パーティーに招待??
いよいよ、次話で2章のエピローグです。
3章からは、更新頻度下がります
大変申し訳ありません。
「ディアお嬢様、お待たせ致しました」
「ディア様、参りましょう?」
「シンリーもアルセラも、ロン達に、悪気はないと思うから、程々にね??」
あたしが『ホープ』と『サクセス』と戯れていると、シンリーとアルセラがスッキリした様な表情であたしの近くに訪れる。
少しだけロンとアースが不憫に思ったあたしは、彼女達にやんわりと忠告した後、セブンス学園の1-Aの教室へ移動する事となった。
ーーーーー
パタンッ
「ご機嫌よう」
シンリーが『1-Aの教室』の扉を開けると同時に、あたしはいつものように、1-Aのクラスメイト達へ、挨拶をした。
「ディア、ご機嫌よう。こっちよ!!」
そして、あたしの挨拶に1番に反応したのはサラで、彼女があたしへ手を振ってくれる。
「ご、ご機嫌よう」
「ベルンルック公爵嬢、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう」
あたしがサラの席へ移動している最中、ぽつりぽつりではあるものの、他のクラスメイト達があたしの挨拶へ返してくれるようになった。
「全く、呆れた物です。ディアお嬢様の魅力に気づくのが遅すぎます」
「シンリー様のいう通りです、せめて、マンドール子爵様くらい早く気づくべきです」
あたしとしては、挨拶が返ってくるだけで充分なのだが、シンリーとアルセラはクラスメイトの変化に納得していないのか、唇を尖らせている。
ただ、シンリー達もサラやジークの事は認めてくれてるいるのかな?と思うと、嬉しくなった。
ーーーーー
「ディア、相変わらず遅いな。大方、恋愛脳のお花畑共と乳繰りあってたか??」
あたしがジークとサラがいる席付近へ移動すると、彼は、相変わらずの毒舌を発揮する。
「ジーク!!あたしの大事な子達なんだから、シンリーとアルセラって呼んであげて!!」
「分かった。ディアの嫁1号とディアの嫁2号という、私のお手製のあだ名で手を打とう」
いやいや、相変わらず、適当だね!?
そんな適当な名前でシンリー達が納得するはずないだろう……と思い、隣の彼女達を見る。
「ディアお嬢様、この男、改心しましたよ!!」
「ええ。少しは認めてあげましょう!!」
そうするとシンリー達は、『ディアの嫁1号』と『ディアの嫁2号』という不名誉極まりないニックネームに目を輝かせていた。
「ディア、何か言いたそうだな?」
「いや、ううん。もういいの。………………そういえば、『ハルデア皇太子殿下』は?」
ジークにジト目を向けられるが、シンリー達のニックネームに関しては、彼女達が納得してるならばいいと思い、諦めることにした。
それと同時に、周囲を見渡すと『サイコパス王子』の姿がどこにも見当たらない事が気になり、あたしは、ジークへこっそり質問する。
「見れば分かるだろう??来ていない」
「それはそうだけど……あれでも『セブンス王国』の王子よ??気にならないの??」
「確かに、アレがディアに敗北して拗ねた……とは考えにくいな。仕方ない。私が調べておこう」
あたしはジークの提案に縦にこくりと頷く。
「みんな、おはようぅぅぅ!!今日も元気よく、午前の魔法基礎の授業を始めるぞぉぉぉぉ」
ジークと擦り合わせした直後、ヒュートン先生が1-Aの教室に入ってきて、相変わらずの大きな声で授業を始めた。
ーーーーー
「………………つまり、魔法は使っていけば使うほど、発動時間も短縮して…………になるのだぁぁぁ。ここまでで、午前の授業は終わるぞぉぉ」
あたしがぼーっとヒュートン先生の授業を聞いているうちに、どうやら、午前の授業が終わりを迎えていたらしい。
「ジーク、サラ、ウィス、いつもの場所に…!!」
「当たり前じゃないの」
「ふっ……仕方ないな」
「ベルンルック公爵嬢様、お供いたします」
各々のクラスメイトが昼休憩をする中、あたしはジーク達に声をかけ屋上へ移動する。
ーーーーー
「あれ、もしかして、あたし、パタリーシェフのお弁当をベルンルックの屋敷に忘れてきた!?」
「その事ならば、ディアお嬢様、私が受け取ってますのでご安心ください」
「シンリー!!ありがとう!!」
みんなと屋上へ移動して、お昼を一緒にしようとした瞬間、パタリーシェフからお弁当を受け取っていなかったことに気づいて青褪める。
しかし、どうやら、シンリーがお弁当を受け取っていたらしい。
そんな今日のパタリーシェフのお弁当のメインメニューは、チーズとベーコンとレタスとトマトが主体となったハンバーガーだった。しかも、ハンバーガーのバンズはハート型である。
「ディアのシェフって、よく拘ってるわよね」
「拘るというか、これは愛に近いだろ。さしづめ、ディアの嫁3号ってところか……??」
ギクゥゥゥゥゥッッ!!
