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第八話 伴野とのゲスい会話

登校時に不本意なあだ名を決められて、若干落ち込んだ道貞みちさだ

しかし気を取り直した道貞は、本来の目的を果たすべく、爪を研ぐのであった。


どうぞお楽しみください。

 ふぅ、何とか教室に着いた。

 さて、授業が始まる前に、まずはこのクラスから下種しもたねの好きな男を探してみよう。

 昨日送られてきた、


『カレシの件だけど、言いふらすと嘘っぽくなるから、聞かれるまでナイショねー』


 これが怪しい。

 男避けを機能させるためなら、俺との恋人 (フリ)の関係は早めに広めた方がいいはずだ。

 特に男の俺から話せば、下種しもたねを狙う男達に伝わりやすい。

 自分から話すと嘘っぽくなると言っていたが、俺なら『陰キャがギャルと付き合えて舞い上がってる』って説明すれば問題ない。

 若干プライドは傷つく。

 つまり! その本命はこのクラスにいて、そいつには俺と付き合っている事 (フリ)を知られたくない可能性が高い!

 くっくっく……! 覚悟しろよ下種しもたねぇ……!


「お、おい千重里ちえさと……」

「あ?」


 おや、誰かと思ったら伴野ばんの君ではないですか。

 友情を捨て愛に生きる『リア充の化身』伴野君が、元友達の俺に何の用ですかねぇ……?


「お、お前、昨日 下種しもたねさんと一緒に帰ってたけど、どういう事だ!?」


 おやおや、早速食いついてくれましたか。

 しかもそんなに慌てて……。

 効果は抜群だ!


「何か脅されたりパシらされたりしてないか!? 相談に乗るからな!」


 へいブラザー、もとい元ブラザー。

 お前俺をどう見てるわけ?


「違ぇよ。あっちから告白して付き合う事になったんだよ」

「は?」


 目を丸くする伴野。

 良いねぇその鳩豆顔。

 写メ撮ってやろうか。


「……千重里……」


 何だ? 嫉妬か? 爆発祈願か?


美人局つつもたせって知ってるか……?」


 お前とことん失礼だな!

 知ってるし違うよ!

 ……まぁ、男避けとしての彼氏のフリだし、いきなり金は要求されかけたし、隙あらば録音で脅迫しようとしてくるけど。


「違ぇって! ほらこれ見ろ! 昨日撮ったツーショット写真!」


 それでもこれを見れば流石に黙るだろう。

 控えおろう! この写メが目に入らぬか!


「え、これ、部屋着!? って事は……」

「あぁ、下種しもたねの部屋だ」

「じゃあ本当に付き合ってるのか!?」

「まぁな」


 驚愕しろ!

 平伏すが良い!


「じゃあもうやっちゃったのか!? 卒業したのか!?」

「んなわけあるかぁ!」


 しまった! 突然の事に動揺が!


「……え、その反応、もしかして部屋まで行って部屋着の下種しもたねさん前にして何もしてないのか……? 嘘だろ……?」


 まずいまずい!

 ここで疑われたら、何のために屈辱に耐えてきたのかわからなくなる!

 頭を回せ! ゲスに徹しろ!


「……何もしてないわけじゃないけどな」

「えっ!?」


 麦茶は飲んだし写真も撮った。

 嘘はついてない。


「ま、最後まではまだ早いかなと思ってな。そこは下種しもたねも了承済みだ」

「な、何て余裕……!」


 フリだからその『まだ』は永遠に『まだ』なだけだ。

 手を出さないって事も録音という若干不本意な形ではあるが、お互い確認済みだ。

 嘘はついてない。


「それでも『マッキー』『ミッチー』で呼び合う仲だ。学校では恥ずかしいから呼ばないがな」

「り、リア充……!」


 ふはは! 気分が良いのう!

 ジャングルジムの上でイキるような虚しさは見ないフリをする。


「……俺はまだ苗字呼びだし、デートに三回行ったけど部屋にはまだ行けてないし、ようやくキスができたってところなのに……」


 よーし戦争だ。

 完膚なきまでに敗北の沼に叩き落としてやる。

 そのためにも下種しもたねを従属させないと……。

 あ、そうだ。


「危ない! 蜂だ!」

「!?」


 言うなり俺は伴野の頭を机に押さえつける。

 首の後ろには……、黒子なし。

 こいつだったら面白かったのになぁ。


いて! いててて! 何!? 何だよ急に!」

「いやー、蜂かと思って咄嗟に伏せさせたけど、見間違いだったわ」

「あ、ありがとな! じゃあ離して!」


 おっと。さっきのわずかな怒りでつい力が入った。

 顔を上げた伴野は、ほっと一息ついた。


「……でも本当にあの下種しもたねさんがお前と……? 信じられないな……」


 刑事ドラマばりに疑うなお前。

 何でお前にできて俺にできないと思ってんだよ。

 いや、それくらい下種しもたねが彼女という事態が、こいつを動揺させてるんだな。


「家とかだと何されるかわかんないから、人目のあるところであった方が良いぞ?」

「お前……、いや、そうするよ」


 くっくっく、良いアイディアをありがとう伴野君。

 外で会っている姿を写真に収めれば、こいつの自尊心を削り取れる。

 下種しもたねには「えー? あたしとデートしたいのー?」とか言われるだろうが、フリに必要だと言えば断れまい。

 むしろチャンスだ。

 家ではヒントが少なかったが、外で遊んでいる最中なら気も緩んで弱みを見せる可能性もある。

 後でメッセージをしておこう。

 俺の黒薔薇色の高校生活は、今花開くのだ!

読了ありがとうございます。


ゲスぶっているが、実際負けフラグなのでは?

ボブは訝しんだ。


次話もよろしくお願いいたします。

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