ディアの秘密/3人の告白
実は、カクヨムでは順調に伸びてるんですが、なろうはポイントやブクマをいただくのは難しいですね……..
「ディアお嬢様の隣は私です!!」
「シンリー様、私も譲れません」
「……………僕も譲らない!!」
「どうしてこうなった……」
時は少し遡る。
あたし達は4人で暮らしていくという事で、4Fにあるあたしの部屋へアルセラとパタリーシェフの案内をする事となった。
「アルセラ、パタリーシェフ、どうぞ」
「はぁ…ディアお嬢様と2人だったのに、こんな事になるなら、全てを奪っておくべきでした」
「シンリー、何か言った?」
「いいえ、何も無いですっ!!」
シンリーが小さな声でぶつぶつと何かを言ってたような気がしたが、聞き返すと彼女は『何もない』というので、気にしない事にした。そのため、あたしは2人へ振り返り、案内を続ける。
「まずはアルセラ、パタリーシェフ、ここが1番重要な場所!!つまり、ベッドだよ!!」
「ここがディア様とシンリー様の愛の巣だった場所ですね。もう好きにはさせません…」
「………………ここでした?なにより羨ましい」
「2人とも、恥ずかしいからやめてっ!!」
あたしは2人の後半部分が聞こえなかったものの、2人の言葉に大きな声で否定をする。その後、トイレやソファーやらあたしの部屋にある家具等を次々と2人へ紹介した。
最後に、アルセラへ必要な物を見繕ったり、パタリーシェフの引っ越し作業等を手伝っていると、あっという間に寝る時間が訪れる。
ーーーー
「そう言えば、ベッドの寝る場所決めなきゃね…どうしよっかな…」
あたしが頭を悩ませて口に出してしまった瞬間、3人の戦争が勃発する事となった。
「ディアお嬢様の隣は私です!!」
「シンリー様、こればかりは私も譲れません」
「……………僕も譲らない!!」
「どうしてこうなった…」
まず、仕掛けたのはシンリー、応戦したのがアルセラとパタリーシェフである。
「ディアお嬢様は誰と寝たいですか??」
「ディア様に決めてもらうのが良いですね」
「…………………異論なし」
3人が火花を散らせる中、シンリーの提案によりあたしは更に頭を悩ませる事となった。
「あ、じゃあソファーで寝ます」
「「ダメですっ!!」」
「………………だめ」
少しの間、考えてみたものの、3人に優劣をつけることができなかったあたしは、ベッドじゃなくて、ソファーへ逃げようとした。しかし、あたしの提案は全員に反対されてしまう。
「んー…1日毎の交代制はどうかな?今日はアルセラとパタリーシェフが隣、シンリーは隣以外の自由な場所で寝れば良いと思うの」
シンリーから文句が出るかな?と思ったが、あたしの予想に反して、あっさりと彼女は縦にこくりと頷く。彼女の様子にアルセラとパタリーシェフも、あたしと同じ予想をしていたのだろうか、3人して驚くこととなった。
「それでは、電気消しますねー」
シンリーの言葉にあたし達はこくりと縦に頷き、ベッドへ寝転がった。当然、この時にはあたしの両隣には、アルセラとパタリーがいる。
カチッ
部屋の明かりが消えたと同時にあたしは目を瞑る。そうすると、身体が少し重い。
何かがあたしの身体に乗っている…?そう考えながら、恐る恐る手で探る。
ムニュムニュ……
「やんっ……ディアお嬢様、そこはだめぇ……」
「え!?ごめんっ!!…………じゃないよ!!シンリー、どういう事!?」
「はっ…!!ばれてしまいましたか…!!」
手に残るような肌触りがよく柔らかい感触……吐息が漏れ、艶やかなシンリーの声が聞こえて、思わず、意識をしてしまう。
それと同時にあたしの体温が一時的に急上昇したものの、すぐに平静を取り戻して、シンリーへ追及した。
カチッ
あたしとシンリーのやりとりに気づいたのか、パタリーシェフが電気を付ける。
「はぁ…。バレたじゃないよ。全く…!!」
「ディアお嬢様は、『隣以外の場所で自由に寝ていい』と言いました」
「シンリー様だけずるいです!!でも、参考になります!!」
「…………………ずるい。次、僕も真似する」
「ふふんっ」
だから、あの時、シンリーはあっさりと頷いたのかと納得する。
ちなみに、アルセラとパタリーシェフはあたしと共にシンリーへ抗議をしつつ、なぜか、彼女のずる賢い方法を学んでいた。
正直に言えば、あたし自身も悪い気もしないし、シンリーが体重を掛けないようにしてくれていたんだろう、少ししか重いと感じなかった。
「で、でも、それをするなら、あたしが上じゃだめ?かな?」
「むしろ、是非!!ディアお嬢様の未成熟の身体を私が包み込んで堪能する。ディアお嬢様、これは、何よりも素晴らしい提案です!!」
ただ、少しとはいえ重いと思ったのは事実のため、彼女に交代を要求すると、あっさり受け入れてくれた。むしろ、シンリーが言うと、なぜか卑猥に聞こえたのは気のせいだろうか?
