風帝の巫女
「どういうことだ?」
「私と同じ力を感じます」
くーと同じ力?…魔王?それとも巫女の力なのかな?
通路を進むと、黒い影が見えた。
「ん?」
「影犬ですね」
ダジャレなのか?…TH(長いので省略することにした)の鑑定を発動させた。
影犬 レベル250
スキル
気配察知、咆哮、影隠、影爪
ドロップアイテム
影犬の牙[高]、影犬の爪[中]、影刀 伝説級[希少]
強いですね。…ドロップアイテムって表示されるんだな。
伝説級ってなんだろう。後でくーにでも聞いてみるか。
「どうします?」
「戦わないと駄目みたいだぞ?気配察知を持ってる」
「そうですかぁ」
その前に、スキルを奪っておかないとな。
「十秒ほど時間をください」
「構わないぞ?」
何をするつもりなのだろうか?…気になるが、スキルを奪っておかないとまずいな。死んでからスキルを奪えるのかは不明なんだしな。
THのシーフスキルを発動。
『気配察知、咆哮、影爪を入手しますがよろしいですか?※尚、この表示は今回限りの表示になります。はい/いいえ』
影隠は奪えないのか?それとも、レベルが足りないのか?…情報が少なすぎる。
とりあえず「はい」を押した。
『気配察知、咆哮、影爪を入手しました』
ふむ、影爪は腕を振ることで影の爪を飛ばして攻撃するのか。遠距離の攻撃はあっても困らないからいいか。他の二つは言葉通りだと思うしな。
「準備できた。いっくよ~」
魔法なのか?あの黒い塊は…。
「破滅の魔弾!」
くーを鑑定出来たら問題がないのだが、レベルの差と魔王ということで鑑定がレジストされてしまう。
「倒しました」
「くー、その魔法は?」
「私の固有スキルの破壊魔法です」
「破壊魔法?属性魔法じゃないのか?」
「詳しいことはまだ分かってないんですぅ」
「そっか。この先にいるんだろ?」
気配察知を手に入れたおかげか、この先に人の気配を感じる。
ダンジョンを出たらアイテムボックスとステータスの確認をしておかないとな。
「ここに?」
「はいです。この力は、風帝の巫女ですね」
風帝の巫女か。…桑矢の未来を知っている女か。
「風帝の巫女さーん。出てきてくーださい」
そんなノリで出てくるのか?
「…クシャナ?」
「はい~。魔王のクシャナちゃんで~す」
「……ってことは、その時が来たのね」
「そうですぅ~」
何処にいるんだ?
「そうでした。姿を見せて~。たくが見えないって」
「たく?」
「私の勇者様」
「そう。…初めまして。妖精族のフィアナ・ケットシー。風帝の巫女です」
姿を現したのは……。
「こどm…」
最後まで言えなかった。…違うな。言わせなかったみたいだな。
ケットシーに殴り飛ばされていた。
「ぐほっ」
「たく~。ふぃーちゃんに子供って言っちゃ駄目よ?見た目は子供でも、私と同い年なんだから」
「……分かった」
そういうことは早めに言ってくれよ。そうすれば、殴られずに済んだと思うんだが…。
くーの年知らないけどな。
「とりあえず。ここから出よう。一旦、外に出て…」
あいつらを待とうと言おうと思ったのに、何やらけっこうデカい魔物の気配が二体ほどこちらに向かってきている。
「まずはあれをこなさないとな」
「そうですね~」
「また、人間どものせいか」
人間ども?…幸樹の生徒の事かな。迷惑かけて申し訳ないな。
謝罪は後でするということにして、まずは目の前の問題を片づけてしまわないとな。