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新釈「龍の形見」4

岡寺のぶよが言うには、コーヒーパーラー「ライフ」方面というのは、占い的にいうと、この数日のことを考えると 星の巡り合わせで方位的な問題がある。


そういう理由で、岡寺のぶよは、コーヒーパーラー「ライフ」に近づこうとはしないということらしい。


塚原瑛太は、そういう風に聞いていた。


しかし、岡寺のぶよには、塚原瑛太が虫が好かないという、単純明快な理由で、コーヒーパーラー「ライフ」に寄りつかなくなっているらしい。


岡寺のぶよの繊細さを理解しない塚原瑛太の鈍感さを、岡寺のぶよに急に耐えられなくなってしまったという。



一方、塚原瑛太は、重すぎる決断を迫られる立場にいる。


塚原瑛太は、困った事態になると、すがれるものを求めてしまうタイプの男だ。


塚原瑛太は、岡寺のぶよのことを、頼りがいがあって、好ましく思っていた。


塚原瑛太は、岡寺のぶよと、これまでよくあったようにコーヒーパーラー「ライフ」で鉢合わせしたりする事を期待していた。


しかし、岡寺のぶよは、現れなかった。


塚原瑛太は、大事なとき、必要なときには現れない、会いたいときに会えないというのが、岡寺のぶよだけでなく「待ち人」一般の特性とひとり思った。


塚原瑛太にとってみれば、自分が、数日前まではコーヒーパーラー「ライフ」で頻発に顔を合わせていた岡寺のぶよに、実は嫌われているとは、夢にも思っていなかった。


塚原瑛太は、周りのせい(せい)にしてしまう自分の不運というか巡り合わせの悪さを嘆くより、岡寺のぶよの指摘するように、実は、自分自身の鈍感さを嘆くべきかも知れない。


      #       #


ということで、次に、岡寺のぶよの近況について話してみよう。


岡寺のぶよは、このところ、毎日の日課としてコーヒーパーラー「ライフ」に現れる代わりに、が、下町のとある庶民的なそば屋に、岡寺は訪れていた。


乱れた気を整えるのは、『おそば』を食べるのが一番。というのが、岡寺のぶよのこの何日かの持論であった。


岡寺のぶよは、このそば屋で、お昼をすませると、地下鉄を使い、埼玉方面、千葉方面、横浜方面、新宿方面へと、日々違った方面のいろんな場所に向かった。


出発前に、岡寺のぶよは、スマホで、訪問先にアポイントメントをとっていた。


そば屋の女将には、そういう岡寺のぶよの仕事ぶりを垣間見て、「あの占い師さん、本当に顔が広いわね」と驚いて見せた。


「自分も貴方のようなやり手占い師にあこがれてしまう」


そば屋の女将は、岡寺のぶよに話しかけた。


その時、岡寺のぶよは、そば屋の女将の言葉が苦々しく感じられた。


「私のほうは、占い師の才能が無く、平凡で、先の見えない女に憧れているのにね」


      #       #


「なにか、驚くようなことが起こるわ」


岡寺のぶよは、占い師人生における経験の中から、ふたつの大事なことが起きそうな予感がしていた。


たとえば、地上にいる無数の占い師の中から、神に選ばれた占い師があらわれる。


彼女は、近々起こる大惨事を予言して、世界のヒーローになってしまう。


また、とてつもない金持ちが、五億円くらいの大金をアタッシュケースに詰め込んで、彼女の占いブースを訪問し、「この金の使い道については、一切合切、あなたにおまかせしよう」とか、言い出したりする。


このような予感に岡寺のぶよは、ほくそ笑んでしまう。


「しめしめ、こういう展開に乗っていくためには、さらに情報収集活動が必要、怠りなく! 分かってますって!」



一方、岡寺のぶよは、自分が、未来や未知の事柄の予感のせいで公平な気持ちになれない事。また、自分が、意地悪な気持ちになることがつらかった。


「これが原因で、自分の悪い運気につながっている」


岡寺のぶよにとって、これはなんとかしなければならない悪い流れであった。


そのせいなのか、岡寺のぶよは、このところ、非常な危機を実感していた。自分の頭の線が、すべて切断されてしまって、霊感が、脈絡もなく暴走してしまうこともあった。


      #       #


実は、岡寺のぶよだけではない。多くの占い師が同じイライラを抱え込んでしまっているのである。


「運命の悪い影が、我々占い師全体の未来にかかっているのよ」


悪い影とは、岡寺のぶよや同業の占い師を悩ませているモグリの占い師のことである。


「どんなに憎んでも憎みきれない商売敵!」


「このモグリで、ダンピング占い師のところをエイリアンが襲撃し、この不法占い師を土星にも拉致し、一生涯、占いに必要な彗星の見張り番をやらせるべきよ」


このモグリの占い師がたどる、そういうザマーミロ的展開を岡寺のぶよは期待していた。


「モグリの占い師を含めてこれらを放置していると、将来よほどのことが起きて、取り返しがつかなくなるに違いないわ。なにか、二千年ほど前、古代都市ポンペイでおきたことに、近い悲劇が到来しようとしているそんな予感がするわ」


岡寺のぶよたちは、このモグリでダンピングの占い師の真相をつかもうと、動き始めていた。


「ニュータイプの占い師として、ダンピングで評判になっているモグリの占い師についてなにか情報ありませんか?」


岡寺のぶよの質問に対して仲間の占い師たちは、敵意に満ちた回答を返して来た。


「それって、私たちの最大の敵、ダンピング占い師のはなしでしょ」


「その占い師が、地球に最悪の事態をもたらそうとしているのよ」


岡寺のぶよの仲間の占い師たちによれば、問題のモグリの占い師が、何かとんでもないことをしでかしそうな予感がするというのだ。


「なんか、あのモグリの占い師が、未来のすべての不幸に絡んでくるって言うことね。見つけだして、一刻も早く殺してしまわなくっちゃ」


しかし、岡寺のぶよらには、けっきょく今のところ打つ手はなかった。


「しかし、占い師とかいっても、評判がよい、受けているとかいう情報だけでは、どの占い師のことをいっているのか全く絞りきれないわ」


しかし、この問題の解決の糸口は、意外なところからもたらされた。



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