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Eclipse~SS  作者: 楪美
8/14

Eclipse-2014's Valentine's-Day 4

「やっちまったなあ」

「やっちゃったね」

「完全に怒ってるな」

「タイミング悪いなんてもんじゃないね」

「おら、フリーズしてねえでとっとと追っかけろ、バカ」



肩を押され、勢いでスツールから立ち、そのまま開いたままだったドアから走った。



ひどい吹雪だった。



吹き荒れる暴風と、雪が渦巻く音が耳を襲う。



限界まで細めた目に、後ろ姿のシルエットが浮かぶ。



大声で呼び止め、その隣に並んだ。



「戻ろう」

「嫌」

「なんで」

「なんでも」

「せっかく来たんだから、寄ってけって」

「だって」



足を止めた彼女の顔は、フードで隠れて見えない。



「あんなに、いっぱい」

「ああ。あれか」

「食べきれないでしょう。だから、いいの」

「よくないだろ。むしろ手伝ってほしいくらいだ」

「何それ」



ようやく俺の方を向いた目は怒ってはいたが、泣いてはいないようだった。焦りも、無駄な緊張も、一発で溶けてしまう。



「あれは、シンのだよ」

「シンちゃんの?」

「ファンの奴らが、送り先知らないからってウチに持って来たんだよ」

「じゃあ、さっき外でもらってたのは」

「さっき?」

「勝手口の近くで」

「ああ、あれも代理で。他も全部シン宛」

「でも、今、食べてた」

「シンの奴、プレゼント類は手紙以外全部辞退してるからって、俺が勝手に受け取ったって言って押し付けやがったんだよ。あいつの営業ポリシーなんか知ったこっちゃねえってのに」



もう一度顔を覗くと、不機嫌そうに唇を尖らせてはいたが誤解は解けたようだった。頬が赤いのは、寒いせいではないはずだ。



「戻るか」

「待って」



HAPPY VALENTINE'S-DAY



そう言って、彼女は持っていた大きなプレゼントを差し出してくれた。





ひとまずおしまいです。


ホワイトなバレンタインデーを記念して。



次に、会話だけのおまけあります。

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