憧れの高校生活②
更新が遅くなりました。
前回の続きです。
気楽に読んでください。
「あのぅ…ホストクラブとはいったいどういったところなのですか?」
「「「「!?」」」」
衝撃の発言に俺と卯月、神奈月、霜月が発言した人物を見る。
その人物は水無月六海。
今この場にいる中でも清楚で美しく、育ちのいい感じが滲み出ていて見るからにお嬢様と言ったような人物である。
また性格も大変よろしく、一部からは女神だの天使だのテンプレみたいなあだ名で呼ばれている。
かく言う俺も一度本人の目の前で女神と呼んだら嫌だったのかプンプン怒りだした(全く怖くないし、またそれが可愛い)。
そんな人物がなぜこの場にいるのかかなりの疑問だが今はそれを気にするところではない。
「え、水無月さん…?ホストクラブがどういった場所なのかご存知ない?」
「はい。なので具体的に何をする場所なのか全く分からなくて…神奈月さんさえよろしければ教えてい
ただけませんか?今後のためにも知っておきたいので!」
誰もが守ってあげたくなるような超絶純粋な応対をしてみせた水無月に思わずたじろぐ神無月。
っていうか今後ってなんだよ今後って。
「…水無月以外、今すぐ全員集合」
三空の召集のもと、水無月を除いたメンバーが集まる。
「おいおいおい、なんだよあの反応…なんか何もしてないのにこっちが悪い気になっちまう…」
「それについては俺も同感だ。流石にあそこまでピュアとは思わなかった…」
「神無月さん、ホストクラブ発言したの神奈月さんなんだからなんとかしてよ…」
「私!?確かに私の責任かもしれないけど、荷が重すぎるわよ!!」
「とは言え、我々もどう説明していいか分からんのでな…」
「…当たって砕けろ」
「遠回しに死ね発言してんじゃないわよ!!」
なんでホストクラブごときでこんなことになっているんだか…
もちろんこしょこしょ話だから当の本人は頭に?を浮かべているのだが。
「とりあえず神無月が知っている範囲で答えればいーだろ?俺はバカだから説明しろって言われても無理だぞ!」
「霜月君…そこ胸を張るところじゃないと思うな…」
「…バカばっかり」
「説明しろったってどうしろってのよ!?水無月さんに変なこと教えたら私が殺されるじゃない!!」
殺されるは考えすぎだが、確かに純粋無垢である水無月に変なことを吹き込むと彼女のファンがなんていうかわからない。
このまま話してても拉致があかないのだが、いかんせん解決策も見出せないでいる。
「ではここは僕に任せてくれないか。こういうのはストレートにいくべきだと思うんだ」
ここで名乗りを挙げたのは長月九里という男。
神無月や霜月と同じくらいヤベー奴なので嫌な予感しかしない。
「長月…その申し出はありがたいけど、変なことだけは絶対言うなよ?」
「大丈夫だ。ここで僕がパーフェクトなアンサーをしてこの場を乗り切ってみせよう」
一応釘を刺しておくも聞き流されてしまう。
というかこいつはいちいち発言がうざい。
病気か?
そんなこともお構いなしに皆月の方へ向かう長月。
「水無月ちゃん、ホストクラブがどういうところが知りたいんだってね?」
「は、はい!もしかして、長月さんが教えてくれるんですか?」
「もちろん教えてあげるとも!この僕が手取り足取り…」
「アウトじゃこらーーーーーーーーーーー!!」
「ゔっっ!!?」
叫ぶと同時に文月七葉が長月にドロップキックをかます。
ナイスだ文月!
「あんた睦月に変なこと言うなって言われたよね?何してんの?」
「ちょ、ちょっと…ま、待って…蹴られたところが…ぐふぅ…」
蹴られたところが痛いのか、息も絶え絶えである。
いやまあ、当然の報いではあるのだが。
「何してんのってこれから教えてあげるところだったじゃないか!?逆に何してくれてんの!?」
「ふーん、教えるって、どうやって?」
「そりゃ、手取り足取り…」
「死ね」
「へぶぅっ!?」
文月がさっきと全く同じ場所に蹴りを入れる。
ちょっとあまりにも容赦なさすぎて水無月がおろおろしてますよお姉さん。
「文月さん?いったいどうされたのですか?」
「んーん、なんでもないよ!ごめんね騒がしくて?」
てへっと笑う文月は可愛いのだが、それで先ほどのことはなかったことにはできませんよ?
