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初登場、岡寺のぶよ!4

今度の超自然現象、超常現象の体験者のひとりとして、易学界の権威として、タロット占いな重鎮として、トランプ占いのレジェンドとして、岡寺のぶよは、動物園を訪れ、園の案内係員にお猿のゴンくんについて話を聞いてみた。


案内係員は、岡寺のぶよの異様なやる気に圧倒され、ゴンのいるおりに案内した。


しかし、岡寺のぶよの熱意は、この案内係員には肝心なところでは十分には伝わっておらず、このあと岡寺のぶよは、「なんでよ! 」と何度も絶叫してしまうハメに陥った。


まず、岡寺のぶよは、この案内係員に案内されて、お猿のゴンくんがいるおりの前にやってきた。


檻の中には、一匹のやつれた猿がいた。その猿は、苦しそうに肩で息をしていた。


岡寺のぶよは、その猿がお猿のゴンくんであることは一目でわかった。


岡寺のぶよは、檻に入って、中にいるお猿のゴンくんを抱きしめ、励ましてあげたかった。


「お猿ちゃん、いそいであげないと、命が危ないわ」


それなのに、岡寺のぶよは、檻おりの中に入ることはゆるされなかった。


案内係員が、必死に岡寺のぶよのとを止めたのである。


「岡寺のぶよさん、ルールは守って下さい。飼育員は、今、留守ということです。檻の中に入るには、最低でも飼育員の許可が必要なので、今は中に入ることは出来ません」


「なんでなの! お猿さん死んじゃうよ!」 


「ある意味、これは、謎の密室事件でして、動物園の関係者の手にも負えてないのです」


「岡寺のぶよさん。あなたには、この事件は無理なのです。占いで太刀打ちできる問題ではありません」


「岡寺のぶよさん、あなたは、専門外ということです。この密室の背後にあるなにかの鍵が解けないとお猿のゴンくんは良くならないのかもしれないと思います」


岡寺のぶよは、案内係員の話が全く理解出来なかった。


「だから、私がこうして手を貸してあげようと、力になってあげようと参上したではないの。でも『密室』ってなによ?」


「これって、推理サスペンスものの話じゃないでしょ。誰かが、お猿の遺産を奪って話じゃないでしょう。そのまんま、妖気に満ちた妖怪ホラーの話なのよ。たとえば、狼男と妖しい月夜とか、美女とか。そっちの世界の話よ」


「だから、妖怪ネコまんまの視線を釘付けにしてしまう美女として私が参上するって話ではないの? 」


「妖怪ネコまんまは、私の美貌の虜になり、きっと私のお願いには素直に従ってくれるわ」


「そして、この動物園にかけられた妖怪ネコまんまの呪いが解けてしまうでしょう。それで、すべてが解決、メデタシメデタシということではないの」


岡寺のぶよは、熱く自分の考えを案内係員に伝えた。


岡寺のぶよは、案内係員に自分の考えが十分に伝わったと確信した。


岡寺のぶよは、勝ち誇り、檻の扉を開こうとした。


しかし、案内係員は、今度も必死に岡寺のぶよを止めたのである。


案内係員は、岡寺のぶよをなんとか説得しょうとする。


「何者かが、密室の檻の中に入って、お猿のゴンくんの自動餌やり器の餌を奪ってしまったということなんですよ」


「当時、近所の幼稚園から差し入れがありまして、お猿のゴンくんの昼ご飯として高級果物が出される予定でした」


「その餌を、お猿のゴンくんが食べる前に、奪い取っていったらしいのです」


「一度目には、係員のど忘れか、機械の故障と思われたんですが、これが、連続して起きておりまして、おかげで、うちの動物園の人気者のお猿のゴンくんは、この餌やり器から、物心ついた頃から、もらっていたもので、このおもいもかけぬ事態に、すっかり、頭が混乱してしまったらしいのです。そして、お猿のゴンくんは、ノイローゼになってしまったのです」


岡寺のぶよは、案内係員の筋の通った説明を全く受け入れなかった。


「そうじゃないって、妖怪ネコまんまは、人間と人間におもねる動物たちに復讐しようとお猿のゴンくんに狙いを定めて呪いをかけたのよ! はっきりしてるじゃないの。それ以外に考えられないわ」


案内係員は、岡寺のぶよが、あまりに聞き分けがないので、最後には言う必要の無いことを岡寺のぶよに言ってしまった。


「うちとしても、騒ぎになってしまう前に、事件を解決できないものかと、ちゃんと手を打っておりまして、その会議のために飼育員が留守にしているというわけでして……なんていったかなぁ? お店の名前……」


これまで、案内係員の説明を全く受け入れなかった岡寺のぶよであったが、この案内係員の断片的な話で、岡寺のぶよは、すべてのことをたちまちのうちに理解した。


「ちゃんと手を打っているって、私のところには、今のところ何の連絡も来てませんけど? ぜんぜん、そんな話聞いてませんけどね! とにかく、第一の関係者としては、私もその会議に出なくてはならないわ。……。えっ、その会議って、ひょっとしたら塚原瑛太とかいうやつがからんでない?」


岡寺のぶよは、案内係員に苦々しい表情で問いつめたのだった。


「なるほど……」


「とはいっても、あいつら、つまり、塚原瑛太のやっていること、考えていることは、すべて私はお見通しなんだけどね」


「『平安クリーンスタッフ』の社長の塚原瑛太というやつは、町のもめ事、相談事に片っ端から頭を突っ込んでいく奴よね。それを解決するとか言うのを口実にして、顔つなぎをして、コネを作り、それで、あたこちから仕事をもらっているというもっぱらのうわさよね」


案内係員は、ついに大事なことを思い出せた。その喜びで岡寺のぶよの話を遮った。


「そうだ、思い出した。コーヒーパーラー「ライフ」とかいう店です。室町アヴェニューにある少しさびれたコーヒーパーラー、『ライフ』ですね」


岡寺のぶよは、案内係員の話をしっかりと聞き取った。


「コーヒーパーラー『ライフ』? それって、今じゃ流行らないナポリタンとかいうタイプのスパゲッティ出すお店じゃないの? あの方面、私は行ったこと無いけど」 


「前に、私の親友の若松春子がそこでよくランチ食べたという話してたから覚えている」


「よし、分かった! 私が、そのコーヒーパーラー「ライフ」っていうお店に行って、塚原瑛太がどういうつもりで、今度の事件に顔突っ込んでいるのか確かめてこよう」


岡寺のぶよは、立ち去ろうと身をひるがえしたのだが、その背中を動物園の案内係員がつついた。


動物園の案内係員は、まだいいたい事があった。


「……今度の事件のポイントといたしましては、推理小説でいう『死人に口なし』ということではなく、『お猿に口なし』というところが困ったところでありまして……つまり、お猿のゴンくんは、犯人を目撃しておりますが、それを、我々にその犯人を教えることは出来ないということでして……」


動物園の案内係員の話はまだ続いていたが、岡寺のぶよは、それを無視してコーヒーパーラー「ライフ」へと向かった。


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