5.俺って、目が悪い? 心配は甘い味?
禿のアンバーに、メイヨウは妓楼から外に出された。
「素直に眼鏡を作ってきな!」
背中を押されてメイヨウは通りに押し出された。眩しい。この刺すような痛みが少しでも楽になるのだろうか。
★★★妓楼前の通り道
「やべぇ、まぶしい」
歩き出すと、光で煙るようは視界を目を細めながら歩き出す。
あっ、コレで睨むと言われるのか。メイヨウは慌てて光から逃げるように道の脇に壁伝いに歩こうとすると前から斜め横にいた男性にぶつかる。
「ウワッ!」
(広い場所って苦手だ…)
人の距離感をとるのも苦手だ。妓楼や慣れた場所なら空間把握ができるのだが、広い場所は慣れない。
「しまった。チケット!」
メイヨウは尻もちをついて、片手に握っていたチケットが手から落ちた。
また殴られたらどうしよう。身をかたくすると。男性がチケットをメイヨウの手に渡してくれた。
「ぶっかって、すまねぇ。坊主。白玉様のところの妓夫太郎だろ。体のどこか悪いのかい?」
ぶっきら棒な声だが敵意はなさそうだ。警戒しなが小さな声で言う。返事しなくて殴られるのも嫌だったからだ。
「……目が悪いんだ…眩しくて道を歩くのがきついんだ。」恐るおそるメイヨウは答える。
「そっか。目が悪いのか。いま流行りの保健所に行くんだろ。俺も行くところだから…連れてってやる」
男性はメイヨウの白い手を握るとゆっくりと一緒に歩いてくれた。
舌の中に甘い味がひろがった。
多分これは、心配してる味。
メイヨウは、声や音が味や匂いや色で見えたりする。その能力は、不安定で扱いにくい。
「あんたは俺達と見た目が違うけど…手は温ったかいから、見た目しか変わらないんだよな。」
目が赤いから、怖がって悪かった。
そんな呟きが聞こえた。