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初登場、岡寺のぶよ!7

お猿のゴンくんの事件が解決して数日が過ぎていた。


コーヒーパーラー「ライフ」では、マスターと「平安クリーンスタッフ」の社長、塚原瑛太がこのたびのお猿のゴンくんの事件を振り返っていた。


「しかし、バンドマン ツヨシが、答えだとは思いませんでした。そして、お猿ゴンくんのご飯のシステムが、答えにいたるヒントでした。」


「実は、お猿のゴンくんは、お昼になると昼ご飯をもらうために、猿山から飼育舎に戻るやうにしつけられています」


「お猿のゴンくんの飼育舎には、お猿のゴンくんが、指定のボタンを正しい順序で押し、それが確認されると自動的にお猿のゴンくんにエサが与えられるという装置が設置されています」


「初め、何者かが、お猿のゴンくんの飼育舎に侵入してお猿のゴンくんのエサを盗んでいたことが、お猿のゴンくんにストレスを生み出して、それでお猿のゴンくんがおかしくなったと考えました。だって、大の人気者のお猿のゴンくんには、日本中から高級な果物などがたくさん送られて来ていたという話でしたから」


「それで、お猿のゴンくんの飼育舎の鍵の管理はどうなっているのか調べてみました」


「そとから、お猿のゴンくんの飼育舎のこの装置にたどり着くためには、二つの鍵がいります」


「猿山に入る鍵と、そこから、飼育舎へ行く鍵です。この二つの鍵は、どちらもいくつか合い鍵が作られていました」


「合い鍵が作られていたというのは、動物園の人たちも、知っている話でした。一つ目の鍵は、猿山の鍵で、ここの近くの子供たちのグループが代々受け継いで所有していたのです。彼らは、猿山に入るためだけではなく、それらの鍵を使って、空いた施設に入るためにもその鍵を使っていました。その子どもたちは、空いた施設で捨てられた小動物を飼っていたこともあったそうです」


「そこで、猿山に入る鍵の合い鍵を誰か他の人が作ってたりする話を聞いた事がないか子どもたちに聞いてみました。子どもたちがいうには、バンドマン ツヨシが、彼ら、子どもたちと仲良しで、子どもたちにお猿の深夜にゴンくんと遊んでいるど自慢したそうです」


「子どもたち話をバンドマン ツヨシにしてみると、バンドマン ツヨシは、お猿のゴンくんの飼育舎を頻繁に訪れていたことを白状しました」


「猿山へ入るための鍵を、子どもたちから借り受けてそれの合い鍵を作り、もう一つの飼育舎への鍵は、バンドマン ツヨシの友人の真下能斗のうとの目を盗んで、持ち出し合い鍵を作っていたようです」


「バンドマン ツヨシは、この二つの鍵を使い、深夜にお猿のゴンくんの飼育小屋を訪ねては、よくお猿のゴンくんと遊んでいたらしいのです」


「先週、お猿のゴンくんの餌として、特に高級な果物が与えられたことがあったそうです」


「その時、バンドマン ツヨシは、深夜に飼育舎を訪れおり、餌やり器にセットされた高級果物を盗んだのだということです」


「あるべき果物がなかったために、餌やり器が誤作動を起こし、お猿のゴンくんは翌日の昼ご飯抜きの状態に陥ってしまいました」


「飼育員が餌やり器に高級果物以外の餌が、残っていたので不審に思い、それで、はじめて、お猿のゴンくんの様子がおかしいことに気づきました」


「それから、お猿のゴンくんに餌がきちんと与えられたのだが、お猿のゴンくんはそれ以降ご飯を食べなくなってしまったと言うことです。お猿のゴンくんは、それ以来、状態が悪化していき、最後には非常に危険な状態に陥ってしまったのでした」


「お猿のゴンくんは、どうしてご飯を食べなくなってしまったのでしょうか? これが私には謎でした」


「私は、バンドマン ツヨシにじっくりと話を聞きました。そして、バンドマン ツヨシは、お猿のゴンくんのエサの高級果物を盗んだものの、バンドマン ツヨシとお猿のゴンくんの友情は本物である事を確信しました。そして、お猿ゴンくんの事件の謎は解けたのです」


「謎が、解けたのを確認するため、バンドマン ツヨシを動物園に呼び、お猿のゴンくんの飼育舎で、バンドマン ツヨシとお猿のゴンくんを引き合わせてみました。バンドマン ツヨシは、ねぐらのお猿のゴンくんに駆け寄りました。すると、お猿のゴンくんの顔に明るい光が灯ったのです。お猿のゴンくんは、キキキキキッと声を上げバンドマン ツヨシを迎えたのです。こうして、事件は解決したのです。妖怪ネコまんまは、お猿のゴンくんの事件とは関係はなかったのです」


「ところでバンドマン ツヨシは、自分のしでかしたことが、高級果物を一個盗んでしまったことを後悔しました。さらに事件になってしまったことにびびってしまい、お猿のゴンくんのところに近づかなくなってしまっていたのです」


