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パタリーの嫉妬?

『セブンス学園』の校門付近へ移動したあたし達は、すぐにロンとアースが乗っている馬車を見つける事に成功した。


「サクセス、ホープ!!元気だった??いつもありがとうー。よろしくね!!」

「「ヒヒーン!!」」


 もちろん、あたしはロンとアースへ会う前に『ホープ』と『サクセス』の前へ移動して、彼等に挨拶をする。あたしの姿を見ると、待っていたぞと言わんばかりに、首を差し出してくる白色のお馬さん達に対して、優しく撫で撫でをする。


「ディア様…この美しい白色のお馬様は…」

「っておわ!?アルセラかぁ…。びっくりしちゃった。この子達はあたしの愛馬だよー。ねー?」

「「ヒヒーン」」


 今まであたしの『ホープ』と『サクセス』の挨拶に興味を示す人はいなかった。


 基本的にシンリーが近くで見守る程度だったため、すぐ後ろに立たれたことで、驚いてしまう。


「だから、ディア様とシンリー様は、あの時、『ホープ』と『サクセス』って名乗ったんですね。よければ、私も撫でていいですか?」

「あ、あはは…。実はそうなんだよね…。ぜひ、あたしの自慢の愛馬を撫でて欲しい…!!」

「わ、私はディアお嬢様に付き合っただけです」

「うわぁぁん、シンリーの裏切り者ー!!」


 アルセラに言われて、誤魔化した時に、咄嗟に名乗った名前を思い出す。アルセラの質問にあたしが素直に認めると、シンリーが唐突に裏切ってきたので、彼女の胸をポカポカと叩く。


 それと同時に思い出す。確か、『ホープ』と『サクセス』は操縦するロンとアースでさえ、未だに撫でることを許していなかったのだ。


「『ホープ』様、『サクセス』様、撫でてもいいですか?」

「「ヒヒーン」」


 咄嗟にあたしはアルセラを止めようとしたが、既に彼女は声をかけて、自然と『ホープ』と『サクセス』を撫でていた。


「嘘だろ…俺なんて相手にされないのに…」

「あはは…あの子はすごいねー」

「私でさえ、時間がかかりましたのに…」


 アルセラのことがすごいと思うのと同時に、あたしのような悪役令嬢が彼女の隣へ立ってもいいのか?と不安になる。


ーーーー


 ガララララ…


「ロンとアース、いつもありがとう。今日は帰りが遅くなってごめんなさい」

「ディアお嬢様、気にするな」

「あはは!!ディアお嬢様のためなら待ちますー」


 アルセラが『ホープ』と『サクセス』を撫で終わり、あたし達は馬車へと乗り込む。そして、馬車が進み始めたタイミングで、いつものように、ロンとアースへ労いの言葉をかける。


「それより、ディアお嬢様、説明を頼むぞ」

「ご挨拶が遅れました。私はアルセラと申します。ディア様とシンリー様のファンであり、友達であり、お慕いしています」

「あははは!!面白くて可愛い子だねー。それにしても?シンリー隊長も大変だねー?」


 アルセラが自己紹介をすると、ロンがいつものように血反吐を吐き、アースが笑いながら、シンリーを揶揄った。


「アース、いい度胸してますね…。それにアルセラの事は認めてますから!!」

「あははは!!あの独占欲の強いシンリー隊長が認めてるとは、本当にすごいねー」

「アース、あとで覚えておきなさい」

「あははは!!シンリー隊長、勘弁ですー」


 シンリーとアースのやり取りのおかげで、馬車内はすごく和むこととなった。その後も、あたし達は馬車の中でたくさん雑談を交えていると、気づけば、ベルンルックの屋敷と到着していた。


