第四話 ゲスい帰り道
恋人のフリに説得力を持たせるために、ツーショット写真を提案すると、下種牧舞の自宅に招かれた千重里道貞。
嘘泣きに一度騙された道貞は、女子の家に行くというイベントにときめきはなく、弱みを握ってやろうとゲスな思考を巡らすのであった。
どうぞお楽しみください。
「お待たー」
「おう」
友達との話を切り上げた下種が、俺の机にやってきた。
ざわつく教室。
それはそうだろう。
片やスクールカースト上位のギャル下種。
片やいてもいなくても大勢に影響のないぼっち俺。
接点のあり得ないこの邂逅は、さぞや度肝を抜いた事だろう!
伴野が節分に紛れ込んだ鳩みたいな顔をしてやがる!
ふはは! 気分が良いのう!
冷静に自分の立ち位置を自覚したら駄目だ。
テンションで乗り切る。
「じゃー、行こっかー」
「あぁ」
どよめく教室を、俺と下種は颯爽と後にした。
「クラスさー、すっごいざわざわしてたねー」
「そうだな」
帰り道、俺は下種と一緒に、下種の家に向かって歩く。
さて、家に行ってからの行動を確認しないとな。
まずはお家の方にご挨拶。
洗面所を借りて手洗いうがい。
そして自撮りで写真を撮る。
その後、挨拶をして家を出る。
それまでの間に、下種の弱みを調べなければならない。
これはある程度目標を絞っていかなくてはいけないな。
何が良い?
好きなアイドルのポスター?
そのくらいじゃダメージにもならなさそうだ。
自筆小説や詩集?
そんなの書くタイプじゃないよな……。
エロ本なんか持ってるわけないし……。
卒業アルバム……。
オカルトの本……。
勢いで買ったイキり服……。
駄目だ、自分の黒歴史を掘り返しているだけになってる。
「なーんか考え込んでるー?」
「別に」
危ない危ない。
弱みを握ろうなんて考えているのがバレたら、対策をされかねない。
自宅という事は下種のホーム。
そこにいる人間は全て下種の味方。
慎重に振る舞うに越した事はない。
「あ、わかったー。エッチな事考えてたんでしょー」
「違う」
「えー? 即答ー?」
当たり前だ。
誰が好き好んで見えてる地雷を踏みにいくものか。
顔は可愛いし身体つきもエロいけど、騙されないぞ!
「あたしの胸ちらちら見てるのにー?」
「……」
「今更目ーそらしても遅いんですけどー?」
仕方ないだろ!
男の本能として、どうしても目が行っちゃうんだよ!
「ま、約束あるから大丈夫だとは思うけどねー。ドーテーはヘタレだしー」
「あ、当たり前だ。そんな事するわけないだろう。あと俺は道貞だ。ドーテーって呼ぶな」
「ふーん。ちなみにさー、今日両親帰ってこないから二人きりだけどー?」
「!?」
な、何だと!?
そんなエロ漫画みたいな都合の良い展開が!?
いや、何もしないから都合も何もないんだが!?
「ちょ、顔マジになりすぎー」
けらけら笑う下種。
くそー、からかわれたのか……!
「……とにかくとっとと二人の写真を撮るぞ……」
「おけー」
にやにや笑っている下種から目を逸らす。
やはり弱み……! 弱みは全てを解決する……!
弱みを握ってイニシアチブを奪い取る!
読了ありがとうございます。
……あれ、ギャルにいじられるだけのラブコメになりつつある……?
ゲスさを高めなければ……!
次話もよろしくお願いいたします。