新釈「龍の形見」11
岡寺のぶよが『龍の形見』の中に閉じ込められて、そして、だいぶ時間が過ぎた。
岡寺のぶよは、外の様子がまったくつかめなかったが、とっくに日が変わっているように感じられた。
そんなとき、部屋にスクリーンが出現したかと思うと、テレビ放送を流し始めた。テレビではニュースをやっている。
戦争のニュースだ。
人類とエイリアンの戦争が始まると言うニュースだ。戦争の原因は、エイリアンの王子を誘拐し、エイリアン側に十五億円の身の代金を要求したことにあると言う。
エイリアン側の代表として、ドクターノバが、ニュースに登場している。
エイリアン代表、ドクターノバは、興奮した様子で、あることとないこと、いろんな情報を話しているが、その内容は酷く一方的であった。
人類側というかリンダの意見も取り上げられるだろうと、岡寺のぶよは、ニュースを観ながら待っているが、リンダに味方する内容は、結局なかった。
ニュースでは、つぎにドクターノバの語ったリンダや、岡寺のぶよや、堀米泰成に関する批判というか悪口についての検証が始まった。
岡寺のぶよは、ニュースを最後まで観たが、リンダや、堀米泰成に味方する意見は、最後まで語られなかった。
「リンダは、エイリアンの敵というより、むしろ人類とエイリアンあわせたものの敵になってるわ」
ニュースの終わりにまたエイリアンが登場した。
「人類は、というか、東京都は、エイリアンに十億円を支払いなさい」
「そうすれば、リンダが使い込んだ五億円と、堀米泰成が持ち逃げしている五億円がエイリアン側に戻って来ることになります」
「その時エイリアンも譲歩してくれるでしょう。エイリアンは、鬼ではないのです」
テレビニュースのドクターノバが、微笑んだ。
そして、ニュースは終わった。
都民の税金から、十億円がドクターノバに支払われることが決定した。
この時点では、エイリアン、ドクターノバのたてた十五億円の横領計画は破綻のない完全なものに思われた。
しかし、このとき、ドクターノバには、実際には、予想もつかない未来が待っていたのだ。




