農閑期の作業目標 2005年4月 すずがも通信151号掲載
保護区はいつも現在進行 すずがも通信151号 2005年4月
農閑期の作業目標
こつこつと進めていたみなと池棚田の畔つけかえがようやく終了。みなと池棚田は5段10枚。理論上では、どの1枚に水を入れることも、どの1枚だけを干上げることもできるように作ってあるのですが、なかなかどうして。アメリカザリガニやら、クロベンケイガニやら、フルタイムどころか全生活時間・全生涯をかけて穴を掘る連中が無数にいるので、思いきって畔を新しく作り替えた今年、水調整がどこまでできるか。畔なおしの時、幼虫越冬のコオロギ類が見つかったそうです。いつの間に、どこから来たのでしょうか。でも、よく考えてみると、春から鳴くキンヒバリのほかにも小さな虫の音を聞いているなあ。
新浄化池や竹内が原の管理作業の中に、ささやかな生物調査を組み入れることにしました。1測点につき100㏄程度の泥をとって、水質調査と同時に簡略な底生動物調査をやります。1か月前、新浄化池第三系列(冬中干上げて植生コントロールのためのユンボ―がけ・トラクターがけを実施)に水を戻した直後に初回の調査をやりました。干上げ後に水を戻したばかりの場所は、当然ながらイトミミズ等も皆無。管理作業のやり方の違いで、生物が増えるか減るかがみもの。
「農閑期」もあとわずか。年度末のこの時期は、フルタイムスタッフは全員デスクワークに追われます。そうこうしているうちに、繁殖地整備・草刈りシーズン・「草抜き」シーズンがスタートし、田ごしらえ、田植え。
それでも何年か続けてきているありがたさで、節目節目の作業の見当だけはつくようになってきました。20年前のコントロール対象だったセイタカアワダチソウは、地下水位の上昇でわけなく消えたし、15年前の最大の対戦相手だったアシは、2~3月の芽吹き時期にトラクターをかければ、やはりわけなくコントロール可。
目下の相手であるヒメガマについても、決め手となる「何か」がいつか見つかるかも知れません。現在進行の醍醐味。