13.飛龍の帰還 白玉との再会 白玉から飛龍への恋慕
龍界、黒蚩尤の茶館
「黒蚩尤様、ご無沙汰しております。ただいま戻りました。」
何年ぶりの帰郷だろうか、懐かしい茶館は丁寧に手入れがされていた。
庭の牡丹も健在である。
「おかえり、飛龍。まっていたよ」
門扉の後ろに背筋は伸びているが、一回り小さくなった祖父がいた。
心が温かくなる。
「今日は客人が二人いるんだ。」
黒蚩尤が年齢を感じさせるように、ゆっくりと歩き出す。歩みの遅さにに離れていた月日の長さを思い出す。荷物を2階の自室におくと、階下にもどる。客間に茶と菓子と懐かしい煙草の香り。背を向けて座る肉の薄い背中が見える。
「遅いですね。君は人間の犬にでもなったのかい」
「相変わらず口が悪いな。ジェームズ……今は跡目をついで白玉と言うのだな。どちらで呼んでほしい?」
昔は着けていなかった縁なしの眼鏡が
親友の顔を彩っていた。
「今は白玉以外の呼び名以外は無い。文はくれたとしても、君は私を長くほっておきすぎだ。幼名で呼ばせると思っているのですか…隣に来なさい」
白玉が強引に飛龍を隣の席に引っ張る。
すると目の前には百合の花が咲くような清冽な少女が一人座っていて、流れるような動作で優雅におじぎをし床に膝をついた。
その美しさに目を見張る飛龍の口に白玉が、煙草を一つを捩じ込んだ。
昔しから白玉は飛龍が他の者に気を割くの嫌がる。
「いま私が治める妓楼の高級妓女だ。
名は黒百合と言います。
タントラ枢機卿と白龍八潮の取引で、飛龍の弟君のかわりに四島に貸し出されました。」
面倒くさそうに話す白玉が自分の煙草に火をつけて、その煙草の先を飛龍のそれえと重ねていく。
時間を取り戻すように。
黒百合は二人の動作が終わるまで目を伏せて床の上で礼の体制を保ったままだ。
黒百合は白玉の心の底の動きに敏感に察する。
白玉が白龍八潮に辛くあたるのも、四島で冷徹に振る舞うのも、必要以上に飛龍と距離をつめるのも埋めることの出来ない心の寂しさから来るものだ。
「黒百合、席に戻ってかまいません」
黒百合は白玉の指示に静かに従う。
そんな白玉を見て、飛龍は感情を抑えながら言葉を口にする。ずっと恋に焦がれた相手にどれだけの負担をかけたか胸がさけそうになった。
「白玉。今までよく耐えてくれた。
私がお願いしたから、黒龍雅鱗に妻を殺された恨みも、娘を奪われた悲しみも胸のうちに封じて、四島の四玉と権力者を統率して龍界に謀反を企てないようにしてくれたのだろう」
飛龍は白玉と見つめ合う。白玉の銀色の瞳にある熱い感情を読み取るように。
白玉はに重ねた視線をそらす。滲みでる感情を抑えるように上を向く。
「飛龍、貴方のお願いじゃなかったら聞きませんよ。私は貴方も四島も愛していてます。けれど、龍界の王族の横暴が気にいらない。我慢した私を褒めてくださいな」
感情を押し殺した白玉は深く煙草をすって息をはく。紫煙が客間にたちこめる。
「お前の我慢への埋め合わせは用意するよ。先に状況を整理したい、師父お待たせしました。全てをお話しください」
静かに部屋のすみで二人の会話きいていた黒蚩尤が茶席に加わる。彼は囲碁大会での出来事を話し出す。
白玉と飛龍は淡いBLの関係にありましたが、龍界では同性愛は認められず、白玉は飛龍の気持ちに気付きながらも恋心をかくして政略結婚をしています。




