犯人は僕じゃない!
「堀進。犯人はお前だっ!」
・・・と言ってもそれほど重いものじゃない。クラスの何人かの集金が盗まれた事件の犯人扱いされただけだ。そこまでなら十分恐ろしいが、うそつき岡井の信憑性ゼロの無茶苦茶な理屈だ。誰も信じるわけがない。
「あっそ。じゃあ、僕は部活見学に行って来るから。さようなら。」
「まて。逃げるのか。やっぱりお前が犯人だな。今から俺と一緒に職員室に来い!」
わめき散らす岡井をほっといて僕は教室を後にした。行ってみたい部はたくさんあるんだ。かまってる暇はない。中学になったら卓球部か、テニス部に入ろうと決めてたんだ。とりあえず卓球部へ行くことにした。
3分ほど歩くと卓球部が活動している体育館に着いた。体育館は築30年の趣ある体育館だが、なぜかドアだけ自動になっている。僕は深呼吸してから部室へ入っていった。
「こんにちは。一年A組の、堀進です。部活動見学に来ました。」
「堀君か?卓球部部長の大守だ。悪いが帰ってくれ。人の集金を盗むような奴に神聖な体育館を汚してほしくない。」
「そっそんな!?僕は何も盗んでませんよ。」
「うそをつくな。岡井君には証拠まであるそうじゃないか。さっさと出ていけ。じゃないと放り出すぞ。」
「・・・・・・」
僕は無言のまま体育館を後にした。岡井め・・・許さない!でも何も無実を証明する証拠がないことが悔しい。
「クッソー!!」
勢いに任せて壁を思いっきり殴った。手が痛い。当たり前だ。壁を殴った衝撃で上からビラが落ちてきた。新入生募集のビラだ。一番みたくないときに・・・
「なんでこんなもんがあるんだよ。・・・・・・中学生探偵部??もしかしたら解決してくれるかも。よし、行ってみよう。絶対に無実を証明してやる。」
中学生探偵部の部室は3階の社会科準備室らしい。歩いて3分ほどだが、僕は走った。階段をかけて、かけて、かけて、曲がって、ぶつかって、転んで。・・・ぶつかった女子は泣いていた。僕が泣かしてしまったのだろうか?
「えっえっと。すみませんでした。急いでたもので。・・・大丈夫ですか?」
「は・・・い。」
彼女はそのまま社会科準備室へはいっていってしまった。・・・え!?社会科準備室?