【衝撃】ちょ、風呂場に〇〇〇おるやん!?【ここ3階やぞ】
お久しぶりです、悠聡です。
この4月にまたもや人事異動がありまして、関東某所にお引越しすることとなりました。
仕事柄転勤が多いとはいえ、今までの業務内容とは大きく異なる部署です。期待と不安が入り混じったまま春を迎えることになりましたが、むしろ色んな部署を経験した人ほど評価される、ちょっと変わった職業でもありますので、「俺だからこそ選ばれたんだ!」と思考を前向きに切り替えていくことにします。
ですが引継ぎのために勤務地を訪れた時……。
「なんやここ、ド田舎やないか!」←生産地:滋賀県
どの口が言ってんだと総ツッコミ食らいそうですが、本当に第一声がこれでした。だだっ広い畑に鬱蒼と茂る雑木林、道路を横切る野生のキジ。地方出身者の思い浮かべる関東地方とはかけ離れた光景が、そこに広がっておりました。
いやいや、野生のキジなんて初めて見ましたよ。鳴き声もまるで古くなった遊具の金属がこすれるような大音量です。桃太郎で使われる「ケン、ケーン」なんて擬音は嘘です、正しくは「ギィイ、ギィイイイ!」です。雉も鳴かずば撃たれまいと言われる所以を、これでもかと思い知らされます。
さて新しい住まいについてですが、勤務地にも近いので社宅を利用することになりました。手頃な家賃でそれなりの広さの部屋に住めるのは、社宅ならではの利点でしょう。
ですがすぐ近くに山が迫っているおかげで、ベランダにはあっという間に土埃や木の葉が溜まり、さらに虫さんまでもが押し寄せてくるのは困ったものです。
今のところナナホシテントウやハナムグリ、カトンボ(あ、これ方言ですね。正式名称はガガンボですね)、コメツキムシなどが洗濯物にしがみついて家に入ってきました。この勢いだと夏にはカブトムシがひっついてくるかもしれません。3階にある私の部屋にもこれほど飛来してくるのですから、1階だとどれほど大勢の蚊や黄金聖闘士がコンニチワしてくるのやら。
で、いよいよ本題です。
4月のとある休日の夜、相変わらず小説も書かずにウマ娘ばっかやっていた私は、ちょうどキタサンブラックの育成を終えたところで、風呂の準備のため浴室へと向かいました。
築30年の社宅の風呂は構造も当時のもので、タイルを張った洗い場に対してバスタブを置くスペースが一段低くなっており、お湯を抜くとバスタブ裏側の溝を伝って排水口に流れ込む仕組みになっています。
既に水は抜いているため、あとは浴槽内をバスマ〇ック〇ンで磨き、お湯を沸かす必要があります。
掃除の前に排水口ネットでも張り替えておくかと、しゃがみ込んだ時のことでした。視界の端っこ、浴槽と洗い場の間のくぼみで、何かがもぞもぞと動いています。
なんだろうと顔を向けたその時、私の目に映り込んだものは……!
【警告】グロいのが苦手な方、お食事中、特に麺類をお召しになられている方は引き返してください!
警告はしましたよ? ホントにいいんですね?
「は? ミミズおるやん!」
そうです、ミミズです。
畑の土ひっくり返したときに土の隙間からてかったその身を覗かせたり、雨が降った翌日アスファルトの上で干からびている、あのミミズです。
なんでや!? ここ3階やぞ!?
アシダカ軍曹やヤモリちゃんなら想定の範囲内ですが、よりにもよって屋内でミミズとエンカウントするとは予想外でした。恐らくは海のリハクの目をもってしても見抜けなかったでしょう。
排水管を伝って来たのでしょうか?
それとも荷物に紛れていたのがここにやって来たとか?