カチッ
心の中で不安になりながら、上に乗るあたしが電気を消して、シンリーの身体へまたがる…。
「見えないはずなのに、恥ずかしい…」
「ディアお嬢様の身体、軽すぎます…。それと可愛い吐息と共に甘いフェロモンも感じます…。もしかして、私を誘惑しているんですか?」
「シンリー、あたしの匂いを嗅がないで!!恥ずかしいから!!それと、あたしは破廉恥じゃない!!」
最初こそ、何度もこんなやりとりをして、シンリーから、揶揄われてしまったが、暗闇ということもあり、途中からはだいぶ慣れて行く。
「試合で勝って、勝負に負けた気分です…」
「……………激しく同意」
あたしが慣れてきた一方で、パタリーシェフとアルセラは悔しがっていた。
ーーーー
「こんな時にする話じゃないかもしれないけど、3人へ話しておきたいことがあるんだ」
やや混沌な態勢であるものの、あたしは、シンリーの上から小さな声で話を切り出す。
あたしの声を聞いたアルセラとパタリーシェフは、あたしの方へ身体を向ける。
「ディアお嬢様、話して頂けますか?」
「約束してたからね」
下の方からシンリーの声が聞こえ、あたしは彼女の質問に返答する。
「シンリー様?どう言うことでしょうか?」
「…………シンリー、説明」
シンリーはすぐに例のことだと分かっているが、アルセラとパタリーシェフは分からないようで彼女に質問をしていた。
『Lv50
名前:ディア・ベルンルック
称号:3年以内に85%死亡/父親泣かせ/ベルンルック領の次期女傑/ヒロインルート/主人公闇愛
HP:3500
MP:8000
扱える闇魔法:ダークフレイム(大)、ダークヒール(大)、ダークシールド(中)、ダークセイバー(中)、ダークガードロス(小)、ダークアタックロス(小)、デストロイダークネス(小)
通り名: 小麦叩きの公爵令嬢
引きこもり令嬢
感謝の令嬢
皇太子殿下の恨みを抱かれる令嬢
3枚卸の公爵令嬢
正義の悪役令嬢
料理人の公爵令嬢
ヘタレの公爵令嬢
大号泣の公爵令嬢
狙われた公爵令嬢
馬に愛され公爵令嬢 』
その間に自分のステータスの方を確認してみると、『ヒロインルート』と『主人公闇愛』と呼ばれる2つの称号が追加されていた。
新たに追加された2つの称号のおかげか、あたしの死亡率は85%にまで下げる事ができていた。
ただ、下がったとは言え、どのみちあたしがバッドエンドを迎えて、死ぬ確率は依然と高い。
ちなみに、新しく追加された『ヒロインルート』とはあたしがアルセラのヒロインになっている現状の関係性を表しているのだと思う。
その一方で『主人公闇愛』とはどういう事だろうと頭を悩ませる。しかし、今は考えてもわからないため、気にしない事にした。
「アルセラ様、初対面の時を覚えていますか?私達は偽名を使いましたよね?今更かもしれませんが、あれは全てディアお嬢様の指示でした」
「はっ…!!そう言えば、そうでした」
「…………ディアお嬢様が偽名を使う必要ない」
あたしが自分のステータスを分析してる間に3人の話が進んでいきそうだっため、あたしは、一旦、自分のステータスの分析を中止にする。
「まずは、あたしの気持ちから伝えるね…?その、自分が想いが恋愛なのかわかんないんだけど、シンリーやアルセラやパタリーシェフを接してると、胸がドキドキする事があって……」
気持ち悪いと思われないかな…?そう思いながら、あたしはぽつりぽつりと暗闇の中、呟く。
そうすると、不思議な事に下にいるシンリーの鼓動が速くなって行くのと同時に、彼女の体温の上昇があたしの身体を通して伝わってきた。
「でも、例え、あたしと両思いだったとしても、この恋が実ることはないんだ……」
「「え?」」
「……………………え?」
しかし、次のあたしの言葉でシンリーの身体の温度は一気に低下し、静寂に包まれる。
「だって、あたしはこの世界で3年内に85%の確率で死んじゃうから」
「デ、ディアお嬢様、冗談ですよね??」
「ディア様がそんなはずありません!!」
「……………………嘘だ」
「嘘だといいんだけどね…」
続けて話したあたしの言葉へ、シンリーは声を震わせ、アルセラは怒り、パタリーはあたしの手をぎゅっと強く握りながら否定をする。
