仲間たちはどうかな?」

「ほかの仲間たち?」

「『白竜の翼』のメンバー達は行くだろうね。世界最大の帝国から実力を認められれば、間違いなく世界の英雄になるから」

「……俺には興味がないが」

「タウナ達から頼まれても、断れるかい?」

「……」


 何も言い返せなかった。どうしよう、そんなことまでは考えてもいなかった。


「因みに『地下迷宮タウロス』より深いダンジョンや、Sランクモンスターがうようよいる凶悪ダンジョンもあるって話だ。怖いよねぇ、でも君の力さえあれば……」

「タウナ達は行かないよ。さすがに危険が大きすぎる」

「ふふん、君のその考えも甘いよ。あの人達、君が要ればどんな危険なダンジョンだって踏破できるって信じてる」

「買いかぶり過ぎだよ、俺にそこまでの期待をされても」

「いいから自信を持ちな。君がその気になれば、Sランクモンスターが何体襲い掛かっても対処できるよ。僕だって信じてるから」

「それはありがとう。でも俺は……」

「ダンジョンをそのまま放置すると危ないんだよ」


 突然不安をあおるようなことを言い出した。


「……一体どういうことだ?」

「ダンジョンを踏破することの意味は、冒険者が単に名声や栄誉を得るためじゃない。ダンジョンを踏破しないと、ダンジョン内のモンスターが地上に出てきてしまう恐れがある」

「そ、それは!?」


 話がだんだん怖い方向へ傾いた。


「帝国周辺には未踏破のダンジョンがたくさんある。現に行方不明者や死傷者も増え続けているらしい」

「それは……なんとかしないとな」

「そうだね。君も安全に暮らしたいとか言っていたけど、どうやらそうもいかなくなるよ」

「……わかったよ。どうやら俺にはまだ仕事があるようだ」

「それでこそ男だよ! よぉーし、僕から君に最高のプレゼントだ!」


 マギーレウスが突然腕を上げた。そして人差し指を立てて、強烈な光を放った。


 思わず目を閉じた。でも何も起きない。


「……プレゼント? 何も出てこないけど……」

「目が覚めたらわかるよ。ふふふ……」


 マギーレウスが不気味な笑いを発している。俺は変な想像をしてしまった。


「おい、やめてくれ! いくらなんでも君みたいな少女を……」

「ちょっと変な誤解はしないでくれ! 僕じゃなくて別の女性だから……」

「一体誰のことを言ってるんだ!?」

「彼女は君のことが本当に好きみたいだね」

「だから誰のことを言ってるんだ?」

「ふふ、目が覚めたらすぐにわかるよ。じゃあね、素晴らしい夜を満喫したまえ!」


 マギーレウスが笑いながら手を振ると、徐々に意識が薄れた。俺は再び深い眠りに落ちた。今度こそ本当に眠ったようだ。


 でも眠りに落ちていたが、一人の女性が俺の隣で寝ているようなそんな気がしていた。

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