表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/63

課外授業2 仲良し3人組は永遠です


「これ、ホントに有りなの……?」


 理沙はお腹の正面で紐を締めると、鏡に映る自分の姿を確認する。


 このスカートはウエスト部分が特徴的だ。千代花によればハイウエストのコルセットスカートというらしい。

 コルセット風のウエストが胸のすぐ下まで伸び、露出の少なさと反比例してやたらと胸を強調する。


 白いブラウスと相まって一見清楚な雰囲気だが、年齢相応にそこまで豊かではない理沙の胸も、細く締め付けたウエストとの差で視線が集まらざるを得ない。


 ……本当にこんな服が男性受けが良いのだろうか。


 試着室のカーテンの後ろ側。待機しているはずの友人に声をかけようとすると、わちゃわちゃと揉み合う気配が隠しようもなく聞こえて来る。


『こら、千代花。そんな堂々と着替えを覗かないの』

『でも立夏。女の子同士なら着替えを覗いても構わないんですよ?』


 ……久しぶりに会ったというのに相変わらずの二人だ。

 3人でショッピングモールで買い物なんてどれだけぶりか。小学生時代を懐かしく思い出しながら、理沙は試着室のカーテンを振り返る。


「構うわよ。立夏、ちゃんと千代花を押さえておいて」


 言いながらブラスのボタンを喉元まで閉める。


『あら、聞こえてました? 安心して。私はちゃんと理沙ちゃんを()として見てますよ?』

『千代花、あんたが言うと意味違ってくるから』


 千代花と立夏。理沙とは別々の学校に通った3年間。

 高千穂女学院中等部で一緒に過ごした二人のやり取りは熟練の域に達している。


「二人とも久々に会ったってのに相変わらずね」


 溜息を堪えながらカーテンを開けると、待ち受けていた千代花が手を合わせて歓声を上げる。


「あら! まあまあまあ!」

「えーと……どうかな」


 流石に恥ずかしいのか。

 理沙は顔を伏せながら、スカートの裾を摘まんで形を直す。


「ピッタリです! 流石、私の見立てた童貞を殺す服ですわ!」

「殺っ……!? 死ぬの? ど――童の人達に厳しすぎない……?」


 理沙の最もな疑問に、鬼コーチの千代花は満面の笑みで頷いて見せる。


「安心してください。死ぬのは社会的にだけですから」

「ならいいか」


 なら良いようだ。

 理沙が再び鏡に自分の姿を映していると、背後から続けざまにシャッター音が響いてくる。


「写真撮っていいですか? 悪用はしませんよ。ホントですよ」

「もう撮ってるし。連射モード止めて」


 手でカメラのレンズを塞ぎつつも、理沙は確かな手ごたえを感じていた。


「よし、これで慎二さんも……!」


 何しろ『同級生女子を性的な目で見る系女子』のお眼鏡に叶ったのだ。

 自分に半落ちのおじさんも、これで一気に勝負をかければ―――


「じゃあ次はこれ穿いてみましょうか? 大丈夫、もうレジは通しましたから」


 千代花が興奮気味に何かを差し出してくる。


「チェック柄のニーソ……?」

「はい! これを穿けば、理沙ちゃんの意中の彼氏もイチコロです!」

「……ホントに? 今時の中年男性ってこういうの好みなの? 初耳なんだけど」

「もちろんです! 気に入らないようならここで試着だけして下さい! 私が持って帰りますから―――」

「え、ちょっと千代花。試着室に入らないで。カーテン閉めないで」


 3年間で増した千代花の攻撃力。

 たじろぐ理沙の前、立夏は千代花の襟首をつかむ。


「はい、千代花そこまで! 理沙に触らない! 靴下脱がせない!」

「でも立夏、理沙ちゃんの足って凄くスベスベなんですよ? 久々なのに我慢なんて―――」

「千代花―――ハウス!」

「……はい」


 千代花はトボトボと店を出ていくと、通路のベンチにションボリと腰掛ける。

 理沙は複雑な表情で二人の顔を見比べる。


「あんた達、三年間の間に何があったの……?」

「私達はこれでいいの。三年かけて、ここに落ち着いたんだから」


 なるほど。多分色々あったのだ。

 立夏の苦労を思いつつ、理沙は鏡に向き直る。


「……理沙はこれでいいの?」

「これでって?」

「その恰好、確かに似合うけどさ。ホントにあのおじさんでいいの?」

「……どういう意味?」

「悪く思わないでね。20才の年の差は大きいよ」


 立夏は理沙の両肩に手を置くと、一緒に鏡を覗き込む。


「うん、理沙はやっぱり可愛いよ」

「……年の差とか関係ないわ。むしろ、いままで売れ残っていたことに感謝しないと。それに―――」


 理沙は何かを思い返すように目をつむる。


「その問題に関してはこの四年間で5000回くらい考えたから」

「……多くない?」

「一日3回強、このことについて考え抜いてたらそのくらい行くわよ」


 理沙は自分の額に手の平を当てると、溜息をつく。


「考えすぎて、認知症予防支援相談士の資格とか取っちゃった」

「……相手の人、そのレベルなの?」

「私の見立てだと、遠からず必要になるわ」


 当時からストレスと老化でなんかヤバい瞬間があったのだ。

 あれから四年。年相応に劣化している可能性を考慮の上の決断だ。


「……それでも好きなの?」

「……うん」

「じゃあ、後悔しないように頑張りなさい。応援するわ」


 立夏は理沙の背中を優しく叩く。


「ありがと、立夏」

「それと一つ。その人は―――」


 言いながら深刻そうに首を横に振る。


「―――千代花には会わせないように」


 理沙は無言で深く頷いた。


「……なにか私の名前を出してませんでしたー?」


