会いたい、と、会いたい
#会いたい、と、会いたい
あのあと、楓さんは一時間ほどしてから、凌さんにハグをして帰った。凌さん羨ましい。
帰宅後、風呂に浸かりながら明さん宛にメッセージを打ち込む。
『こんばんは』
『雅です、遅くなってすみません』
[おっ、お疲れ!]
[いつ来るかなーって期待してたぜ~?w]
うわ、返信はや…
『すみません。ちょっとバタバタしてたんですけど
今やっと落ち着いて風呂は入れてて…』
[え、なに、雅今風呂なの?素っ裸なの??]
明さんらしい反応に、内心大爆笑しながらも返信する。
『wwwそうですけど?』
[うわーお兄さん座ってられないわーもうー雅あざといぞ★]
「…ゆかいな人だな明さん…」
思わず声に出してしまった。
そのとき、ふと口元が緩んでいることに気がついた。
「数分でどんだけ惹かれてんの、俺…」
そのあとも、明さんの楽しげなテンションに乗せられ、随分と話が弾んだ。
もっと話したい。画面越しじゃなくて、もっととなりにいたい。
明さんのことを、もっと知りたい。
なんて伝えればいいのかわからないまま、会話だけが流れていく。
が、その時はあっけなく訪れた。
[てか俺、ケッコー雅タイプなんだよね。節操ないって思うかもだけど
一回俺とデートしてみねえ?]
俺のタイプ。デート。
デート???
『で、デート、ですか?、』
[そ。嫌なら忘れてくれていいんだけどー]
[行きたいです!!おも、明さんともっと会ってしゃべりたいなって、思ってたとこでふ!]
焦りすぎて誤字だらけの文になってしまった。恥ずかしい…
『ふはは、雅焦りすぎ。かーわいー』
なんでだろう。可愛いと言われる事を、極度に嫌っていたはずなのに。
明さんに言われるのは、全然…いや、全く嫌じゃない。
逆に、この感情は
「嬉しい…の?」
* *
デート とは
恋愛関係にある、もしくは恋愛関係に進みつつある二人が外出し、共に行動する事。逢引、及びランデヴーとも言う。
画面に表示された文を、2、3度読み返して、ため息を着く。
デートは、次の火曜日になった。
二人共午後の講義もバイトもないので午後2時くらいからの予定だ。
どこに行きましょう、と聞いたところ、「カラオケがいい」と言われた。
二人カラオケは正直苦手だが、明さんとなら大丈夫な気がした。
「気張らずに…行くべき、だよな」
とは言っても、やはりそわそわしてしまうもので。
こうなったとき、いつも頼ってしまうのは、頼りになる年下の幼なじみ。
「こんなんだから年下に弟扱いされるんだよな」
でも、無意識にチャットを開く程には、頼りにしていた。
『凛、今ちょっといいか』
[んー?どうしたー?]
『実は――』
デートすることになったこと、舞い上がっていてどうしたらいいのかわからないこと、その他言いたいことを全部話した。
すると一分後、いきなり通話モードに切り替えられた。
[そういうことなら、私に任せなさいなっ!!!
いやあ、男ってのはなんでこんなに展開が早いんだろうね!!お姉さん楽しいわ!
明日雅の家行くから、作戦会議ね!]
「え、ちょ、待って?なんの作戦?」
[は!?決まってんでしょ?!明さんを完全に落とす作戦に決まってるじゃん!!]
「おっ、おとっ…!な、何言って…!」
[ふふー、わかってるよ、雅。明さんに惹かれてるんでしょ?
大丈夫、あんたたち絶対お似合いだから!絶対二人共幸せにしてあげるから]
二人共、幸せに。
明さんが、何度も傷ついて、立ち上がって掴み取ってきた、一瞬の幸せを。
俺が、つかめなかった幸せを。
「り、ん」
[え?なに?]
「俺が…俺と、明さんが付き合えたら、二人共幸せになれる…?」
[ふふ、もちろん。それも、明さんが言ってたような一瞬じゃなくて、明さんと雅なら]
永遠の幸せだってつかめるんだよ。
「わかった。よろしく、凛」
「任せなさいっ!」
恋の傷は、次の恋が、癒してくれるって、
本当、だったんだな。
途中の「デート とは」の部分は、ウィキ○ディア先生に教えていただきました。
どうでもいいけど逢引ってエロくないですか
はい、二話です。
当初のプロットを完全に無視して書いております。
どうしよう、このあとまとまるんですかね。
雅くんは、ちっちゃい頃からしっかりしてる凛ちゃんに助けられたり、守ってもらったりしてきたので、年下だけどおねえちゃんみたいだと思っています。
凛ちゃんは雅くんのことを見ていて飽きない観察対象だと思っています。と同時に、凛ちゃんの初恋は雅くんだったりしました。
凛ちゃんは腐女子さんですが、彼氏くんもいますし元彼さんもいます。
このあたりは短編としてまとめられたらいいなと思います。
では、今回はこのへんで。