放鳥まで 2004年10月
鳥の国から すずがも通信148号 2004年10月号掲載
放鳥まで
8月15日・22日・28,29日と日曜ごとの降雨と涼気。そのたびに「すわっ、青潮」とひやひやしながらDOメーターの数字を見ます。千葉みなとや幕張方面とか、浦安の境川方面では海がエメラルドグリーンで、カニやハゼが水面近くに上がって、と気になる話をあれこれ聞いていますが、保護区はなんとかかんとか、DO値(水中の溶存酸素量)が1㎎/Lを割り込むところまでは行かずに済んでいるみたい(2㎎/L以下は貧酸素水になるので、酸素が少ない状態は間違いないのですが、魚が死ぬまでにはなっていない)。気温がむちゃくちゃな乱高下で、人間ばかりか、野鳥病院の鳥たちも、けっこうこたえているみたい。でも、ちびちび青潮状態になっている時は、大量・全面死を招くような大青潮は出ないはずで、そのかぎりでは、とてもありがたいお天気です。
外でシジュウカラが小声でさえずっています。ここ何日か近くに来ていて、珍しくヤマガラ1羽と連れ立ってくることもありました。放したシジュウカラかなあ。さすがに、足の標識リングまではなかなか見えません。同じころに放したヒバリは傷病鳥舎のまわりで時々見かけます。「住宅地」「庭木の間」「屋根」、どれをとってもヒバリが好むような環境ではないので、ここ出身の鳥であることは確か。みんな、元気でやってね。
治療室の暖房箱→中部屋→大部屋、と、順次移動を重ねて、あと2,3週間で飛べる、と見極めをつけたカルガモ・セット(ひと家族の兄弟だったり、日齢が近いものを一緒にしたりしたヒナたち)を着々と放鳥しています。9月5日の日曜に第3セットの6羽を標識放鳥し、翌日に最終セット3羽を大部屋に移しました。あとひと息。小さいうちはむちゃくちゃかわいらしく、頼りなく、それがみるみるうちに大きく意地悪で大食らいになってゆくカルガモたち。
カルガモの移動に限らず、何種類もの鳥をいっしょに入れている野鳥病院では、部屋割りはとても大事。これをここに入れて、あれはあそこに出して、といつも頭を悩ませています。