カワウ 繁殖スタート 2004年2月
鳥の国から すずがも通信144号 2004年2月掲載
カワウ、繁殖スタート
昨年から観察舎正面の通称「鳥居」(スタッフの富田さんの力作)によく止まるようになったハヤブサ。どうも同じ個体らしく、頭の色が薄めで、ちょっととぼけた風貌をしています。時には観察舎付近の鳩をねらったり、うまく捕ることもあります。ところが餌食になりそうな連中は、どうもこの鳥のことをあまり怖がっていない様子。迫力は同じくらいと思うのに、オオタカが近距離に来た時に比べると、鳥たちの緊張の度合いが違います。ハヤブサは飛んでいる獲物を襲ってけり落とす戦法なので、舞い上がることは禁物。水面や地上におりなくてはいけないのに、漫然と舞うユリカモメたち。セグロカモメやサギ類に至っては、視線はハヤブサに向けるものの、首をのばす、羽をひきしめる、といった警戒の姿勢が見えません。天敵がないも同然のカワウたちが餌場におちついていることで、安心しているのかなあ。それでも鳩だけは、観察舎の建物をよりどころにして、ぴたっと動きを止めます。
目下、カワウの繁殖羽がとてもきれい。首が真っ白になったカワウが間近に飛んだりすると、思わず見とれてしまいます。白髪が美しいのは求愛の時期で、求愛・巣作りにたっぷり時間をかけています。巣の体裁ができてから、じっさいに卵を産んで暖め始めるまでには、1か月以上かかる例が多いようです。抱卵中のものもいるはずですが、目下、大多数は並んで巣に座ったり、交尾したり、「翼打ち(ぱたぱたディスプレイと勝手に呼んでいる)」;首を上げ、翼をたたんだまま蝶の羽ばたきのような感じでぱっぱっと上げる「ここで巣を作りましょう」という求愛動作;をしたり。巣材の長い枝や草をくわえて飛ぶものも目立つようになりました。
営巣やぐらにもようやく巣ができはじめました。やぐらに鳥が止まったのを初めて見かけたのは12月8日。それまではみごとに敬遠されていて、せっかく枝をとりつけたり、止まり台用に高い支柱や横木をつけたのに見向きもされず、気をもんでいました。12月末から一挙に増加。昨年は巣落ちが多く、繁殖成功率は樹木の巣よりぐっと低かったのですが、今年はどうでしょう。