鴉第1羽-全ての始まり-
プロローグ
むかし、昔あるところに
光と陰の2つの世界があった
2つの世界は1つであり、
1つであってはいけないもの
人間がそれを望まなかった
「光と陰」それは対等にあるべきものだった
第1羽 全ての始まり
1・
朝、「わぁっ!!」短い悲鳴を上げて飛び上がったリクは冷や汗をかいていた。
最低の目覚めだ。
「はぁ・・・。」深いため息をついた黒鳥リクの顔には明らかに疲労の影が見え隠れ、それに加えて酷く暗い顔をしている。
理由は幼馴染の華月スズがいきなり行方不明になってしまったことに付けくわえ、奇妙な夢のこともありすっかり疲れてしまったこと。
スズはリクを唯一受け入れてくれる大切な人。その人が突然行方不明になると、いつもは冷静なリクも流石に動揺を隠せなかった。
それに加え、”夢”を見たせいで最悪な気分になった。
その夢とは実に滑稽な夢で、烏がいきなり話しかけてきて(それもとてもきれいな声だった!)自分たちの世界を救ってほしいと泣きながら頼んでくるのだ。
リクもそこまで悪逆非道なわけではない。つまりokしてしまったわけなのだが・・・。
これが実に馬鹿のことをしたと今更ながら絶望。次の言葉がリクの一番疲れている理由にもつながることだった。
「魔の森で待っている」そう言った烏はいつの間にか消えていた。
そして問題の言葉。”「魔の森で待っている」”これなのだが、実はそこにスズが行って行方不明になってしまったわけで、正直そんなところには行きたくない。別に行かなくてもいい。だが。行けと心が叫ぶのだから行くしかない。
とは決めたのの。
なんせ「魔の森」は悪いうわさが絶えなかった。入ったものは決して出られないというどこの馬鹿がほざいたかも分からない意味不明にして馬鹿げた言葉は・・・本当・・・らしい。
今まで勇気だめし!!とかいう命の大切さもしらん餓鬼がその森に入ったらしいが、二度と戻ってくることはなく、すぐに危険だと悟った仲間たちが警察に通報した(正確には助けを求めた)のだが手遅れだったらしい。行方不明ということでその餓鬼の一生はむなしく幕を閉じた。
自分もそうなると思うと悪感がして仕方がない。
考えれば考えるほど頭が痛くなっていく。
「とても素晴らしい悪循環だ。」
日本語になっていない言葉を呟いたリクの顔には憂鬱な気持ちがそのまま出ていた。
2.
今日は運良く休日で支度をした後「友達の家に遊びに行く」とだけ言い残して家を出た。
もしかしたらこれで家を見るのは最後になるのではないかと不安になり、有り難う御座いました。と短く感謝の気持ちを言って走り出した。
*
かぁ…かぁ…。烏の声が木魂するこの不可解かつ不気味な森。こここそが”魔の森”だ。
ついに来てしまった。今でも何か飛び出してきそうな気色の悪いフインキ。
ついつい足がすくみ、後ずさりしようとするが、トンっと何か柔らかい物体にあたりその行動は完ぺきに止められた。
「っ!!」
びっくりし、気絶しそうになる。いや。できるものならそうしたい。
「ん?」と少し声が聞こえた。よかった。人だ。
だけどほっとした束の間、次の声にリクはただただ驚くしかなかった。
「あんた・・・黒鳥リクか…?」
警戒しながらも聞くこの声には聞きおぼえがあった。
「お…前。あの夢の…。」
そっと振り返ると黒い服を着たリクと同い年か、少し年上くらいかの少女が睨みを利かせた顔でこちらを見ている。
コくりと首を縦に振るリクを見て少女は優しく
「あぁ・・・。あんたがリクね。」とほほ笑み自分の胸に手を当て息を吸い込み笑顔で呟いた。次の一言でリクの人生が大きく歪んだ。
「私の名前は”レン”ちなみにNO.9。あんたのパートナーの鴉だ。よろしく頼むなッ!!」
カラス?パートナー?NO.9?なんのことでしょうか?
・・・・・・。しばしの沈黙の後、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
リクの絶叫が森中に響き渡ったのは言うまでもない。
あの夢で。この出会いで。リクの人生が大きく変わりだした。回りだす歯車。
あの夢で・・・リクは大きな間違えをしてしまった。あの時頷かなければ、格好なんて付けなければ
自分の馬鹿すぎる頭にとてもがっかりした。絶望感さえ抱いた。もっと人を疑うこと知ろうよ…。俺の馬鹿。
文力が半端なくありませんね。話の進み方とかも…。
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