第三話 ゲスい作戦
前回までのあらすじ
男避けが欲しい下種牧舞を、彼女を作った友人へのマウントのために利用する事にした千重里道貞。
牧舞が思った以上にゲスいと知って、さらにゲスい作戦を練るのであった。
どうぞお楽しみください。
さぁて、ば〜ん〜の〜く〜ぅ〜ん〜?
マウントのお時間ですよぉ?
教室に戻る俺の足取りは軽い。
伴野の彼女がどれほどの女子かは知らないけど、こっちはギャルで巨乳で陽キャの下種だ。
陰キャの俺達からすれば、レジェンドレアにも匹敵する存在。
相手がどこかの国のお姫様だとか、財閥の御令嬢だとかでない限り、俺の勝ちは揺るがない!
もしそうだったら伴野の顔を何も言わずにぶん殴ろう。
「ん?」
携帯が震える。
げ。下種だ。
さっきの今で何の用だ?
『よろしくお願いします』とか書く奴じゃないし……。
『カレシの件だけど、言いふらすと嘘っぽくなるから、聞かれるまでナイショねー』
なぁ〜にぃ〜!?
俺の高校生活唯一の楽しみがなくなっちまったな!
……いや待て。時に落ち着け。
ならば伴野から聞いてくるように仕向ければ良いんじゃないか?
そのために必要なのは……。
『わかった。そうしたら聞いてきた相手に説明する時の証拠用に、ツーショット写真とか撮らないか?』
送信っと。
これを待ち受けとかにしていたら、何かの折にちらっと見た伴野が、
「……え、それ、お前の彼女か……?」
「彼女ですが何か?」
「嘘だっ! 千重里の彼女がこんなに可愛いわけがない!」
「カカカ……! ところがどっこい……。夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!」
「ひどいよ……! こんなのってあんまりだよ……!」
「伴野。君はいい友人であったが、君のお付き合いがいけないのだよ。……フフフ、ハッハッハッハ!」
とこうなる。完璧だな。
お、返信来たな。
『そーだねー。りょ。放課後でいい?』
りょ?
あぁ、了解か。
『構わない』
『オッケー。どっちの家で撮るー?』
は?
What do you mean?
Sore do you imi?
『家で撮るのか』
『カレカノだったらジョーシキじゃん』
ギャルの常識、ぼっちの非常識。
ならばここは一択。
『じゃあ下種の家で』
『りょ』
くっくっく……。愚かなり下種!
俺が動揺するとでも思ったか!
確かに女性とお付き合いをした事のない男子にとって、女子の部屋というのはかなりのドキドキスポット。
普段の俺なら「おっふ……」とか呟いて、動揺を露わにする事だろう。
だが下種! お前は別だ!
さっきのニセ泣き落としで、俺はお前を男の敵だと判断した!
その敵の本丸に労せず入れるのなら、する事は一つ!
弱みを握ってやるぞ……!
「ふっふっふ……!」
含み笑いが込み上げる!
プライベートあふれる自宅に招くなど、弱点を晒すも同義!
俺はこの機を逃さない……!
あいつが「やめてッ! やめて! それだけはッ!」と言うような秘密を見つけ出してやる……!
あー、放課後が楽しみだなー!
読了ありがとうございます。
え!! 交際その日にご自宅へ!?
次話もよろしくお願いいたします。