「ディアお嬢様、降りないのか?」


 ベルンルックの屋敷に到着したのに降りようとしないあたしにロンが尋ねてきた。ただ、あたしにはここでやるべきことがあるのだ。


「シンリー、お弁当を出してちょうだい」

「残念ながら、今日は忙しくて食べる時間がありませんでしたからね」

「これ、ロンとアースの分、アルセラの分、あたしとシンリーの分、よしっ!!」


 パタリーシェフの愛情サンドイッチをみんなで分けて、あたし達は口の中へと運ぶ。


「ディア様、私、こんなに美味しい卵サンドは初めて食べましたっ。甘いだけでなく、ほんの少しの辛さがあり、生地もふわふわで………ひぐっ」

「アルセラ、サンドイッチで泣かないの…。これはね、あたしの大事な人が作ってくれたんだ」

「パタリー様もディアお嬢様が大好きですからね。最近は、私を出し抜いてきますし…」


 なぜか、パタリーシェフのサンドイッチを食べて、ボロボロと涙をこぼすアルセラの背中を撫でながら、彼女を落ち着かせた。


 その一方でシンリーは、パタリーシェフのことを褒めてるのか、恨んでるのか、どっちか分からない感想をこぼしている。


 ちなみに、サンドイッチは卵とハムサラダの2種類だった。


「それにしてもうめぇな…!!うめぇ!!」

「あはは!!僕達は兵食が多い……からねー」


 ベルンルックの屋敷ではあたしとシンリーとステラお母様とディブロお父様以外は別で食事をすることとなっている。特に護衛兵の場合は、『兵食』と呼ばれており、基本的には携帯食が多い。


 だからか、ロンとアースも涙をこぼしながら、サンドイッチを食べていた。


 そして、みんなでサンドイッチを食べ終えた後、馬車を降りる。


「「「「おかえりなさいませ。ディアお嬢様、親衛隊の皆様」」」」


 メイド達の挨拶にお辞儀をしながら、ベルンルックの屋敷へ、あたし達は入ることとなった。



ーーーー


「ディブロお父様、ステラお母様、ただいま戻りました」

「旦那様、奥方様、ただいま戻りました」


 あたし達がエントランスに移動すると、初めての『セブンス学園』へ行ったからだろうか、ディブロお父様とステラお母様が心配そうな表情を浮かべて、待ってくれていたらしい。


「ディア、シンリー、親衛隊もお帰りなさい」

「ディアちゃん達おかえりなさい」


 ディブロお父様もステラお母様アルセラの方へ視点が集中しているが、まずは何も聞かずに、あたし達を暖かく迎え入れてくれた。


「さて、ディア、事情を聞きたいが、まずはいつもの2階の食事場へ移動しようか」

「ディアちゃんの事だから、事情がありそうね」

「ディブロお父様、ステラお母様、お気遣い、本当に感謝いたします」


 あたしは2人の優しい気遣いに心から感謝をした後、ディブロお父様の提案で、2階の食事場へ上がることとなる。


 そのため、途中でロンとアースの2人とは別れて、あたし達は、そのまま2階の食事場へ移動することとなった。


ーーーー


 2Fの食事場へ移動した後、あたし達はディブロお父様とステラお母様を対面に、アルセラを真ん中にして、あたしとシンリーで彼女を挟む形で椅子に座ることとなる。


「…………皆様、どうぞ」


 そんなあたし達にメイドではなく、パタリーシェフが直々にコーヒーを1人1人に出していく。


 ガチャンッ ガチャンッ


 なぜか、パタリーシェフがあたしとシンリーの時に置くコーヒーカップを置く音が大きいのは気のせいだろうか……?


「…………………馬鹿メイド」

「私だって止めるつもりだったんです!!」


 心の中でそう思っているとシンリーとパタリーシェフが内容まで聞こえないが、彼女達が小さな声で言い争っていた。


ーーーー


「…………………ディアお嬢様、今日のスイーツは僕特製のパフェのつもりだった。でも、無し」

「あのパタリーシェフがあたしを上げて落とすような事を、ううっ……」

「……………………ふ、ふんっ!!浮気、だめ」

「う、浮気!?」


 その後、パタリーシェフがあたしの方へ近付いてスイーツをお預けにすると言い放った。


 その言葉を受けたあたしが、がっかりして涙目でパタリーシェフを見つめる。


 そこまであたしがおねだりしても、どうやらパタリーシェフの怒りは治らないだけでなく、飛んだ誤解まで生まれてしまう事となった。


 しかし、その割にパタリーシェフはあたしの椅子の隣に座り、どさくさに紛れて、あたしが連れてきたアルセラに関する話を聞く気満々だった。


ーーーー

わたしはアナログなので、誤字や変な文章は推敲で修正していますが、今の時代は生成AIを使用した方がいいんですかね?


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