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16.メイヨウの個性と、黒龍雅麟

このシリーズは、大福の、「白銀の国物語 赤目の術師と穢れの都 春雷に飛ぶ 短編」の過去譚になります。

※黒龍王の娘を息子になおしました。

龍界、黒蚩尤こくしゆうの茶館


飛龍に補助器具の技師の依頼をして3日後、黒蚩尤に突然、茶館の客室に呼び出しをうけた。


「メイヨウや、技師に会いたいそうだな。紹介するが、アレは簡単な男じゃない。覚悟をしてくれ、昼には来る」背中を向けて話す国蚩尤こくしゆにメイヨウは不信感を持つ。

小さな老人の言葉は、苦い。さらに、ザラザラした触感で何か企んでいる味がする。


「ジジイ、何を考えてるか分からないけど。俺は技師にあうぞ。会って『個性』を相談したい。」


「会うだけで済むといいがな。私は腹を括った。

あの男とあって、お前の『個性』と向き合ってこい。急だが、黒百合とアンバーが人間界に帰ることになった。挨拶をしにいけ」


「わかった!行ってくる!」

その言葉を聞くやいなやメイヨウは茶館を出て行くと、飛行術をつかって上空に飛び上がる。


黒百合姐さんも、アンバーも今朝、妓楼ですれ違った時は何も言わなかった。急に状況がかわったのだ。黒百合やアンバーには自分達の人生を決める決定権が無い。


ランドルフ侯爵とタントラ枢機卿の駒である人生。メイヨウ自身は、まだ子供であり二人を自由にする力を持っていないのが歯がゆい。メイヨウは飛龍と言う龍界の次期龍王候補から加護をもらい義兄弟の契りを結んでいる。彼は守られており安全圏にいる子供だ。だが、黒百合もアンバーにもその安全は無いのだ……。


メイヨウは上空から四島の白玉の治める高級妓楼に戻る。妓楼の上空には白銀の国の紋章が入った特殊航空艇が待機している。

「メイヨウ、はやかったな」白玉が出迎える。

「白玉様、黒百合姐さんとアンバーは人間界に帰るって?なんでだ?」

「ああ、その件か……。タントラ枢機卿とランドルフ侯爵が決めたらしい」白玉は淡々と話す。

メイヨウは絶句する。

「……そうかよ、あんたは飛龍の味方だけど、黒百合とアンバーを物のように扱う」


メイヨウは、白玉を睨みつけながら唸る。


「メイヨウ!何処に行く?」白玉が聞く。

「俺は黒百合とアンバーを助ける!」 自分は力が無い。それを実感する。だが、二人をそのままにしてはおけない!彼女は捨て子だった自分を救いあげてくれた恩人であり、親友なのだ……。


「待て!」背後で叫ぶ白玉を無視して高級妓楼に入っていくと、いつもの部屋に、見たこともない大刀を背負った男がいた。


気絶をした黒百合を横抱きしていた。

アンバーは床に転がっている。


「テメェ、二人に何しやがる!」

アンバーは両手に呪力を集め、放出。あたりは轟音と共に白煙をともない爆散。


「アンバー、大丈夫か!」メイヨウは床に倒れたアンバーに駆け寄る。

「私は大丈夫……だけど黒百合姐さんが……」アンバーが必死に体を起こす。満身創痍だ。黒百合も心配だ。この惨状の理由を聞かなければならない!


「テメェは誰だ」メイヨウは殺気を込めた眼で睨み付ける。怒りにより、魔術回路が光りだす。

「お前が黒蚩尤の爺様が育てたメイヨウか。我はアンジェロ。飛龍の弟。大罪人、黒龍王雅鱗の第二子だ」

顔に大きな傷のある屈強な男は低い声ではなす。

その強靭な肉体から発せられる威圧感は、飛龍とは比べものにならない。


「なんだって!お前が、飛龍の兄貴の弟だって!」

メイヨウは、清廉な兄弟弟子とは似つかない強烈な男を睨みつけた。

彼からは、酷い死臭の匂いがした。


「ふん!あんな真面目すぎて、『正論』しか言えない奴は嫌いだ。人は、『正しさ』では、生きていけない。俺は知っている。」


アンジェロは、口の端を歪めて笑う」


「何をだよ!」


「お前は、人の声が味になったり、音や匂いが色になっり、感覚が過敏なんだってな」


「何で知ってるんだよ!」


「その眼鏡や耳の支援器具をつくったのは、俺と飛龍の父親、大罪人の黒龍王、雅麟がりんだからさ!」


アンジェリカの薄ら笑いと言葉を聞き、メイヨウは思い出した。3日前に、メイヨ自身が言っていた言葉を。


『視界に映る色は黒と金。味は辛いを通り越して痛い』


「黒龍王、雅麟が四島に来てるのか!?」


メイヨウは絶叫した。

たしか、黒蚩尤は『覚悟』しろと言っていた。

二人はお互いを憎みあっている。

何が起きるか明白だ!

しかし、黒百合とアンバーをおいてはいけない。

 

そこに背後から、飛龍がやって来た。

「メイヨウ!アンジェロとは私が闘う。

黒蚩尤様の所にお前が行け!」

「わかった!!」

メイヨウは妓楼から飛び出ると飛翔術で茶館にむかった。


「頼む間に合ってくれ!」

四島の上空に、黒と金の濁流のような『色』がみえた。黒と金色の微粒子の渦が空に洪水を起こしていた。


「なんだよ、この空」

余りの視覚からの影響に眩暈がする。それだけ、相手は強い。メイヨウは覇気を視覚して、さらに数値化できる。

ぽーんと、視界の隅には1500%と浮かびあがる。


「凄い強い」


黒蚩尤の言葉が思い出された。

「あの男とあって、『個性』と向き合ってこい」

メイヨウは考える。


自分が使っている、この視覚支援器具も聴覚補助器具も、大罪人の黒龍雅鱗こくりゅうがりんが作ったのだ。

人を助ける物を作れる人物が、罪人と言われると違和感がある。


彼は、100年以上前に戦争を起こした。龍界の古い因習を壊す為、彼は、あらゆる価値観からはみ出た。兄、白龍八潮に恋をして、幽閉するために戦争をおこした。龍界と敵対する鬼界の吸血鬼、ハイドランジェアから高い知性を学ぶため生涯の恋人とした。

「個性とは?正しさとは何だろ?」

メイヨウの口の中に知らない味がした。

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