いずれにせよ風呂場で出会うにはあまりにも不自然な生き物の出現を前にして、驚き、混乱、様々な感情がぐるぐると頭の中を駆け巡ります。やがて私の脳が下した結論は……。
「よっしゃ、これはネタになる!」
開口一番、写真を撮るためダッシュでスマホを取りに戻ります。
私にとっては『ネタ>>>>>>>>>風呂場の衛生状態』です。好奇心を刺激されれば数学のABC予想から、なぜ団地妻という属性がエロ界隈で浸透したかの経緯まで、なんでもかんでも調べないと気が済まないタイプです。おまけに根っからの変な生物好きとあっては、これほど美味しいネタはありません。
調べてみるとこいつはいわゆる土の中にいるミミズではなく、イトミミズではないかと推察されます。
というのも土壌に住まうミミズは水に浸けると身体がぶよぶよになってしまい、やがて溺死してしまうのだそうです。だから雨が降ると土の中まで水が浸み込んで呼吸ができなくなるので、たまらなくなって外に這い出してくるのですね。問題は身体が干からびると死んでしまうとは考えもつかなかったことでしょうか。
一方のイトミミズは水棲で、水の中では元気に泳ぎまわります。おまけに水が絶えた環境下であっても仲間同士集まって塊になることで、ある程度の乾燥には耐えられるそうです。
それにしてもイトミミズと言えばアカムシといっしょにドブ川の泥に頭突っ込んでいるイメージが先行しますが、こんなに大きくなるのですね。見た目軽く10cmはありました。
さて、イトミミズは泥中の有機物をエサにしているため、生息地は必然的に有機物の多い水中、つまりはドブ川や田んぼ、下水などがメインとなります。そうなるとやはり、うちの排水管の中から這い出してきたと考えるのが自然でしょうか。
一般的に排水口の奥は排水トラップと呼ばれる構造が仕掛けられています。台所の流し台や洗面台の下を覗いてみると、排水管が途中でぐにゃりと上に曲がり、再び下に伸びているのは皆様も普段から目にしていることと思われますが、あれのことですね。
あの排水トラップの中には水が溜まっており、下水の臭いの他にネズミや虫が昇ってくるのを遮断しています。ですが水棲のイトミミズにとっては水のバリアなんてあって無いようなものです。元々排水トラップの中にいたのか、それとも下水から排水トラップを乗り越えてやってきたのかは不明ですが、ともかく我が家の浴室までたどり着いた冒険心溢れるミミズちゃんです。環形動物なのに大したものです。
また、ミミズ以外にも手掛かりが無いかと色々調べてみると……
浴槽の中に、シデムシの幼虫?と思しき小さな黒い虫もいました。ただ私の知っているシデムシの幼虫は成虫と変わらないくらいの大きさなので、本当にシデムシなのかは確信が持てません。孵って間もない1齢幼虫でしょうか?
そしてなんと、この子は動物の死骸などに群がる、いわゆる腐肉食性の昆虫です。
ミミズにしろシデムシにしろ、お前らなんでこんなトコにいるんだ?
……もしかしたらバスタブの裏にネズミやイトミミズの死骸があって、それをエサにしているとか?
ゾゾっと肌寒くなりますが、一人ででかいバスタブ移動させるだけの気力も体力もありませんし、そもそもそんな光景見たくも無いので、これ以上考えるのはやめておきましょう。
そんなこんなしている内に、気が付くとイトミミズの姿は消えてしまっていました。
バスタブの下に隠れてしまったのでしょうか。いくら害は無いと言っても、ミミズが風呂場にいるのは正直気持ちの良いものではありません。さっさとどうにかしないと、彼女を部屋に呼べませんね。そんなもの最初からいないけど(泣)。
さて、今日も風呂入るか!
ばばんば~♪
<<入浴中>>
ふう、さっぱりしました。やっぱ風呂は熱めに限りますね!
ついでに
☆捕☆獲☆成☆功☆
ええ、身体洗っていたらバスタブの下からぬっと出てきたので、ここぞとばかりに捕まえてやりましたよ。つかんだときにはビチビチ跳ね回っていましたが、やがて観念したのかすっかり大人しくなりました。
ちなみにイトミミズはつかむと激しく跳ねまわりますが、土の中にいるやつらはここまで激しく抵抗しません。これもイトミミズかどうかを見分けるひとつのポイントですね!
え、フツーはつかもうとしない? いやいや、触ってみるのは変な生物の楽しみ方の基本ですよ!
しかしいざ手に載せてみると、このイトミミズもどういうわけか愛おしく思えてくるものです。
よくよく考えてみるとこの子は私の身体から流れ出た垢を食べ、そしてここまで立派に育ったのです。つまりこのミミズは私が育てたようなもの、私の分身、我が子も同然です。
これが親心というものでしょうか。殺すのも忍びないので、名残惜しいですが外の花壇にそっと放してやります。きっと森の仲間として、温かく迎え入れられることでしょう。
さようならミミー、達者でな!
さてさて、ミミーとのお別れは無事済ませましたが、まだ見ぬ我が子がミミーひとりだけとは限りません、他にもたくさんいるはずです。もしかしたら立派に育った姿を親父に一目見せてやろうと、今もせっせと排水管を上ってきているかもしれません。
というわけで愛する我が子のために……
パイプクリーナー流し込んでおきましょー!