しかし、あたしは前世の『セブン⭐︎プリンセス』が『ディア⭐︎DEATHズ』と呼ばれるくらい、『ディア•ベルンルック』が不幸な末路を辿る事を知っている。
だから、諦め気味の口調で彼女達の『嘘』という言葉へ弱く肯定した。そうすると3人もあたしの言ってることが本当だと分かったのか、暫くの間、静寂に包まれる事となる。
ーーーー
「もしかして、私がディア様と接触してしまったからでしょうか??」
暫くの沈黙後、アルセラが何かを思い出したかのように、声を震わせてあたしへ質問する。
「ううん、アルセラのせいじゃないよ。当初は偽名を使って『セブンス学園』で目立たないようにするつもりだった。でも、『ハルデア皇太子殿下』がいる限り、それは不可能だったからね」
これはアルセラを慰めるための方便ではなく、あたしが感じる心からの本音である。
あたしは、彼女と親しくなったおかげで死亡率が5%も下がった。それに、『ハルデア皇太子殿下』があたしを狙い続けていた以上、どのみち注目を浴びる事になっていただろう。
なにより、そんなあたしの危機を退けてくれたのはアルセラだ。
「いいえ。私が大きな声で公言したから」
「シンリー、それも違う…。これはあたしの『決められていた』運命のような物なの…」
できるだけ明るく伝えると、シンリーからは、下から、パタリーシェフからは隣から抱きしめられることとなり、完全に身動きが取れなくなる。
「ディア様を監禁すれば……」
その一方でアルセラの方から不穏な声な聞こえた気がしたが、それどころではない。
「でも、この話には実は続きがあるんだ。だから、最後まで聞いて欲しいの」
「……ぐすっ…聞きたく無いです」
「……………っん……やだ」
シンリーとパタリーシェフは泣いて否定するが、一方でアルセラはぶつぶつと呟いている。
「その、あたしの死亡率って最初は100%だったの。でも、あたしはシンリーやパタリーシェフ、アルセラや村のみんなと出会えたおかげで15%も減らす事ができたんだよ………」
「ディアお嬢様、私達のおかげですか……?」
シンリーと出会って、この世界を知った。
ディブロお父様とステラお母様に出会って、家族の温かさを知った。
パタリーシェフに出会って、優しさを知った。
ベルンルック領の村の方々と出会い、村の仕事を知った。
アルセラと出会って、あたしは新たな世界の可能性を知った。
あたしが人生を諦め、投げやりになって始めた『感謝』から現在へつながっている。
だから、何1つ欠けてはならないし、その中でもシンリー達は特別な存在だ。
「うんっ!!」
だから、あたしはシンリーの質問に自信満々の大きな声で答えた。
「もし、願いが叶うならシンリー達にはあたしが死ぬまで隣にいて欲しいの…」
「勘違いしないでください…。ディアお嬢様は何があっても私が死なせません」
「シンリー様、私を忘れてもらっては困ります」
「…………………僕も裏でサポートする」
「あ…ありが……ありがとう…」
想定外のシンリー達の返事にあたしは溢れ出る想いが喉に詰まりすぎて、声が出せない。
それでも、途切れ、途切れなりながらも、最後に彼女達へ感謝を伝える。
「ディアお嬢様、その数字を0にします」
「だから、ディア様、諦めないでください」
「…………………後、背負いすぎないこと」
「もうっ……みんな大好きっ」
あたしは彼女達の言葉に感謝をしながら、本心を伝える。
「ディアお嬢様の大好きがどういう意味なのか分かりません。しかし、私はディアお嬢様を恋愛として、大好きです…。だから………」
あたしの頬に下のシンリーから暖かくて柔らかい感触が伝わる。
「これが私の気持ちです…。だから、ディアお嬢様の気持ちが固まった時、私に告白の返事を返してくれるのを待ってます」
「ディア様、私は以前に友達からと言いましたが、今、訂正します!!私も返事を待ってます!!」
「………………僕も」
アルセラやパタリーシェフからも同様にあたしの頬に暖かくて柔らかい感触が伝わった。
その結果、あたしは3人から告白され、頬を中心に温度が急上昇する中、胸のドキドキが止まらず、一睡も叶う事なく、朝を迎える事となった。