「…つまりホストクラブとはそういったところなのです。わかりましたか水無月さん?」
「はい!ありがとうございます!ホストクラブとは奥が深いのですね…」
結局説明はうちのメンバーの中でもインテリ系な葉月八雲がすることになり、万事解決となった。
最初から葉月に任せればよかったのでは?と気にしてはいけないのだ。
「18歳未満は行ったらダメなお店なんて、えっちなお店みたいですね」
「限りなくえっちな要素はないのですが、何も知らないでそういう偏見を持つ方もいますよ。ただ、基本的にお触り禁止な店がほとんどですし、お客側から吹っかけてくることもあるそうです。」
「そうなんですねぇ。葉月くんは物知りですね!」
それほどでもと、葉月は謙遜しつつ説明を終える。
それと同時に扉が開く。
「あーーー!もう話始めてるのですー!ずるいですずるいですー!」
「すまない、日直の仕事で遅くなってしまった…」
今きたロリっ娘JKは師走一二菜、筋肉モリモリな男は皐月五織。
今日は日直だったため遅くやってきた彼らは謝りつつ自分たちの席に座る。
師走はなぜか俺の膝に座る。
「師走さん、なぜ当たり前のように俺の膝に座るのかね」
「なぜって、睦月さんの膝が一番落ち着くからですー。もしかして、嫌でしたか…?」
泣きそうな目でこっちを見るんじゃない。
三空がこっちを睨んでくるから大変なんだ。
「嫌では、ない、けど…」
「それならよかったですー!」
なぜこんなに懐かれてしまったんだか…
前世でいったいどれだけの徳を積んだんだろうか。
「ねえねえ師走ちゃん!睦月ちゃんも困ってるようだし、僕のお膝に…」
「あ、生理的に受け付けないので遠慮しますー」
「辛辣ぅ!?」
長月の誘いを秒で断る師走。
ロリっ娘でみんなのアイドル師走ちゃんが生理的に受け付けないって相当だぞ?
「それはそうと、みんなはさっきまで何を話していたんだ?」
ここで皐月が話題を変える。
というより脱線しまくっていたが、これが本題である。
「そうだ、さっき話してたことな。えーっと、何話してたっけ…?」
「今後の活動方針について話してたらいつの間にかホストクラブの話になってしまったな」
「本当に何話してたんだ!?」
そりゃそんな反応にもなるよね。
本当、なんでこんなことになったのか。
人と触れ合うのは楽しいし、実際問題今のこの状態もなんだかんだで楽しんでいる俺がいる。
不思議な出会いではあるがこれも何かの縁。
ここにいるみんなも楽しんでくれていると信じたい。
のだが…
「たまには静かに過ごすのもいい。個人的には釣りがオススメ」と如月。
「いや、やはりここはボードゲームであろう」と三空。
「えー、僕が提案したカフェ巡りにみんな賛成してたじゃないかぁ」と卯月。
「それならみんなで筋トレをしよう!筋肉はいいぞぉ…」と皐月。
「私は清掃ボランティアに行きたいです」と水無月。
「せっかく12人もいるんだし、なんかチームスポーツしようよ!」と文月。
「皆さん、学生の本分は勉学だということをお忘れなきよう」と葉月。
「僕は綺麗なお姉さんの椅子になりたいよ」と長月。
「美男子と美男子のキャッキャウフフしているところが見たいわ」と神無月。
「やっぱメイド喫茶でしょ!ここは譲れない!」と霜月。
「みんなでオススメの本を提供し合うのはどうでしょうか!」と師走。
……………
「お前らまとめる気全然ねえだろ!?」
今日一番の叫びが出た。
結局、今回の話し合いで何もまとまらず、時間だけが過ぎ去ってゆくばかりであった。
こんなまとまりのない奴らと3年間過ごさなきゃならないのかと思うと期待半分、不安半分である。
一期一会、よくできた言葉だなぁと、改めて思った。
キャラ一気に登場させるのは大変ですね…