表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

じいちゃんからお前への手紙

作者: ゆみすけ

息抜きで書きました。

じいちゃんはな、嘘が得意なんだ。


嘘まみれで生きてきた。何もかもが嘘と本当が混ざり合って訳が分からん。


嘘だと思うだろ?これも嘘だからな。言葉ってすごく難しいんだぞ、例えば


じいちゃん昨日犬に吠えられてびっくりしてその犬に嚙みついてしまった!


もちろん嘘。ばあさん実は青森で生きてるんだぞ、これも嘘。


嘘なんか簡単につける。でもな、今の話を嘘だと言わなければ、


嘘とは思わないだろう?嘘って言ってないから。


信じさせたらそれはもう事実なんだ。どんな嘘でもな。


だからな、この手紙も嘘なんだよ。


じいちゃんなんか最初から存在してなかった。


これは残念ながら本当の話だ、お前がこれを読んでるずっと前にじいちゃんは


この世から旅立ってるからな。お前の名前も性別も知ることなく、


じいちゃんは旅立ってしまったんだ。


仏壇にじいちゃんとばあさんの写真が写ってるといいが、まあこれは


お父さんがじいちゃんをどう扱ってるかを信頼して書いてるんだけどな、


せめてじいちゃんとして生きたかったなと思ってる。


名前も顔もわからん、でもじいちゃんはお前を思ってこの手紙を残している。


読まれるかどうかも分からない、棺桶に一緒に入れられてるかもしれない、


でも確かにお前に向けて書いたこの手紙。迷惑かもしれんから、読み終わったら


捨ててしまっていいぞ。一度読めば充分だろう。お前もじいちゃんのことなんか


全くわからんからな。お前が生まれる前に旅立ってしまうじいちゃんなんぞ


じいちゃんとして失格だもんな。


だからじいちゃんは嘘をつく。旅立つ事なんか怖くない、寂しくなんかないとな。


心残りと言えばお前の顔を見ることができなかった事だな。まあ嘘だけどな。


何が言いたいんだこのジジイって思うだろ?じいちゃん嘘は得意だけど


文章に残すの苦手なんだ。書き方が分からねえから。


書き残すってバッチリ証拠になるだろ?じいちゃんはその場で嘘つくからな。


その嘘を墓まで持っていく。嘘って言わなければ嘘じゃないからな。


だからこの手紙は、お父さんに「じいちゃんは嘘つきなんだ」


ってばらすきっかけになるための手紙だ。


じいちゃんの事は手紙の人だでおしまいでいい。


お父さんお母さんはそういう訳に行かないだろ?


じいちゃんのこの手紙が、お話のきっかけにでもなれば、じいちゃんは


それだけでいいと思っている。まあ読まれてないかもしれんしな!


じいちゃんからは以上だ!お前の人生にじいちゃんなんぞ存在しねえ!


お母さんの方のじーちゃんはいるかもしれんけど。


わしは好き放題生きた。お前も好きに生きろ、生きることに疲れたら、


お茶でも飲んで深呼吸して、ゆっくり考えてみるといい。


一人で考えられることもほかの人に頼ってみるといいかもしれんぞ。


生き急がなくていい、のんびり生きろ。見ることが叶わなかったジジイの、


最初で最後のお前へのお願いだ。んじゃな!来世で会えるといいな!

ばあちゃんからの手紙


書く?書かない?気分次第。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
じいちゃんが行きた証はちゃんとここにありますよ どんな気持ちで書いたのかと思うと……目から汗が止まらない…… どうか天国で穏やかに過ごせていますように……そして来世ではきっと会えますよね……
じいちゃんがどんな気持ちでこの手紙を書いたのかと思うと胸が締め付けられます…… きっと旅立つ事は怖いし、寂しかったじいちゃんが天国で穏やかに過ごせていますように。
信じさせたらそれはもう事実なんだ。どんな嘘でもな。この言葉めっちゃ胸に響きました。なによりもこの文、じいちゃんの人生が込められている、そんな気がしました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