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現在進行 鳥の国 3  作者: 蓮尾純子
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「リセット」  2004年4月

保護区はいつも現在進行   すずがも通信145号  2004年4月号掲載


   「リセット」


 昨年夏以来の(正しくは一昨年の夏以来、でしょう)作戦は、ヒメガマの地下茎に届くまでの深さ(40~50㎝)をまずユンボ―によって耕し、トラクターが届く深さ(10~20㎝)まで地下茎を掘り上げること、そしてトラクターをかけて地下茎を細切れにし、翌年の生長を徹底的に妨害することです。一昨年は、ユンボ―がけをひととおり終えることはできましたが、トラクターがけをじゅうぶんに進める前に雨が降り、ユンボ―で掘り返したでこぼこの地面がそのままになってしまいました。足場が悪すぎて、春先のトラクターがけも、水をいれたままの草刈りもとうとうできないまま。

 昨年目指したのは「リセット」。生物群集に対して使うには、あまりにも不遜で無礼なことばです。それでも、まさにそのとおり。定着し、遷移してゆこうとしているヒメガマ群落をできうるかぎり白紙状態―裸地に戻す、ということ。

 何故に、「リセット」などという乱暴な目標を置くのか。竹内が原の目標は、あくまでも淡水湿地を好むシギ・チドリ類の復活です。そのためには、植物の被度は多くて1~2割におさえなくてはなりません。ほんの少し茂みがある程度に開けた場所でないと、シギ・チドリ類は入らないのです。どうしてなんでしょうねえ。

 トンボなどにとっても、もっとずっとスケールが小さくてよいはずですが、全面が植生におおわれた場所よりも、若干開けた場所を好む種類が多いと伺っています。昨年夏のように、被度が8~9割に達してしまうと、サギやカモも入らなくなってしまいます。十分に広大な場所であれば、アシ原の王様、サンカノゴイやチュウヒなどには好まれるはずなのですが。

 そこで敢行した「リセット」作業。雨がタイミングよくしっかり降って、いつまでも動きがとれずにいた夏から秋とは裏腹に、12月以降はみごとに晴天が続きました。鴨場の御泉水改良工事の関係で、ユンボ―を入れて作業ができるのは2月と決まっていました。冬型の気圧配置が崩れる2月には、必ず降雨が続く時期があります。案の定、借りたユンボ―が到着した2月2日は雨。



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