報告1 桑矢&小松原
「ただいま~」
「お…かええり」
「日本語変だぞ?」
「…まさかの彼女連れでの帰還!?」
彼女?俺にそんなのいないの知ってるだろうが。
周りを見回すと、俺以外のメンバーが口をあんぐりと開けていた。
「魔王!?」
ショックから立ち直った六人にくーの正体を教えた。
「はい、魔王です。勇者様」
「魔王に勇者って言われるのは違和感が…。そして、なんで俺たちが勇者なんだ?」
「長くなるから、まずはそっちから話してくれ」
勇者の話とかマジで長くなるから、先に情報が欲しい。
過激派のメンバーがどう出てくるのかが心配だ。この先、邪魔になるようだったら排除しなければならない。
「桑矢たちから聞こうと思う」
「了解した学園の周りには特に変なものはいなかった。だから、周りの生徒に話を聞いてみた」
なるほどな。周りに何もないならその辺にいる人間に聞いた方が早いよな。
「簡単にまとめると、駐輪場や校門前にいた生徒たちは、跡形もなく消えているとのこと」
「ただし、下駄箱にいた生徒は消えていなかった。颯、あれを出した方がいいと思う」
「わーってるよ」
あれ?下駄箱の話をしていたんじゃなかったのか。
「これが、落ちてきたんだと」
「…首?」
人間とは思えない生首。俺たちが、吐き気をこらえているとくーが、
「影鬼」
とつぶやいた。…って影鬼?
「なんだそれ」
「魔人族ではない魔物。私たちの敵でもあるの」
なるほどな。敵か…でも、なんで生首だけが落ちてきたんだろうか。
「続けるぞ。下駄箱にいた生徒はこれを見てパニックになり、外に出て行ってしまた。他の生徒があたりを確認したが、見つからなかった」
「…しかし、神のアナウンスが流れた時には校内にいたというんだ。でも、誰も校内に入った彼らを見ていないというんだ」
見ていない?他の生徒たちが探していたのに?
「しかも、スキル習得後に再び姿が見えないという」
「幽霊にあったんじゃないか?とか、みんなは言っていた」
幽霊か。だが、幽霊ならスキル習得の時に姿を現したのは何故なんだ?
「それと、感づいていると思うが先生が誰一人として見当たらない」
「…やはりそうか」
「でも、直前まで先生と話していた生徒がいてね」
…ちょっと待て、目の前にいた先生が消えたとか言うんじゃないだろうな?
「水海が考えてることは違うぞ」
「消えたんじゃないなら?」
くーが俺の袖をクイクイと引っ張ってきた。
「たく。おそらく、魔物のせいだと思う」
子供みたいに袖を引っ張るな。
可愛かったので、頭を撫でてあげた。
「…続けていいのか?」
「すまん。続けてくれ」
やばいやばい。まったく、くーの行動は恐ろしいな。
「そう。真っ黒い影が先生の体に巻きついて、地面の中に吸い込まれていったと」
……どういうことだ?目の前にいる生徒をほっておいて、先生を優先するってどういうことだ?
大人が…先生を連れて行く理由とはなんだ?
「さすがに私もそんな能力は見たことない。魔人と魔物のハーフだった可能かもしれないけど」
魔人と魔物のハーフならそんな特殊な能力が発生してもおかしくないとことか。
「分かった。ハーフはなんて言うんだ?」
「そのまんま、魔獣っていうの」
魔獣…か。そうすると、魔物を従えるスキルとかがあると便利だが、無いものをねだっても仕方ないな。
「しばらくは、魔獣と魔物の動きを警戒しながらの探索になりそうだな」
「これで、俺と小松の報告は全部だ」
全く、初日だというのに随分と迷惑な現象が起こっているな。
校舎周辺の情報は、もう集めなくていいだろうな。