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出会い

はじめまして、おいしい白菜です。

オリジナルは初投稿の作品です。なので温かい目で見ていただけると嬉しいです。

また、頻繁には投稿できません。ただ物語はだいぶ頭の中で出来上がってるのでなんとか完成させたいと思ってます。

頑張ります!


「シマ兄、王都に行ってもちゃんと手紙を書けよ!!」

「ああ、絶対書くさ。なんたってユウキの頼みだもんな!」


◇◇



「_____・・さん、ユウキさん!!」

「・・・?あれ、シマ兄は・・・?」

窓から差し込む暖かな光がまぶしい。俺がまだ眠気が取れない頭を何とか起こすと、そこは学校の教室だった。振り向いたクラスメイト全員の視線が俺に突き刺さっている。

「何寝ぼけたことを言っているのですか。今歴史の授業中ですよ。われらが戦争の神が恵みの神に勝利を収めた年は何年前ですか?」

「え、えーーー・・・100年前とか?」

「違います。およそ1000年前です」

クラスメイトの笑い声が聞こえる。しかし、その笑い声は決して暖かいものではない。まあ、なんというか。

俺は、このクラスの人からハッキリ言うと嫌われている。



◆◆



歴史の授業が終わった。


それにしても、さっきの夢___もう5年前になるのか。


5年前、俺が兄のように慕っていたシマ兄は15歳を迎え独り立ちする年齢になったのだ。15歳になったら、シマ兄は学校の成績が良かったこともあり、国を守る守護部隊(ガーディアン)に採用された。

対して俺は学校の成績は良くない上、世界的にも見て特殊な魔法使いの一族だ。魔法使いは貴重で全体の人口の5%にも満たないという。そして、一流の魔法使いなんかは尊敬され国のほうから守護部隊へのスカウトが来る。そう聞くと、特別感があってそれのどこが不満なんだ?と思うかもしれない。


しかし、そんなものは「一流」の「一軍」だけである。俺は魔法使いの一族にもかかわらず魔法使えた試しがない。要するに、魔法使いの一族というだけで実質は普通の人となんら変わりはない。どんな世界でもカーストというものは存在するのだ。魔法使いの一族は大体髪の毛が黒系統なのだが、この一族のなかでも最も魔法使いらしい珍しい純黒髪、そして目も混じりけのない黒。昔の強い魔法使いが黒髪だったこともあり、最初はそれはもう期待された。だが、まあ期待外れだったということだ。

そして魔法使いの一族は一流でないとやはり一般人の人からは気味悪がられ、周りから距離を置かれるのだ。

そんな俺に対して、シマ兄は俺のことをよくかわいがってくれた。シマ兄は俺のいい話し相手だったのだ。いや、シマ兄だけじゃない。この町には俺の親友が二人もいる。


「ユウキー!少し話があるんだ。廊下に来てくれないか?」

噂をすればというやつか。隣のクラスの俺の幼馴染が来ている。短い長さで紺色の髪の毛を切りそろっており、藍色の目が俺を見つめている。

その横にいるのはもう一人の幼馴染であるマトか。ポニーテールでまとめた真っ赤な髪がまぶしい。

「おー、わかった。今そっち行くから待ってろ」



「でなんだ?話って」

「あのな、ユウキ。その・・・」

ユートは口をもごもごさせ、なかなか言い出しそうにない。もしや、ユートの思い人マトと結ばれたのだろうか。それだったら俺は全力で祝福する。あいつの6年間にも及ぶ恋が報われるのだから。

「この前進路をどうするかって3人で話していたよな?俺とマトで、冒険者の道に進むことにした」

「は?冒険者?」


予想外の回答で、思わず素っ頓狂な声が出た。

この国では15歳になると国の都市部で働くか、村で農作物を育てるかの道を選ばなければいけない。しかし、例外として冒険者が認められている。冒険者は魔物の討伐の依頼を受け、その依頼を達成し収入を得る。でもこの村で冒険者になる人は今まで生きてきた中で知らない。何故かこの村には呪いがかかっているかのように、村の全員が村の外へ出ようとすることがないのだ。そんな中俺は、親友が幼馴染が危険な役職を選んだことに驚いた。


