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lifelines

作者: ひなもんじゃ
掲載日:2016/03/11

ライフライン



 戦闘によってライフラインは復旧した。今回は仲間と共に戦闘状態からライフラインを死守することができた。しかしそこから生まれたのは給料だけであって、称賛されるわけではない。


 世界は「ある事件」によってエネルギーの極度な「自由化」が進んだ。これは世界同時的にある「極論」が「ある事件」の起きた後に現れ、それに支配されてしまった為であった。その結果ライフラインはみずから生産するか、誰かに頼るかの二つに二分されてしまった。この地区はあるエネルギー供給公社から得ているライフラインを他の地区からの供給妨害から我々警邏隊が一丸となって死守している。地域に必死に貢献している。なのに世間の風当たりは相変わらず冷たい。というのも、やはり生活において密接にかかわりすぎているからだろう。取り分が少ないだとか、もっと取り分を増やせだとか、世間が言うのはそういったことばかりである。

 そんなことを警戒地区最前線の基地であるベースキャンプ場に戦車でもどりながら思っていた。今日も成果を聞きにくる市民の皆さんがお見えになっていることだろう。そしていつものように愚痴をこぼすのだろう。しかしこれは紛れもない事実なのである。事実は受け入れるしかない。


人間、悪いことを聞かず、悪いことを見ず、悪いことを言わずに生きていけたらどんなに楽なのだろうと思った。実際いまこの移動中にも仲間たちはそうしている。今も自分の曲の好みだとか、酒の好みだとかをただただ話している。たぶんキャンプに戻っても市民の皆さんの対応はしてもその愚痴なんて一切しないのだろう。しかしそれはある意味思考停止に近いことではないか―――、そう思うのである。


 戦車が止まった。外に出ればいつものように騒ぐ声が聞こえてくるのだろう。 私は身を縮めるような思いで外に出た。

 が、思ったより静かだった。とはいえ相変わらず市民の皆さんはお見えになっていた。なんなのであろうか。私は奇妙に思った。


しかし、その謎はすぐ解き明かされることになった。

市民の皆さんのリーダー格のある男が言った。


「今日は『あの事件』から20年の節目であり、市民が創設した警邏隊も10周年の節目を迎えます。このことから市民一同を代弁し感謝と敬意を我々が表すとともに、益々の活躍を期待しています」

 男はこういうと、花束を隊長に渡した。隊長はそれについて笑顔で応じ、男の手をがっちりと握った。彼はお言葉ありがとうございます、我々一同精進して参ります。そう述べたのだった。

 私はそれを見てなんだがイライラした。「いつもは成果ばかり騒いでいるくせに小癪なことをいうな、思ってもいないことをいちいち言うべきではない、そんな感謝なぞいらない。」

私は、思わず口にしていた。

場は一瞬で凍り付いたのだった。

その刹那、私は地面に衝突していた。誰かに殴られたときづいたのは2秒ほどたってからだった。私は後頭部に激しい痛みを感じながら、意識が遠のいていくのだった。


気付いたら救護テントの中であった。テントの骨組みの格子がはっきりと見えた。しかし依然後頭部は痛い。そう思っていたら、隊長の声が聞こえた。

「お前、こんなふうに市民の皆さんに喧嘩を売るようなことをしたら殴られるのは目に見えたことだろう。なぜこのようなことを言ったのか、理由を言え。」


私は少し間を置いた。

「……納得がいかなかったからです。普段成果を聞くことしか能がない市民団体が、急に改まって節目だからと感謝しだすその心意気に正直なところ反感を持ったからです」

隊長はそれを聞いてフッと笑って、

「お前らしいと言えばお前らしい。だがな、」

といって少し躊躇しながらいった。

「だが、彼らが幾ら偽善だろうと『あの事件』の考えるきっかけになったのだったらそれはそれでいいことだ、人間、普段は生きることにみんな手一杯で必死なのだ」

そして彼はいきなりこんなことを話し出した。


「多分お前が生まれるもっと昔、『あの事件』とは別に大規模な事件が起こった。しかし当時のマスコミなんかは国で統一された放送全国ネットだったからあることしか報道しなかった。それは被害の規模や状況についてはなく被害者の人生がどれだけ悲劇だったかを取り上げるニュースだ。自分はそれについてハッキリ言って反吐がでた。なんで情況よりこんなことを取り上げるばっかりなんだってな。でもな、結局関心がいかなければ人間動かないもんだ。だから偽善といってそれを一応に否定できない。なぜか?人間は自分が生きるのに必死だからだ。関心を持たなかったから自由化の流れでこうなってしまった今、そう思った。」

 だけど、お前の考えていることもわかるしこのやろうともおもうよ。……早くその痛みを治して出動に備えろ。隊長はそういってテントを出て行った。

私は考えた。私はあの時なぜ口にだしてしまったのかと。でも、反感があったのは事実だし、暴力に訴える市民団体も市民団体だ。しかし……


「隊長の言っていたことはもっともなことなのかもしれない」


 たとえ偽善だろうと関心をもつことは必要であるということか。それでも私はどうしても納得ができない。都合のいいことをただ言っているようにしか思えない。

 痛みを感じながら私はテントで横たわっていた。


常に中庸の意見を持つのは難しいことだが、私は中庸の意見を考えることは重要だと思っている。昨今、さまざまなSNSなどのメディアに触れることは多くなった。しかしそれによって大勢の意見に流されてはいけない。

※この作品はある楽曲から連想した作品です。この作品が筆者の政治信条などを表すものではありません。またこの話はフィクションです。いかなる団体及び会社、事柄には関係しません。

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