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現在進行 鳥の国 3  作者: 蓮尾純子
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秋の員数チェック   2005年12月   すずがも通信155号掲載

鳥の国から   すずがも通信155号  2005年12月号 2005年11月13日原稿


    秋の員数チェック

 

「やりますか」

「やるっきゃないですね。この顔ぶれなら」

 11月6日朝の会話です。言わずと知れた秋恒例の「員数チェック」。年1回、野鳥病院内の鳥ぜんぶを1羽ごとに作ってあるカルテと照合し、体重をはじめとする健康状態をチェックするというもの。


 この秋は、ふだんにも増して行事がてんこ盛りでした。

 10月に入ってからの行事を列挙してみますね。樹木観察会・カワウコロニー見学会・自然観察案内人養成講座・クリーンアップ三番瀬(雨天のため中止)・しんはま収穫祭・市民祭・江戸川放水路のゴミ拾いと野鳥観察イベント・三番瀬エコツァー。

 まあ、このあたりはこれまでやったことがあるので、比較的手慣れているのですけれど、これらに加えて、観察舎かいびゃく以来の「出前講座」まで、チャレンジしてしまったものです。南行徳公民館と行徳公民館の部屋をお借りして、佐藤達夫・松岡好美の「コアジサシと人々」、川上正敬の「鳥島のアホウドリ」の講話をやりました。幸いに好評でした。

 やったことを挙げるだけでくたびれてしまいました。これらの行事の合間を縫って、市民活動団体支援金(いわゆる1%支援)をいただいて実施した「市川いきものマップ」と、千葉県からの委託で実施した「千葉県サギ塒調査」の報告とりまとめ。ハアハア息切れ中。

 それでも、草刈シーズンが終わり、野鳥病院の入院数も落ちついてきたこの時期、どこかに員数チェックを組み入れることになります。福永杏さん・片山麻衣さん・熊田那央さんとベテラン女性陣が3人そろった、よっしゃあ、というわけ。員数チェックは人手がある日、仕事にゆとりがある時に行います。長いこと世話している鳥など、実際にさわってみるのはこの機会だけ、年に1回、というものもけっこうあります。


 スタート。まずは素性がきちんとしている個別室から。5種6羽の猛禽が入った仮設禽舎も着々と。ゴキブリ燻蒸消毒と大掃除を終えたばかりで、すっきり片付いた治療室もトラブルなし。飛びまわるリハビリ中の連中が多い中部屋まで、11月6日のうちにきりがつきました。カラスに食いつかれてアザができた片山まいちゃん以外には、けがもなく初日終了で、難関の大部屋以外を終えました。

「今のところ、カルテとちゃんと合ってます。ちょっと感動」

 翌7日月曜も続き。東京動物専門学校の実習生、林尻千愛貴さんはこの日が実習の最終日。

「サギがこわいんです」

「そうよね、サギがいちばんこわい」

「嘴が鋭くて、突かれそうで」

「員数チェックでサギがこわいのは、ちょっと意味が違うのよね。パニックになって金網を上がろうとして、足指から出血することがいちばん多いから。だから、サギをまずとじこめておいてから、他の鳥にとりかかるの」 

人間の流血沙汰は心配してあげない、という職場環境。

 福永杏・岩崎加奈子・山本尚子・瀬戸山瑞香さんといった女性陣中心に、8日火曜にコブハクチョウやらアヒルやらというやり残しの鳥を計り終えて、秋の一大イベント無事終了。パニックでけがした鳥も幸いほとんどなし。たくさんいる鳩は、どうやってもカルテと合わないものが出るので、さいごは例年同様えいやっ、と、無理やり辻褄合わせ。計46種、145羽+2頭が収容員数です。

 そうだ。タヌキとハクビシンの体重測定をやってない!たぬきちはわけないけど、シンちゃんはかんかんに怒りくるうだろうなあ。相当頭が痛い獣類担当者の私です。

 それなりにまあ平和なのかな、という鳥の国でした。






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