アメイジング桃太郎~鬼が島編~
むか~しむかしのそのまたむかし。
あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていました。
いつもどおりおじいさんは街へ仕事に、洗濯機を修理に出していたのでおばあさんは家の敷地内にある川へ洗濯に行きました。
おばあさんは誤って川の近くで転んでしまい洗濯物と一緒に川の下流まで流されてしまいました。
するとそこには他人の敷地に勝手に入り洗濯をしているおばさんがいるではありませんか。
しかも流されている人を助けようともせずに、流れてきた洗濯物のみを回収している。
その光景を見たおばあさんは怒りの力により、どうにか川の岸までたどり着くとそこにいたおばさんに怒りのまま殴りかかりふるぼっこにして、おばさんの身ぐるみと持っているものすべてを取り上げて家の敷地の外に放り出しました。
一方、おじいさんは仕事中に、充電可能な脳波コントロール式ビーム発射装置を拾い、会社に報告してそれを仕事の報酬としてもらうことにして家に帰りました。
家に帰ったおじいさんはおばあさんが切ろうとしている桃を見て驚きました。
その桃はそれはそれは大きく、おじいさん上半身ほどの大きさもあったのです。
おばあさんの説明によると洗濯中に絡まれたので、そいつをふるぼっこにした戦利品と答えが返ってきました。
「そんなことよりもおじいさんや、おじいさんの周りに浮いているビーム発射装置でこの桃を切ってくれんかのう」
そう言ったおばあさんが切ろうとしているはずの桃を見ると、確かに傷一つついていません。
「そうじゃのう、話はこの桃を切ってからにするかのう」
おじいさんが操るビーム発射装置により、包丁が立たないほど硬かった桃がゆっくりと切られていきます。
そうして半分くらいまでいったところで、おじいさんとおばあさんの耳にかすかな赤子の泣き声のようなものが聞こえてきました。
◆◆◆
「おじいさま、おばあさま、必ず鬼を退治してきます!!」
そう、見送られているのが三日ほど前に桃からおじいさんとおばあさんに取り出され、桃太郎などという安直な名前を付けられた桃太郎です。
桃太郎が入っていた桃の中には、食べさせるものや世話の仕方などの紙が入っており育てるのに苦労はしませんでしたが、桃太郎は総計100キログラム近く用意された高級食品をすべて平らげて今の大きさになったのです。
これ以上食べられたら食費だけで家がつぶれてしまうと考えたおじいさんとおばあさんは、桃太郎といえば鬼が島ということを思い出し、近くにある鬼が島を頭に思い浮かべていました。
そして、鬼が島に鬼がいて人々を苦しめていると教えられた桃太郎は鬼が島に行って鬼を退治すると言ってきかなくなりました。
そうなった桃太郎を見てこれで厄介払いができると喜んだおじいさんとおばあさんは、一応は伝承通りにきびだんごを作って桃太郎に与え、ついでとばかりに脳波コントロール式ビーム発射装置などを与え桃太郎を喜んで見送りました。
そうやって勇んで出て行った桃太郎は現実の厳しさを思い知ります。
鬼が島に入ることもできずに門前払いをくらい、作ってもらったきび団子を食べずに人に渡せと言われていたのでそれを食べることもできず、何日間かを何もできずに過ごしていました。
何日目かに桃太郎はきび団子を鬼が島の門番に立っていた犬に渡せばいいのではないかと思いつきました。
そうして犬を仲間にして面接中にたくさんの猿や雉や犬を仲間にし、鬼が島に入ることができた桃太郎は、ときにきび団子、ときに演説を駆使して、ときにストレスではげる一方の頭に育毛剤をかけ、鬼が島で奴隷にされていた数千匹の犬、猿、雉を仲間にすると、一度仲間をすべて集めました。
「長きにわたり鬼に苦しめられてきた同志たちよ!今日を持ってそれも終わる!!
我々が結集できぬ中で散発的な反乱を繰り返してきた同志たちは鬼の半分を道連れにして散った。
半分の鬼が消えた今、残った鬼どもにどれだけの数がいようとも、それはすでにゴミでしかない。
しかし!あえて言おう!カスであると!!
半分になった鬼どもに、先日の反乱の十倍の規模を持った我々が負けることはない!!
これ以上戦っても鬼どもは散るだけだ!それを鬼どもに思い知らせ、我々の自由なる生活を勝ち取るために。
我々は立たねばならんのである!!」
その演説により士気があがった犬猿雉連合軍は鬼を瞬く間に蹴散らしていきます。
連合軍で歯が立たない鬼が出ても、桃太郎が脳波コントロール式ビーム発射装置で瞬く間に鬼を焼いていきます。
最後の鬼を倒し、鬼が差し出した宝を山分けにした連合軍は、それぞれが思い思いのところへ帰って行きます。
桃太郎は山分けにしたことでかなり小さくなったもののそれでもひとり分としては破格の大きさのお宝をおじいさんとおばあさんの家に持って帰りました。
そうしておじいさんとおばあさんと桃太郎は幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。
この作品はとあるところで戴いたアイデアを形にしたものです。
この場を借りてアイデアをくださった皆様に感謝を。