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Eclipse~SS  作者: 楪美
4/14

Eclipse〜Lips



ドアベルの音と一緒にお店に入ると、ちょうど彼の頭と天井のあいだで、白い渦みたいな煙が揺れているところだった。



「気遣わなくてもいいのに」

「ん?」

「煙草。吸っていいのに」

「臭いつくだろ」



私の方をちら と見るやいなや、カウンターに乗っかっていた灰皿でそれを消す。ヘビースモーカーのはずなのに、私の前では頑ななまでに吸おうとしない。



「美味しいの」

「不味い」

「不味いのに吸うの」

「不味いから吸うんだよ」



訳のわからない答えを返しながら、いつものアイスティーを用意してくれる。私もいつもの席に座り、傍にあった灰皿から吸殻を手にとってみた。火をつけたばっかりだったらしく、まだ長いままだった。



「もったいない」

「知ってる」

「でも、やめられないんだ?」



彼がいつもやるように、ひしゃげたフィルタを指で挟んで口もとに近づける。焦げた香りが、鼻の奥を通る。



「こら」



唇に触れそうになったそれを、ひょい と取られてしまった。



「別に吸わないもん」

「そういう問題じゃない」

「どういう問題?」



彼が話の途中でそっぽを向くときは、顔を見られたくないとき。

いつもポーカーフェイスな彼が顔を見られたくないときは、それが崩れるとき。覗きこむと、なんだよ とわざとぶすっとする。きっと、私と同じことを思ってる。



「自分はいっぱい吸うくせに」



アイスティーを一口味わい、喉を潤し湿った舌で唇を舐める。さっき塗ったリップクリームの味が、ほんのりとだけど残っている。



「やめてもいいけど」

「本当に?」



声が近かった。少し荒れた唇が、すぐ目の前に映った。



小さく息を吸った。目を瞑って、その瞬間と、感触を待った。









キスしてないけどキスネタ短編。


早く本編でいちゃいちゃちゅっちゅすればいいよおまいら!!!

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