表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の彼女、変なんです  作者: 九条千冬
子犬少女と雨
1/2

おかしな同居人

突然だが、僕の同居人兼ペットは変だ。

どの辺が変かと聞かれれば困るが、とにかく変。

しかも本人は自覚なし。

自覚なしで毎日毎日、俺、東條祐を困らせる。

彼女、朝比奈藍瑠は見た目から中身まで全てが他の女の子とは違っている。


栗色のふわふわの長い髪、くりくりとした少し垂れ気味の大きな目、小動物のような小さな体…

そして栗色のふわふわした犬みたいな耳、ふわふわした尻尾…


性格は活発で甘えん坊、好奇心旺盛で周りから見れば元気な可愛い女の子。

耳と尻尾と、異常な甘え方がなければの話だが…



「祐ちゃん、おかえりー!」

学校から帰ってくるなり、タンクトップに短パンという格好で出迎えてくれる藍瑠。

因みに、今は12月。それも今日は雪が降っている。

どう考えたって寒いだろう、と思うが本人は気にしていないらしい。

「ただいま。

なんか焦げ臭いんだけど、また何かやってるの?」

俺が学校に行っている間、暇な藍瑠は大抵なにかをしている。

焦げ臭いのはまだマシで、酷い時には泥棒にでも入られたのかと思う程に部屋が荒らされている。

「あ、あのね!ご飯作ったの!」

そして、藍瑠は自覚なしで褒めて、と言わんばかりの笑顔で報告してくる。

こいつがこの顔をする時はろくでもないことが起きている…。

「なに作ったの?」

それでもちゃんと相手をしてやってる俺を誰か褒めてくれ…



そんな馬鹿なことを思いつつ、藍瑠に連れられて我が家のキッチンであったはずの場所へと向かう。

入るなり、そこからは玄関に漂っていたものとは比べものにならない異臭が放たれていた。

「藍瑠ちゃん?

一応聞くけどさ…これ、なに……?」

真っ白い皿に綺麗に盛り付けられた真っ黒い物体を指差して問う俺に、藍瑠はキョトンと首を傾げて言う。

「オムライスだよ?完璧でしょ?」

「どこが完璧なんだ⁉」

こいつは頭も目も嗅覚も壊れているらしい。

犬みたいな耳着いてるくせに、鼻は悪いのか?

それとも、犬だから人間と感覚がずれてるのか?

「ったく、いつもいつも家荒らしてさ…

藍瑠はそうまでして俺の気を引きたいのか?」

キッチンを片付けながらブツブツと文句を言う俺に、流石のこいつも少しは反省しているのか素直に頷いて聞いていた。

「で、でも!祐ちゃんに喜んで欲しくて…頑張ったんだよ…」

「うん、喜んで欲しいなら家を荒らさないでくれるか?

それが1番嬉しいかな」

あ、やばい。藍瑠が見るからに泣きそうな顔になっていく。

ちょっと強く言い過ぎたか。

「ごめん!泣くなって!!」

藍瑠を泣かせるとあとあと面倒なことになる。

その後、少なくとも2日は口をきいてくれない。

「あ、あいるだって…頑張ったのに……」

大きな瞳からポロリと大粒の涙が零れる。

ふるふると体を震わせながら、自分の服を握り締めている。

「ちゃんと食うから!な?」

藍瑠の頭を撫でながら顔を覗き込むようにして見つめる。

が、その手は無残にも払いのけられ、その衝撃で俺の手は壁に打ち付けられる。

「いってえ!!」

あまりの痛さに涙目になるが、慌てて藍瑠の方をみる。

そこには既に藍瑠の姿はなく、廊下からパタパタと軽い足音が聞こえ、次にドアが勢いよく閉まる音、そして鍵が掛けられる音がした。

「俺の部屋だよな…入っていったの…」

溜息を吐きつつ、まずはキッチンの片付けを始める。

取り敢えず腹が減っては戦は出来ぬ、だ。

藍瑠を説得するのは大袈裟だと思うかもしれないが、まさに戦。

この間も部屋から出すのに軽く4時間はかかってしまった。

「あいつ、怒ると長いんだよなー…」

無意識に溜息を繰り返してしまう。

あいつと暮らし始めてからろくなことがない。

お気に入りの家具は破壊されるわ、やりかけのゲームのデータは消されるわ、買ってきたばかりの食材を見るも無残な姿に変えるわで、そろそろ俺の胃に穴が空きそうだった。


真っ黒焦げのオムライスを見て、俺は今日何回目かの溜息を吐く。

どうしてこんなことになったんだ…

俺の平和な日常を返してもらいたい…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