「そう。冒険者だよ。僕は世界を知らなさすぎだと思うんだ。学校の授業でやる世界の話も詳しくはやらない。それに王都にも行ってみたい!絶対すごいとこだと思うんだ!」

なんか、小学生みたいな回答が返ってきた。思わずあきれてため息が出る。


「お前・・・戦うのはどうするんだ?剣技なんか授業でなかったろ?それに魔法使いでもあるまいし怪我した時はどうするんだよ?」

「それは、僕の知識でカバーする。結構そこらへんに生えてる草でも包帯代わりになったりするんだよ。後、マトは親が一応兵隊だ。少しだけど剣技は習ったことがある」

「それにしたって・・・じゃあ俺もついていく!」

「それはダメだ。ユウキの親が許してくれない」


親のことを言われると俺は何も反論ができなかった。あいつらは実際の親ではないが戸籍上親なのだ。俺の母親は亡くなり、父親は行方不明。小さいころに親戚に俺は引き取られたのだ。

「少し急だけど、明日の夜に出発することにしたの。見送りしてくれる?」

マトが少し不安そうに聞いてくる。

「するよ。絶対。でもなんでもっと早くに相談してくれなかったんだよ?」

「その、準備が整ってからじゃないと絶対ユウキもついてく!っていうと思って・・・。一回、私たちユウキの親にも相談したんだけれど、聞く耳を持たずに帰されたの。だから、準備をしっかりしてもう行く直前でユウキに言うべきかなと」

「・・・そうか、あいつらにあったんだな。なんか嫌なこと言われなかったか?」

「大丈夫だったよ」

「全然。そういや、ユウキ、お前明日何かあるのか?お前の親が明日が早く来ないかなだのなんだの言ってたけど」


明日・・?明日は特に何もないはずだ。いつも通り学校に行き、帰ってきて肩身の狭い家で過ごす。それだけだ。


「あ、次の授業が始まっちゃう!とにかくユウキ、そういうことだからよろしく!」

よろしくって何をだよ、とツッコミたいのを抑え、二人の背中に手を振る。明日、何かあっただろうか。あの親に聞くしかないが、どうにも聞きずらいな。

さて、俺も次の授業の準備を___


「あれぇ?こんなところでサボりですか?真っ黒くん」

この声は。できるだけかかわりたくない相手№2(№1は現在の親)の、優等生だが性格があまりよろしくないベネットだ。同じクラスになった後、なぜかこいつに付き纏われ嫌味を言われる。

こいつには無視が一番いい。大体、もう授業が始まるから構ってられないのだ。


「無視とは酷いですねぇ真っ黒くん。サボりはいけませんよぉ、ただでさえ成績が低い君がもっと成績さげられちゃうからね!いやぁ、忠告してあげる僕は優しいなぁ。僕は何でこの時間に外にいるってのかい?それは先生に荷物運びを頼まれたのさ。僕はとっても信頼されているからねぇ」

聞いてもないことをベラベラと。ほっとこう。そう心の中で決め、教室に戻ろうとしたとき___


「あ、そうそう。君には感謝するよ。僕がもっと強く、完璧な存在になってしまうね!」

こいつがお礼をいうだなんて、気味悪い。しかも顔は悪いことを考えている顔だ。なんだか、嫌な予感がする。

「わりぃ、俺は急いでるんで」

そう言い、足早に俺はその場を去った。



◆◆


どんよりとし、灰色に染まった空を見ながら帰路につく。

家へ足を踏み入れ、できるだけあいつらに鉢合わせないようにこっそりと居間の横を通り過ぎていこうとした。のだが、

何か声が聞こえる。居間からか?

「・・・ええ、大丈夫ですよ。あいつには伝えてないので。逃げる心配はないかと。・・・いやいや、こちらがお礼を言いたいぐらいですよ。お金なんてなくてもいいぐらいです。なんていったって、


邪魔者(やくたたず)”をうちから、この世から追い出せるんですから」


!?

この家で、あの親がいう邪魔者は、俺しか指さない。そして邪魔者をこの世から追い出すということは、


俺が、死ぬ?


