表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現在進行 鳥の国 3  作者: 蓮尾純子
70/100

おしんとこしん   2006年4月   すずがも通信157号掲載

鳥の国から   2006年4月   すずがも通信157号掲載


   おしんとこしん


 満開の白梅が散りはじめました。梅の花びらって、ほとんど円形で、桜のような切れ込みがないんですね。5枚の花弁をつけたまま、1輪がそっくり落ちているのをいくつか拾いました。香りのよいこと!これも桜とは違います。

 この冬の小鳥の少なさは尋常ではありません。つい数日前、「この冬初めて」アオジの姿をきちんと見ました。1月21日の大雪の後でツグミ類は一挙に増えて、特にツグミは1本の木に50羽くらい群れていたりするのを見かけます。アカハラ・シロハラ・ジョウビタキも、ようやく観察舎まわりで週に何度かは見かけるようになりました。でも、まだ少ない。日本全国どこでも、という傾向らしいので、個体数回復には何年かかかるのではないでしょうか。夏の繁殖時期、繁殖地で何があったのだろう。

 コアホウドリ2羽をいちおう放鳥したあと、野鳥病院はまあまあ無事。琵琶湖の竹生島で昨年7月に標識されたカワウ若鳥が浦安で保護されて入院していたり、警察から違法飼育摘発のメジロ15羽とウグイス2羽が来たり。満16歳をこしていた最長老のツバメ「赤」や、愛嬌ある姿でこの数年来親しまれていたシメなど、訃報もいくつか。

 シメが消えた仮設禽舎小鳥室は、ムクドリ・ヒヨドリ・シロハラと中型連中だけが残っています。そのなかで、人気急上昇中なのは、何度放しても人の手や肩に乗って戻ってきてしまうムクドリくん(たぶん間違いなく雄)。携帯電話を向けると、「ジ―ッ、カシャッ」ともののみごとにシャッター音を真似ます。携帯を開く「ヒューッ」という音や、太い男性の声で「ムクちゃん」とか、いろいろな真似の上手なこと。どんどんレパートリーが増えているようですが、人生についての感想らしい、と言われている、よく意味のわからないぶつぶつ声も。

 1月末から同居にふみきっているハクビシンのおしん(下半身不随の成獣雌)とこしん(11月24日入所の幼獣雌)は、いつ見てもべったりくっついて仲のよいこと。こしんは2度ほど脱走して外泊しているのですが、うまく再捕獲してケージに戻すたびに、おしんが「さみしかったのよ。寒かったのよ」と言わんばかりに、こしんをおさえつけてなめまくっていました。こしんもそろそろ生後7ヶ月くらい。最初は860グラムしかなかったのに、このごろはちょっと見ではおしんと同じくらいの大きさ。いつ、どこで放すか、頭の痛いところ。

 東京環境工科専門学校から1日だけ実習に来られた八幡百合子さんが、無事に福島県の鳥獣保護センターへの就職が決まられたとか、帝京科学大学(山梨県)の1年生、一柳亜梨紗さんがこの2週間ボランティアとして来られたとか、若い方たちの出入りで華やいでいる鳥の国でした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