「そして、バンドマン ツヨシは、毎晩猿山を訪れていたものの遠くからお猿のゴンくんの様子を見守っていただけでした」


「お猿のゴンくんにとっては、近くにいるのに、遊んでくれない親友にイライラして、ついには絶望してしまったということなのです」


「お猿のゴンくんが、バンドマン ツヨシのことを親のように慕っていたとしたら今度のようなやっかいな事態になったとしても不思議ではないですね。お猿のゴンくんが回復したと言うことは、お猿のゴンくんとバンドマン ツヨシとの信頼関係が回復したと言うことです」


「バンドマン ツヨシが、駆けだしたときにすべては解決したのです。私の考えは間違っていなかったわけです」


そして、塚原瑛太は結論を述べた。


「今度の事件の発端も、バンドマン ツヨシであり、解決の鍵もバンドマン ツヨシだったというわけですね……」


      #       #


塚原瑛太が、お猿ゴンくんの事件について、マスターに話し終えた頃である。


マスターと塚原瑛太は、何かの気配を感じて入り口の近くの暗がりの方に目を向けた。


そこには、ぼんやりとした姿の岡寺のぶよがいたのだ。


「あなたたち私を見ても驚かないところを見ると、若松春子が、すべてのことを喋ってしまったみたいね」



      #       #


岡寺のぶよは、若松春子にどういうことを言おうとしているのか。


たしかに、若松春子は、事件が解決した晩に岡寺のぶよに起こった不思議な出来事についてその一部始終を、会社や、コーヒーパーラー「ライフ」で会う人ごとに話していた。


若松春子に言わせれば、占い師、岡寺のぶよが、生きたまま不思議な力によって、この世から連れ去られてしまった。


若松春子の話では、不思議な出来事が起こったのは、お猿のゴンくんの事件が、「平安クリーンスタッフ」社長の塚原瑛太によって解決さたあの日晩の事であった。


その晩、岡寺のぶよは、荒れに、荒れていた。


若松春子は、岡寺のぶよに、一晩中つきあわされた。


岡寺のぶよは、最後までヒドい状態だった。


若松春子は岡寺のぶよを送っていこうと提案したのだが、岡寺のぶよは、それを断固として断った。


「私のことは、ほっておいて、絶対にあとをつけては、ダメよ!」


しかし、若松春子は、心配だったので、岡寺のぶよのあとを、コッソリつけて、無事住まいにたどり着くかどうか確認することにした。


岡寺のぶよは、時おり、よろけたりしたが、大体はしっかりとした足取りで歩いていた。


岡寺のぶよは、歩きながら、自分のことを見捨てたデーモンや自分に恥をかかせたとして、占いの神様のことを呪い続けた。


岡寺のぶよが、東京マリーン動物園にさしかかった頃、異変が起きた。


空が、突然曇り出したかと思うと、風が起こり、雨が降り出した。


雨や風は、勢いを増し、若松春子は、先を行く岡寺のぶよを見失いそうになった。


それでも、若松春子は岡寺のぶよを見失うまいと、さらにしっかり目を凝らして岡寺のぶよのあとをついて行った。


怪しげな影が、若松春子を追い越して、岡寺のぶよのほうに行くのを感じた。


岡寺のぶよは、よろけると、物陰に姿を消した。


若松春子は、心配になり駆け出した。すると、岡寺のぶよの悲鳴が聞こえた。


若松春子が、再び、岡寺のぶよの姿を見たときには、影が、岡寺のぶよに襲いかかって、連れ去って行くところだった。


岡寺のぶよは、影と共に、空のかなたに消えてしまった。


      #       #



確かに、若松春子の証言通り、コーヒーパーラー「ライフ」のマスターや塚原瑛太の前に現れた岡寺のぶよは、この世のものとは思えない影の薄い岡寺のぶよであった。


やはり、若松春子が言いふらしているように、岡寺のぶよは、霊界に連れ去られていたのだろう。


それでも、岡寺のぶよはコーヒーとナポリタンスパゲッティを注文した。そして、じっくり味わいながら、食事をとった。


幽霊のごとき岡寺のぶよは、食事をすませると、霊界に帰るかの如く、その存在が稀薄になりつつあった。


しかし、そんな時でも岡寺のぶよは、一言意見を残して置くことだけは忘れなかった。


「ねえ、私、あっちの世界の住人になって分かったんだけど、あんたたちって、あっちの世界で顔なのね。私、あんたたちのことをボンクラだと思っていた」


「というか、いまでも、ホンモノのボンクラだと思っているけどね。メニューに関しては、コーヒーは何とか合格という水準。でも、今回のナポリタンは結構いけてたわ。まあ、気に入った。ときどき、あっちの仲間連れて、遊びにくるから、よろしくね」


そう言うと、岡寺のぶよは、コーヒーパーラー「ライフ」の入り口の近くの暗がりの中にすーっと消えていった。




 了



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