「そちらの息子さん、ベネットさんにうちのものが役立てるなら幸いですよ。あいつはあんだけ強い魔力を持ってるのにもかかわらず使えないので、宝の持ち腐れですからね。魔力を移す時にあいつの命は散りますが、ベネットさんは安全ですよ」

ベネット、その単語を聞いた瞬間、昼のあいつの発言を理解した。

最近、村の大人たちが魔法使いの能力を移す実験が成功しただのなんだの言っていた。それが関連しているとすれば___


要するに親が俺を人体実験し、俺の魔力をベネットに移行しようということだ。魔力は、魔法使いの一族のみが持っているとされ、その魔力を消費して魔法を使えるようになる。そして魔法の強さは筆記の成績や運動神経と直結していると専門家はみている。

つまり俺が魔力を持っているより、ベネットが魔力を持ったほうが有効活用できるだろうということだ。どうせ俺の親は俺をかばったりしない。お金と取引にとかそんなところだろう。


頭が真っ白になり、呼吸が苦しくなる。

ただ、これだけはわかる。俺の頭が警告をならしている。

俺は、この家から逃げなければ。


考えるより先に体が動いていた。傘も持たず、学校の鞄は入口へ投げ捨てる。どうせこんな家に大切なものも、居場所もなかったのだ。手ぶらで、ただがむしゃらにどこかへ向かって走った。



◆◆

「はぁっ、はぁっ・・・」

ここまで逃げれば・・・って、べつに追いかけられているわけではないのか。あたりにある草をかき分けながら、学校の近くの森を進む。

この森は昔から中に入ってはいけないと言われている森だ。おそらく、この村に住んでいる人ならだれもが知っているのでないのだろうか。

この村には何個か噂話がある。前に少し触れた黒髪の英傑だとか、森に白髪の魔女がいるとか。馬鹿げた話だが、昔から言われているのだ。特に俺が今進んでいる森がまさに二個目に挙げた魔女の話に出てくる森だ。俺も同じ魔法使いだから魔女に関しては驚きも何もしないが、少し聞いた話だとそいつは何年間も姿が変わっていないんだそうだ。その魔女は時々出てきては、どこかへ消えていくという。こんなとここなきゃよかったか?


後悔しても遅いか。マトやユートたちを頼るという手もあるが、明日出発のあいつらには心配させたくない。そのうえ、俺の命が狙われているようなものだ。あいつらにまで迷惑をかけれない。

どこか匿ってくれる場所はないのか。


「__ユウキーー!どこにいるのー!家へ帰ってきなさい!!」

っ!!あいつら、もう俺がいないことに気づいたのか。ここで見つかるわけにはいかない。

俺は、もっと森の奥へと足を進めた。


地表にでた木の根が足に引っかかり、足がもつれた。その勢いで、倒れこんでしまい膝から赤い血が下へと伝っていく。

「痛っ・・!」

その途端、さっきまで緊張状態で感じていなかった疲れが一気に襲い掛かってきた。雨で濡れた服に鉄のような重さを感じ、腕を支えきれず乾いた草に突っ伏す。だが、ふと違和感に気づいた。


「は?乾いた草?」

乾いているということは少しもここは降っていない?ただ、つまずいたときは土砂降りの雨が降っていたはずなのだが・・・

しばらく考えを巡らせていたのだが、急に前のほうからかけられた声が俺の思考を遮った。


「なんでこんなところに人の子がいるの?」

反射的に顔を上げたその先には、白髪の少女が立っていた。

俺より少し幼いぐらいか。その顔は人とは思えないぐらい整った顔立ちで神秘的な雰囲気をまとっている。ただ、少女が発した言葉が引っ掛かり思わず反論してしまった。

「人の子って、あんたのほうが小さいじゃないか」

俺は少し立ち上がりながら答えになっていない返事をいう。

「あら、あなたより何十倍も生きてるわよ」

「は?」

立ち上がって面と向かって話すと、俺より顔1個か2個分違うくらいか。俺も男子の中じゃ大きくはないのだが、それよりも圧倒的に小さい。髪の毛はまるで絹のような白髪。そして長い髪をゆるくひとつにまとめているが、それとは対照的に透き通ったような緑の目は若干つり目で、可愛い系と美人系を足して2で割って少し美人多めぐらいだ。(伝わりずらい)

