第一話 ゲスいぼっちとゲスいギャル
タイトルでお気付きでしょう。
いわゆる『◯◯な◯◯さん』系コメディーです。
主人公、ヒロイン共にゲスいです。
学生ですが、爽やかさとかあんまりありません。
それでもよろしければ、どうぞお楽しみください。
うおおおぉぉぉ……!
何故だ! 何故なんだ伴野ぉ!
彼女なんかいらないって言っていたのに!
男同士、馬鹿やってる方が楽しいって言っていたのに!
生まれた日は違えども、彼女を作る日は一緒と勝手に思っていたのに!
「悪ぃ。彼女できたから、しばらくお前とは遊べねぇや」
爆発しろ!
地獄に落ちろ!
あ、地獄は言い過ぎかな。
お笑い芸人向けの派手な落とし穴に落ちろ!
粉まみれになれ!
あぁ〜、高校生活闇だ……。
誰もいない屋上から見る空はこんなに青いのに。
季節は暖かな春なのに。
どーして俺にはアオハルが来ないんですか神様ぁ!
「ふぅ……」
!? 扉の開く音と女の子の溜息!
もしかして俺の願いをちょっ早で叶えてくれたの神様!?
ありがとうございます!
一生信仰します!
何なら神社建てます!
うきうきして出入口の方に振り返ると、
「あれー? 人いたー」
神は死んだ。
俺を見て間抜けな声を上げたのは、クラスの中でもおそらくトップクラスに性格悪そうなギャルだ。
名前は知らないけど、友達にはマッキーとか呼ばれてたな。
油性の筆記用具かてめーは。
こんな奴と根暗かつ唯一の友達を女に取られた真・ぼっちの俺との間に何か起きるわけないもんな。
相手から告白されたってお断りだ。
「ねぇ君ー」
「はっ!?」
かっ肩に手が!?
「確か同じクラスのヒトだよねー? こんなところで何してんのー?」
「え? あ、その、そ、空を、見てました……」
「はー? ……変な奴ー」
うん! 今の俺の回答は、俺も変だと思う!
でも女子にボディタッチされながら冷静に話せる男子なんているだろうか、いやない。
「なになにー? ぼっちなのー?」
「え、あ、はい……」
「うわー、キモーい……」
今日は死ぬには良い日和だ……。
いや死んでたまるか! 生きているから痛いんだ!
「あんたドーテー?」
「道貞です!」
「は?」
しまった! つい条件反射で!
昔から名前を『ドーテー』とからかわれるからつい!
「あ、あの、俺、名前が道に貞子の貞で道貞なんだけど、よく『ドーテー』って読まれてからかわれるからつい……」
「へー。あたしも苗字の下種を『下ネタ』とか言われた事あるからー、ヤな気持ちわかるわー」
「あ、ありがとうございます……」
あれ? 下種さん、もしかして良い人……?
「でー? 男としてのドーテーの方はどうなのー?」
はい気のせいでしたー。
やはり下種さんはギャルでビッチでゲス女だ!
「……そうですけど」
「やっぱりー!」
俺の人生一番の大ウケ、ありがとうございます……!
くっそー! 肩ばしばし叩くな!
命拾いしたな……!
何か女の子っぽい甘い匂いが肩越しに漂ってこなかったら、俺の剛腕が唸るところだったぜ……!
「じゃあ丁度いいやー。あたしのカレシのフリしてよー」
「は!?」
ワタシニホンジン。ギャルノコトバ、ヨクワカラナイ。
「あたしってモテるじゃーん? で、色んな男から声かけられまくっててさー」
いや知らんがな。
何ですか? ドーテーと確認してからのマウントって、完全に動かない相手にもとどめ刺さないと安心できないタイプのラスボスですか?
「でもどいつもこいつも体目当てって感じでさー」
でしょうね。
そんな服の上からでもわかるたわわなものをお持ちで、なのに足とか腕とか細いのが悪い。いや良い。
「カレシいるってなればー、そういう奴ら寄ってこないでしょー? それにぼっちに優しいギャルって受け良くなーい? ドーテーなら安心だしー。そういうわけでよろしくー」
ばっかやろう!
ふざけんな!
どうせ未経験者ならビビって手を出せないから危なくないとか思ってんだろ!
そうだけど!
こんな舐めた提案に頷く訳……!
……ん? 待てよ?
彼氏のフリをすれば、伴野にマウント取れるんじゃね?
下種さんは性格はゲスいけど、顔は良いし、スタイルも良い。
……よし。
「……良いよ。彼氏のフリ」
「オッケー。じゃあとりま連絡先交換しよっかー」
こうしてゲスな下種さんとゲスな俺の恋人のフリが始まったのだった……。
読了ありがとうございます。
恒例の名前由来〜。
千重里道貞……『あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ 』なので伏す。
下種牧舞……ゲス、気まま
思い付き見切り発車なので、いつ終わるかわからない勢い任せ連載ですが、お付き合いいただけましたら幸いです。