攪乱が目標 2004年2月
保護区はいつも現在進行 すずがも通信144号 2004年2月号掲載
攪乱が目標
年末の大掃除から年末年始の餌用の魚アラ確保に追われて、保護区内の作業はなかなかはかどりません。竹内が原の植生コントロール作戦に加えて、この冬は新浄化池第四系列も植生管理のために手を入れようとしています。こちらも、それなりに難航。新年早々の1月7日、これまでトラクターを泥にはめる(トラクターが泥に足をとられて動けなくなることを「はまる」と言っています)経験がなかった野長瀬にいさんが、とうとう初体験。達夫さんと二人、寒い中での泥まみれの救出劇を演じることに。
トラクターをかけたあとの土を見ると、高い1段目はしっかり乾いているのに、2段目は半乾きで重そう。3段目になると、押せばじわっと水が出そうな感じ。4段目に至っては、まだ小さい水たまりが残っていました。4段目を歩いてみると、泥の上に鳥の足跡がいっぱいで、今はとてもよい感じ。でも、このままだと6,7月にはほとんど全体にアシがひろがることは確実です。水鳥が入る今の状態を保つためには、やはり手を入れないと。
「不耕起栽培」や「冬季湛水」といった生物全体を視点においた水田のあり方。まさにここの保護区でも目標にしたい考え方です。今年はこの逆を行く事態になっていて、気持ちの上でも相当つらい。
水田雑草やシギ・チドリは、定期的な攪乱(たとえば洪水や耕作といったもの)に適応している生きものたちです。浄化池に入る魚や貝や蛙たちも、攪乱という要素を利用しているはず。みごとなアシ原も、ヒメガマの大群落も大好きだけれど、シギやチドリが入る湿地といえば、植物の被度が1~2割どまり。その状態を作り出し、保って行くにはどうしたらよいか。「ある段階で植物の遷移を止めようとしているわけだから、たいへんなのは仕方ないんですね」