服は白を基本とし、ところどころ黄緑が入っている。ただ、少し全身を見て目が留まってしまったのだが、決して悪意があったわけではない。

絶壁のような壁がお腹の上らへん、いわゆる胸にあった。

「あなた、今失礼なこと考えたわね?」

「うわっ!?こんなとこで炎出すなよ!?」

何者だこいつ!?俺も目を疑ったのだが、左手から呪文もなしに炎を出している。魔法何て使える人が限られる上呪文が必要なのに。俺と同じ魔法使いの一族にしては髪の毛が白すぎる。魔法使いの一族は俺のような純黒髪ではなくても、少し茶色の混じった黒や緑の混じった黒など黒が少しでも含まれているのだ。



「それで、あなたは何をしに来たの?あなた、魔法の一族ね。私を捕まえにでも来たのかしら」

「なんでわかるんだ?後捕まえるって・・・?」

「そんなことはどうでもいいの。質問に答えなさい」

「まあ、家出ってとこかな。命を狙われてるんで家出してきた。ちょっと実験の被害にあいそうで」

何故だろうか。もちろん警戒はしてるが、こいつ相手だったら何を話しても大丈夫な気がする。

「!あなた、泊まる家ないのよね?私の家へこない?」

実験という言葉に少女は敏感に反応した。

「まじっすか!といいたいとこだが、言っとくけど俺あんたからしたら見ず知らずの男なんだが?そんなやつを家へあげていいのかよ?」

もしや、こいつが村の話の白髪の魔女だとしたら俺もしかしてでっかい鍋に入れられてなんかゲテモノと一緒に煮込まれるのか?今どき魔法使いでもそんなことしないからないか?

「大丈夫よ。なんか手を出してきたときはさっきの炎()()で身を守るから」

「今とかってことは、もしや他の魔法もたくさんおつかいになれる感じですか・・・?」

「さあ?でも手を出したらわかってるわね?」

「ハイ。イエッサー」

「ただ、家へあげる代わりにさっきの実験についての話聞かせてもらうわよ」

「?そんなものでいいならいくらでも」



◆◆

「あまりジロジロ部屋を見ないでほしいんだけど」

俺は絶賛少女の家で接待を受けている。なんか女子らしいマカロン?とかいう食べ物がおかれている。少女が入れている紅茶が俺の鼻をくすぐる。

窓は静かな森林を映していて、時折鹿などが横切っていくのが見える。太陽の光が暖かに差し込み、今にも眠ってしまいそうだ。

さて、いろいろ疑問があるからそろそろ話していかないとな。

「早速だけど、質問いいか?」

どうぞ、と許可をもらったので俺は少しソファに腰掛けながらも前傾姿勢になる。

「まず、ここはなんか村とかと違う感じがするが本当に森の中なのか?後、あんたは魔法使いの一族って感じじゃないがなんで魔法を使えるんだ?それとあなたの何十倍も生きているって言ってたが、実際いくつなんだ?なんで俺の実験される内容を知りたい?」

「一気に質問攻めしないで頂戴!後あなた女子に年齢聞くの?」

「あ、すまない。ちょっと頭がいろいろこんがらがってて・・・」

「・・・まあ、命を狙われていたなら動揺するのもしょうがないけど。順番に答えていくわね。


 まず一つ目。ここは私が作り出した森とは別空間よ。ちょっと魔力を大量に使えば作れるわ。森の中に入り口があって、本当は人なんて誰も来れないのだけれどあんたは多分魔力が知らないうちに発動して入ってきちゃったのね。

 二つ目。私は厳密にいうと魔法使いの一族ではないわ。ただ、魔法は使えるわよ。まあそこの事情はいろいろあるから省くわ。

 三つ目。年齢は聞くものじゃない、って言ったけどまあ隠すようなことじゃないから答えるわ。私、少なくとも1500年ぐらいかしらね?うん、確かそれぐらい。不死身って感じよ。

 四つ目。これもちょっと事情と絡んでるけど・・・ざっくりいうと、今の魔法使いとかが知りたいってところ」


魔法使いの一族じゃないのに魔法を使えて、不死身で、ちょっと大量に使うぐらいで空間魔法を使える。

ますます謎になってきた。

「じゃあ、私は答えたから次そっちの番ね。実験について教えて頂戴」

「俺も、話で聞いただけだけどそれでいいか?」

「構わないわ」

俺は、経緯を話した。まず親戚に引き取られたところから、今回の実験の内容について。


「ちょっと!涙なんて流さないでくれる?私が泣かせちゃったみたいで嫌なんだけど」

俺泣いていたのか?今までどんなつらいことがあってもなくことは少なかったのに。

「早く拭きなさい」

ハンカチが剛速球で飛んできた。広げると女の子らしいレースがあしらわれている。なんだかんだこいつも女の子らしいところあるんだなあ。なんて思いながら、鼻水が垂れてきたので思わず持っていたハンカチで拭く。

