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第25話 宝箱と金貨を吸収だ!

 満場一致の意見に俺は安心した。分かれ道に差し掛かり、俺は右に向かって歩くことにした。


 うねうねした道を進み、しばらくするとかなり開けた場所に来た。


「なんだ……別にモンスターなんていないぞ」

「そうね。罠もないようだし、杞憂だったか」

「まだ一階層だから、そこまで心配することなかったかもな」

「いや、ちょっと待ってくれ!」


 ラーサーが突然叫んだ。


「もしかして、また臭う?」

「あぁ、この近くに宝がある。それも結構たくさん……」

「おい見ろ、あれを!」


 今度はフィガロが外を見て叫ぶ。なんと映し出された広間の奥に、多くの宝箱が並んでいた。


 そして、その横には金貨が大量に詰まった樽まで置いてある。


「これは……まさか……」

「さすがに、罠よね」


 タウナも冷静だった。そりゃそうだろう。なんといっても宝の量が多すぎる。しかもあからさまに見えるところに金貨が置いてある。


 初歩的な罠だ。金に目がくらんだ冒険者くらいしか引っかからないが、俺は一応全員の様子を見た。全員同じ意見らしい。


「通り抜けよう、さすがに怪しすぎるからね」

「ちょっと待ってよ、一個くらいなら」

「駄目だ、さっきのクリスタルの盾を見ただろ? 恐らく閉じ込められる、急いで抜けた方がいい」

「いや、取りましょう」


 フェリーナがとんでもないことを口走った。


「何を言ってるんだ? あからさまに罠じゃないか」

「大事なことを忘れているわ、私達は今【アイテムボックス】内にいるのよ」

「そうか! この中にいれば安全じゃないか!」

「そ、そういえばそうだな」

「それじゃ一旦外に出ましょう。罠が発動しても、即座にこの中に入れば大丈夫よ」


 タウナ達は完全に宝を取る気満々だが、俺は乗る気がしなかった。


 確かにこの【アイテムボックス】内に入れば安心だ。でもどんな罠かはわからない以上、一瞬でも外に出て宝に手を出したら危険だ。


 どうするべきか。


(〈アブソーブ・ゴールド〉と叫べ!)


 またこの声だ。そういえば昨日の夢で、マギーレウスから合言葉一覧表をもらったんだっけ。


 俺は合言葉一覧表を取り出した。すると、さっき言われた合言葉が早くも黄色い文字で表示されていた。


 なるほど。これが一番新しく習得した合言葉か。この文字に触れたら、効果の説明も表示されると言っていた。どんな効果があるんだ。


「なになに……おぉ、これは!?」

「どうしたのよ、大声なんか出して」

「タウナ、外に出る必要はないよ。俺がここからあの金貨を取って見せるから」

「はぁ? 【アイテムボックス】から外に出ないで、どうやって取るのよ?」

「まぁ見ててくれよ、〈アブソーブ・ゴールド〉!」


 俺はさっき言われた合言葉を叫んだ。すると外に会った金貨の山が一瞬で消えた。


「金貨が……消えた?」

「うわぁあ! これは!?」


 ラーサーが叫んだ。なんと彼の目の前に、さっきまで外にあった金貨の山が樽とともに出現した。


「嘘……本当に金貨が」

「おい、今のどうやったんだ? まるで物体を瞬間移動させたみたいだが」

「はは、いやぁ自分でもわからないよ。なんというか、一種のおまじないかな」

「まぁ、細かいことはいいわ。それより金貨が吸収できたんなら、ほかの宝箱も……」

「もちろんできるはずさ。見ててくれ」


(〈アブソーブ・オールトレジャーボックス〉と叫べ!)


 例によってまた聞こえた。さっきは金貨が吸収できた、今度は宝箱か。


「〈アブソーブ・オールトレジャーボックス〉!」


 今度は外にあった宝箱が全て消え、俺の【アイテムボックス】内に瞬間移動した。これでこの広間の宝は全部回収かな。


「凄いわ! 本当に外に出ることなく全部回収できたなんて」

「神業だぜ、全く」

「それじゃ中身を見てみましょうか、一体どんなものが……」

「待って、その前にやることがあるでしょ!」


 またもフェリーナが叫んだ。


「なんだよ、フェリーナ。宝は無事回収できたんだぜ」

「中身がわからないまま開けるっていうの?」

「あ、そういえば……」

「ごめん、そうだったわ。宝箱の中にモンスターが潜んでいる可能性がある、ラーサー!」

「任せてくれ!」


 うっかりしてた。宝箱の中にモンスターが潜んでいる可能性もある、そういう場合シーフの【鑑定】で宝箱の中身を吟味しないといけない。


 ラーサーが宝箱に手を当てた。これで中身がおおよそ判別できる。


「……これとこれと……あとこれは大丈夫だ。開けてくれ」


 ラーサーが指示した宝箱を順番に開けた。


「凄い、これはミスリルの弓か!」

「矢も大量にあるわ。フェリーナ、これはあなた専用ね」

「ありがとう。私も欲しかったところだ」

「凄いぜ。これで俺達全員ミスリル製の武具で統一されたな」

「あとの中身は……ポーションと結界石。消耗アイテムくらいか」

「ラーサー、最後の一箱はどう?」


 ラーサーは残った宝箱にまだ手を当てている。


「どうした? そんなに時間がかかるのか?」

「……これはわかんねぇな」

「わからないって一体どういうことだ?」

「俺の【鑑定】にも限界があるってことさ」


 ラーサーの【鑑定】でもお手上げということか。


「それは困ったな、どうする?」

「さすがに中身がわからない以上、開けるのは危険よ。スタンリー、その箱だけ戻しましょう」

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