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現在進行 鳥の国 3  作者: 蓮尾純子
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鳥インフルエンザ   2004年4月

鳥の国から   すずがも通信145号  2004年4月号掲載


   鳥インフルエンザ


 マスクと薄手のビニール手袋をものものしくつけたおまわりさんが、「さっき電話したメジロなんですけど」と袋を持ってこられました。受け取って、様子を見ようと何気なく袋に手を入れたら「えっ、素手で大丈夫なんですか?」

 どなたも同じかもしれませんけれど、いわゆる風評被害にげっそりしています。鳥インフルエンザ。

「ほら、こうして見ると、頭と尾がどちらも左側に曲がって見えるでしょう?体を弓なりにしているのは、衝突で頭を打った時の典型的な症状なんです。何かにぶつかったんですよ。それに、もし万一これが鳥インフルエンザにかかっていたとしても、人には感染しませんよ。大騒ぎしているのは、人が病気になるからではなくて、人がウィルスを運んで鶏にうつしたらたいへんだからなんです。こうして私と面と向かってお話ししている方が、よっぽど危険ですよ。お互い、人間のインフルエンザウィルスを保菌しているかも知れないんですから」

 手袋とマスクをはずしてにこにこして帰られたおまわりさんを見送って、ちょっとため息。午後には鴨場の場長さんまで相談に来られるし、来週は千葉県一斉鳥インフルエンザ封じ込め週間というお達しが来て、禽舎まわりを消毒しなくちゃいけないし。

 それでも養鶏業者さんに比べたらのどかなものです。ふしぎなことに、問い合わせの電話などもほとんど来ていません。こんなご時勢なのに、たぶん交通事故のメジロを心配して届けてくださった方や、持ってこられたおまわりさんもいるのだから、人間、捨てたもんじゃない。ま、どうやって、どの程度まで消毒をやるかなあ。頭痛い。





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