そんなあたし達のハンバーガーを見て、サラは感心するように呟き、ジークは眼鏡を輝かせながら、あたしの方へ鋭い視線を向けてくる。
「ゴホンッ、まずは食べましょう??」
「ふっ、ディアの嫁3号で確定だな」
このチート級の反則な攻略対象……!!いつか、絶対にギャフンッと言わせてやるんだから…!!
咳払いをしつつ、お弁当の話へ誘導する事で、上手に話を逸らしたはずだった。それなのに、あっさりとジークに看破されてしまい、あたしは心の中で、彼に仕返しすることを決意した。
「ディアお嬢様って素直?単純?ですよね…」
「それも、ディア様の魅力ですよ」
そんなあたしの荒ぶる心を見通しているのか、シンリー達が微妙なフォローを入れてくる。
「ディア、わたくしは可愛いと思いますわ」
「サラお嬢様の言う通り、ベルンルック公爵嬢様の魅力の1つだと思います」
その後、サラとウィスの方に視線を移すと彼女達も慌てながらも、フォローを入れてきた。
「あぁぁぁ、分かった。早く食べるよ!!」
なぜか、生暖かい視線があたしの方へ集中したため、みんなにお弁当を食べることを提案する。
その結果、なんとか話を逸らす事に成功した。
ちなみに、パタリーシェフが作ってくれたお弁当のハンバーガーは、時間が経っていても、生地はカリッとしていた。それだけではなく、挟まっている具材も新鮮かつ絶品だった。
ーーーーー
「えっと……その………もし、みんなの予定が空いてれば、次の休みの日にね??当家で開催する『祝勝パーティー』に参加してくれない??」
それぞれのお弁当を食べ終えたところで、あたしはジーク達の正面に立つ。
そして、少し恥ずかしく感じながらも、本題の『ハルデア皇大使殿下の祝勝パーティー』に関する話を切り出して彼らを誘う。
「わたくしとウィスは喜んで参加しますわよ!!」
「うーん……私は人混みが苦手だ…」
2人の反応を見ると、サラは問題なく参加してくれそうだが、ジークは渋っている様子だった。
「ステラお母様が言うには、『祝勝パーティー』に参加した方が『交易会談』の成功する確率が上がるかもって聞いてるんだけどねー」
もちろん、前世で『セブン⭐︎プリンセス』をプレイしていたから、ジークが『祝勝パーティー』に参加する事を渋るのは、想定済みである。
ーーー
『ディアちゃん、『印象』って大事な事よ??それが後々…ううん、賢いディアちゃんなら分かるわね?だから、恥ずかしがらずに招待する事よ』
ーーー
だから、あたしはステラお母様が言っていたことを思い出して、彼を揺さぶる事にした。
「ふっ………私がその程度の揺さぶりに」
「サラも参加してくれるのに、ジークは『ポチ以下』ってことなのかなぁ??」
「ジーク様。わたくしでも参加しますのに…」
しかし、悔しい事に、ジークはあたしの揺さぶりに動じなかった。だから、あたしはサラの方へアイコンタクトをして彼女に協力してもらう。
「見え透いた挑発を……」
「ディアお嬢様、それならばシュミレット辺境伯様抜きでやってみるのはどうでしょう??」
「あ、それもいいかもしれないわね!!」
そんなあたしとサラの共謀に勘付いたのか、シンリーが上手に参戦して、『祝勝パーティー』の参加に渋るジークを除け者にしようとする。
シンリーの言葉を聴いた瞬間、ジークの眉がピクリと動いた気がした。
「ディア様、もう少しで午後の講義も始まりますし、このメンバーに決定という事で、『魔法演習場』へ向かいましょうか」
そして、シンリーに続いてアルセラも、あたし達の連携に気づいたらしい。
だから、敢えて、この場で参加メンバーを確定させ『祝勝パーティー』の回答の期限があるように見せかけ、屋上から移動を示唆する。
そんなアルセラの言葉を聴いたジークが、今度は額に手を当て、考え込んでいた。
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「待て……。私も参加してやろう」
少し時間が経過して、アルセラの言葉通り、屋上から『魔法演習場』へ移動しようとした瞬間、ジークがあたし達を制止する。
その直後、彼はベルンルック家の『祝勝パーティー』へ参加することを表明した。
パチンッ
パチンッ
パチンッ
彼の言葉を聴いた瞬間、あたし達の完璧なチームワークが、『毒舌ばかりで空気も碌に読まず、人を見下してばかりのジーク』に勝利したのだ。
その直後、あたしは言葉を介さず、シンリー達とハイタッチと抱擁を交わした後、今度こそ、屋上から『魔法演習場』へ移動した。
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もちろん、午後の講義は、サラの魔法の特訓に付き合いながら、適当にやり過ごす。
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午後の講義を終えた後、あたし達は、校門付近へ移動して、ロンとアース達が乗る馬車に合流した後、ベルンルックの屋敷へ戻る事となる。
そして、ベルンルックの屋敷でディブロお父様達に、あたしの大切な友達が当家の『祝勝パーティー』へ参加することを報告した。




