初登場、岡寺のぶよ!3
嵐の夜、デーモン(魔神)に連れ去られた岡寺のぶよは、自室のベッドの上で目を覚ました。
岡寺のぶよは、とても爽快な気分であった。
しかし、岡寺のぶよは前日の深夜からその日、目を覚ますまで、自分になにが起こったのか、全く記憶がない。
ただ、ベッドの上で目を覚ましたとき、昨日の嵐の夜の出来事は、岡寺のぶよは、自分に天の神様から下されたお告げだと確信していた。
「昨日の深夜、天の神様は、私、岡寺のぶよを拉致なさいました。それが昨日私に起こった出来事。そして、今朝、私は自分の部屋で爽快に目覚めている。昨日の夜の出来事が嘘であるかのように」
「それは、天の神様に選ばれた占い師には、よく起こること」
「さて、岡寺のぶよに、天の神様はどんなお告げを下されたのだろう? ……」
「ウーーン! それがぜんぜん思い出せないんだよね。天は、昨晩、重要なお告げをわたしに対して下したはずなんだけどね。でも、肝心なその天のお告げがぜんぜん思い出せないんだよね。困ったわ」
岡寺のぶよは、思い出そうとした。
岡寺のぶよは、を朝ご飯を食べながらも、洗濯をしながらも、部屋の掃除をしながらも思い出そうと試みた。
しかし、岡寺のぶよの午前中の努力は空しく、岡寺のぶよは、なにひとつ思い出せなかった。
「分かったわ。私は探せばいいのよ。天の神様が私に望んでいること。天の神様が私に告げたかったこと」
「まず、何が起ころうとしているのか、街をあちこち調べてみよう。街ではなにか異変が起こっているはず」
岡寺のぶよは、それを知るために、この町の事情通ひとりひとりから、片っ端から情報を集め出した。
岡寺のぶよは、この町の飲み屋街の一軒一軒の女将とは、大女将も、若女将もだいたいはツウカーの仲であった。
岡寺のぶよにとって、彼女たちは、大切な占いのお客様であった。
岡寺のぶよは、占い師として、教育の悩みから、経営の悩みから、もちろん、恋の悩みまで、岡寺のぶよは長年彼女らの相談に乗っていた。
岡寺のぶよは、町を回ると町に流れるおもしろそうな情報、うわさ話をいくつか聞く事ができた。
今、町に流れるいくつかの情報やうわさ話の中で、岡寺のぶよは、妖怪ネコまんまというのが一番気にかかった。
「大きな声じゃ言えないがね。いま、妖怪ネコまんまにやられて動物園が大変なんだよ。妖怪ネコまんまというのは、動物園の動物たちの餌を奪い取っていく化け物だそうだよ」
とある小料理屋の女将が岡寺のぶよに言った。
動物園とは、もちろん、あの嵐の夜に岡寺のぶよが通りかかった東京マリーン動物園のことである。
「私が遭遇したのは、その妖怪ネコまんまなのかもしれない。いや、きっとそうに違いないわ」
岡寺のぶよは思った。
「妖怪ネコまんまにやられたのは、お猿のゴンくんだ。例のテレビによく出てくる猿のお猿のゴンくんだよ。テレビの人気者の」
岡寺のぶよと女将との話に板前が口を挟んできた。
「そして、担当の飼育員が一番苦しい立場に置かれているそうだ。真下とかいう若い飼育員だ。お猿のゴンくんと一緒にテレビに出ている人だよ」
岡寺のぶよの頭には、なにかひらめいた。
「その妖怪ネコまんま、わたしも遭遇したのよ」と、岡寺のぶよは言いたかったのだが、ぐっと押さえたのだ。
そのかわり、
「わたしなら、お猿のゴンくんに力を貸してあげられるかも」
岡寺のぶよは、そう言うと勢いよく立ち上がった。
「天の神様は、嵐の夜、妖怪ネコまんまに私が遭遇するようにしむけたのね。そう、妖怪ネコまんまの事件を解決するようにと。これを解決するのが、私の使命! 」
岡寺のぶよは、妖怪ネコまんまの現れる事件の現場へと急行した。つまりは、東京マリーン動物園である。
「そこでは、天の神様に選ばれた占い師、岡寺のぶよの力を必要とするお猿のゴンくんが待っているはずよ」




