7.メイヨウと種明かしの始まり
7.メイヨウと種明かしの始まり
「いってぇ!頭が、ガンガンする」
気がつくと、部屋に寝かされていた。逃げたくても呪力も上手く練れない。
「何か変な爺さんに絡まれるし!」
そもそも何故自分が倒れたのか分からないのだ。
部屋を見渡すと品のよい調度品にはどれも、黒龍の紋章が入っている。
寝室は大きな寝台がある以外は小物入れや化粧台が置かれた控えの間につづいている。身じろぐと奥から若い男の声が聞こえた
「気がついたかい」メイヨウは身構えた。
その佇まいは龍界の権力者だ。
生まれながらの育ちの良さと威厳。
二対の小さな角を持つ白皙の美貌の人物が近づいてきた。
「寝台を、お借りして申し訳ありません。
帰らせてください。」
メイヨウは、早くココを去りたかった。
差別のきつい龍界の権力者には関わらないのが安全だと身を持ってしっているからだ。
「身構えないで。私は黒百合の知り合いだよ。さっき、君を出迎えたのは私の祖父。私は飛龍。字はこうかくよ」
長い黒髪をあや紐で結えた美しい青年がメイヨウの手のひらに指で飛と文字を書く。
「君の名前は?」
青年が手を差し出す。
メイヨウが恐るおそる青年の手の平に没有と名前を書く。瞬間、心臓が鷲掴みにされたような強さを感じる。
「アンタ、何したんだよ!!」
メイヨウは新台から飛び降りて身構える。
「ちょっとした、御呪いだよ。メイヨウや、先程は失礼した。知り合いの吸血鬼に似た呪力を感じたのでね」
仕立ての良い服を着た老人が茶器を持ってやって来る。玄関であった老人だ。
「吸血鬼?」
(頭がもやもや、する。俺は椋鳥を知っている気がする…)
メイヨウは、頭をかかえた。
「龍族って吸血鬼と仲が悪かったんじゃ無いのか」
メイヨウが四島の常識を口にする。
「今はそうじゃな。昔は仲がよかった。
それより、黒百合から本を預かっていないかい?」
「預かっている」
メイヨウは懐から本をだし、老人に渡した。
すると老人はその本に何やら詠唱すると、本は白い鷹になって窓から外に出ていく。
「メイヨウや今日まで良く生き抜いた。お前は白玉との賭けに勝った。さて、茶菓子が食べたいのう。飛竜や用意しておくれ」
「はい、師父」
メイヨウは成り行きを見守るしかない。白玉との賭けとは一体なんなのだろうか。
「では、メイヨウや種あかしをしようか。長い話しじゃぞ」
老人は黒蚩尤と名乗った。メイヨウは後ずさる、それは現在の龍王、黒龍雅鱗の前の龍王の名前だ!