 立夏の背中にのし掛かるように、退場を命じられていた友人が再登場。

 理沙は思わずため息をつく。


「もう、千代花。こんな少ししかジッとしてらないの?」

「仲間外れ、寂しいですぅ……」


 この三年間で庇護欲を掻き立てる手管を身に付けたらしい。

 立夏の険しい顔が見る間に緩む。


「仕方ないわね。大人しくできる?」

「はーい♡」


 イチャつく二人の友人に向かって、理沙は肩を竦めて見せる。


「千代花、ありがと。このコーディネート一式、頂いてくわ」

「まあ……理沙ちゃん、私の見立てを信用してくださるの?」

「邪念の有無はともかく、私のことを考えて選んでくれたんだもの。これ着て頑張ってみる」

「理沙ちゃん……!」


 感極まったのか、千代花はハンカチで目元を拭う。


「私の服を着て殿方に抱かれに行く……これってもう、理沙ちゃんが私に抱かれるようなものですね!」

「「違う!」」


 理沙と立夏、ツッコミのシンクロ率が100%に達した瞬間である。


「それに、だ、抱かれに行くわけじゃないから!」


 顔を赤くしながらの理沙のツッコミに、千代花がニマリと怪しい笑みを浮かべる。


「あら……でも、成人男性にちょっかいかけたら、行きつくところは……ねえ?」

「千代花、私に合意を求めないで」


 立夏はしかめっ面で千代花の頬をつつく。


「さ、着替えるからあっち行って」

「ほら立夏、下がらないとカーテン閉められないですよ」

「千代花に言ってるの。だから靴脱がないで。試着室に入ってこないで」

「背中のファスナー、下げてあげようかと思って」

「ブラウスだし。ファスナー無いし」


 まだも諦めきれない千代花を見て、理沙は悪戯っぽく微笑んで見せる。


「ちなみに覗いたら、ランチ奢りだからね。気を付けなさい」

「つまりランチ代を出せば……覗き放題?」

「「違う!」」


 再びのハモリ芸。


 立夏の手で更衣室から連れ出されようとした千代花は、その手を振り払うと理沙を抱きしめた。


「ちょっと千代―――」


 理沙は言いかけた言葉を飲み込む。


 ―――このハグはいつもと違う。


 理屈ではない。

 いつもの性的な意味のハグでは無く、友人としてのそれだと―――身体が気付いたのだ。


「……なによ。千代花らしくない」


 理沙は千代花の背中に手を回す。


「理沙ちゃん、大丈夫。きっと気持ちは伝わりますよ」

「……うん」

「こんな可愛くて素敵な女子を嫌う男性なんていません。正面から、ちゃんと気持ちを伝えるだけです」

「…………うん」


 ―――百合園千代花。


 小さな頃からの理沙の一番の仲良しだ。

 これからの長い日々で、理沙と千代花には色んな一番が増えていく。


 だけど今この瞬間までは、二人にとっての一番は―――腕の中にいる相手だ。


 そしてこれからは―――


「……ちょっと長くない? 30秒越えたんだけど」


 腕組みをして不貞腐れた表情の立夏。

 千代花は理沙を腕から解き放つと、嬉しそうに振り返る。


「妬いちゃいました?」

「誰がよ。千代花が悪さしないか心配だっただけだし」

「あら、私が悪さをするのは立夏にだけよ?」


 千代花は”これからの一番”の腕を取ると、理沙に想いを込めた笑顔を向ける。


「頑張ってね。理沙ちゃん」


 その言葉に、理沙はあの頃のような勝気な表情をして見せる。



「―――任せて。あのおじさん、メロメロにしてやるから」


やあ (´・ω・`)

ようこそ、メスガキハウスへ。


え? メスガキハウスを名乗っても良いのかって?

安心して欲しい。ついにメスガキ特区が認められて、ここが唯一の認可店なんだ。


これまで色々あったけど、これで堂々と―――

ん? なんでこの店だけ許可されたのかって?


いわゆる現物による司法取引―――ゲフンゲフン。いや、何でもない。


心機一転、全く新しい店なんだ。

さあ、注文を聞こうか。


……新品の綿の白靴下だって?


いいのかい。

その昔、お客さんがキープした、ちょっと生意気なクラス委員のニーソが、まだここにあるんだけどね。


……ああ、確かにそれは15年物だ。

穿き主はすでに就職して、毎日満員電車に揺られている。


だけど彼女がツンデレ委員長だった日のキラメキ……それは変わらずここにある。


じゃあ、改めて。

―――注文を聞こうか。




久々の元メスガキ’Sの面々は相変わらす仲良しです。

外では立夏、ベッ○の中では千代花が主導権を握っているようです。千代花曰く、その関係性が一番具合が良い、とのことです。

〇の中には何が入るんでしょうね。何の具合が良いのかも、心の清い私には分かりません。


すいません。公私ともに色々忙しくて更新が滞っていますが、課外授業に気長にお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 元メスガキちゃんを愛でる集会所はここかな? なかなか探せなくて苦労したよ。 今回は元アラサーさんが堕ちるところまで見せてくれることを期待しているよ。 デュワーズの12年をトワイスアップで頂…
[良い点] そうか…等々メスガキ特区が認められたのか… [気になる点] と言う事は気が付かずに、ここに居た私達は特区の住人と言っても過言では無いのかも知れないね… [一言] そうだマスター小さな下駄と…
[一言] もう第2章ならぬ「女子高生編」で始めちゃえばー しかし、メスガキハウス、18禁にならないよう気を付けてね(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