気づいたときには既に手遅れだった。

「人のハンカチで鼻水を拭くんじゃないわよ!」

ついに少女の雷が落ちた。(物理的に)建物の中で魔法とか危険すぎるのですが。本当にこいつなら、本気を出さずに俺を殺せるかもしれん。



「・・ありがとう。もう落ち着いた。その、ハンカチはすまん」

「別にあんなのいくらでも洗えばいいわよ。落ち着いたならよかったわ」

「ところで、俺らまだ名前を話していなかったことに気づいたのだが」

「そういえばそうね」

名前の話になったとたんなんか素っ気なくなったな。もともと素っ気ないけど。

「俺の名前はユウキだ。あんたの名前は?」

「・・・ないわよ」

「え?」

「だからないって言ってるの」

言ってることが信じられなかった。

名前がない?そんな状態で1500年も生きてきたのか?


「呼ばれた名前はあるにはあるけど、正確に言うと名前じゃなくて呼び名だからね。私の場合。いえるなら、002番ってところかしら?」

「002・・・」

由来を聞きたいとこだが、なんか踏み入れてはいけない雰囲気を感じた。

「その、変なことを言うが俺が名前を付けるってありか?」

「はい?」

「白い髪の毛からシッローとか」

「雑過ぎない?考えるならもっとまともなやつにしなさいよ」

さすがにこれはダメだったか。

「ちょっとまた質問になっちゃうが、あんたの服って白を基準の葉っぱモチーフのデザインだよな?」

「ええ。それがどうしたの?」

「№2と、葉でフタバとかどうだ?」

今までネーミングセンスはないほうだと思っていたが。我ながらこれはめちゃくちゃいいと思う。


「・・・思ったよりはいいんじゃない?好きに呼べば」

素っ気ないけど、お気に召したようだ。というか、こいつあれか、いわゆるツンデレというやつか。



◆◆

「じゃあおやすみなさい。私の部屋に入ってきたら承知しないから」

「はいはい。わかったよ。泊めてくれてありがとな」

結局、あの後お風呂まで借りることができた。ご飯がマカロン食べたぐらいで食べ盛りの俺からすると少し空いているが、泊めてもらっている以上わがままはあまり言えない。


「にしてもこの布団あったけぇなぁ」

俺は今フタバの部屋の横にある空き室で布団を借りている。あまり布団とか詳しくないのだが結構これは質がいいのではないか。


今日は色々ありすぎたな。ユートとマトが冒険者になり明日出発すると報告を受け、そのあと家に帰ると俺の命が狙われていて、知らないうちに森とは別の空間のフタバが作った空間に飛んできた。

そういや明日の見送りどうしようか。家には帰るわけにいかない。村へすら戻れない。

見送りはできなさそうか?というかそんなのんきなこと言ってる場合でもないのか・・・


色々考えているうちに段々瞼が重くなってきた。それらのことは後回しにして、今日はもう寝てしまおうか・・・

そのまま俺は眠りに落ちた。


◇◇



「どうか、どうか安らかに眠ってくれ」

___ここはどこだ?そしてこれは俺が言ったのか?なぜか手には剣を持っている。

視界が潤んでいて前が見えない。誰かに馬乗りになっているのかおれは?

っ___!!

いま、一瞬相手の顔が見えた。見間違えるはずのない白い髪の毛。こちらを見据える緑色の瞳。その顔にはどこか悲しさと安らかさの混ざった表情が浮かんでいる。

嫌だ、この右手を振り下ろしたくない。振り下ろしたら、こいつが___

しかし、むなしくも俺の意思とは反対に右手は正確に、()()めがけて剣を振り下ろした。


そして体に突き刺すその前に俺は夢から目が覚めた。



だいぶ長いですがここまで読んでくださってありがとうございます。これからちょっとずつ更新していく予定です。

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