女性を軽視して不幸になったのは誰なのだろう
女性軽視している文章が多いので、不快に思う方は読まないほうがいいと思います。
カーベン・ホーカスは自分の上で腰をふる、女を馬鹿にしていた。
どれだけ好きな相手であっても、体を許すのは結婚してからだと知らないのだろうかと。
婚約者のいる男に色目を使って、目の前で恥じらったふりをしながら服を脱ぐ。
それは本当に簡単に脱いで、俺の体に足を絡ませる。
婚約者のレレミア・アーガスは、手を繋ぐだけでも一苦労する。
前回手を繋いだから、今回も手を繋げると思ったら大間違いなのである。
恥ずかしがってまた一から、口説き落としていかなければならない。
それが面倒な時、つい、手近にたむろっている女に手を出す。
手を出してから言うのも何だが「君に興味はないから、恋人になったつもりや、レレミアになにかしたりしたら、承知しないからな」と酷いことを言って、やることさえ終わってしまえばその場に女を残して出て行ってしまう。
女の子にとっては合意あるレイプになるのではないかとすら思ってしまう。
みずから進んで受け入れたけれど、関係を持った以上、恋人とか、一歩進んだ関係になると思っていた。
しかしカーベンは一度排出した女には興味はなく、こちらに気持ちがない以上、どの女もやはり排出行為という名の行為でしかないと思った。
出すものを出したらスッキリして、それだけだ。
何十人かの女はそれで何も問題は起きなかった。
なのに、今回手を出してしまった、名前も知らない女は、事が終わった後「レレミアに今あったこと、全て話してやる」とわめき出した。
「話したければ、話せばいい。自分の将来を潰して楽しいならそうすればいいんじゃないか?」
そう、言い「あぁ、そういえば君の名前を知らないんだが、名前を教えてもらえるかな?こちらも対応をしなければならないしね」
女は歯噛みして「コンスタンス・ベルベットよ!カーベン様は相手の名前も知らずに体を合わせるの・・・?」
「排出行為に相手の名前は必要ないだろう?」
「排出行為・・・」
屈辱にまみれた醜い顔をさらしていることに気がつかないのか?
「相手に子供ができたらどうするの?!」
「出来ないようにはしているが、万が一出来ても、俺の子とは限らないだろう?簡単に足を開く女は、誰にでも開くものだ」
「私はそんなことはしないわ!!」
「足を開いてから言っても、遅いと思うけど?」
激高した女が言うことは、皆似たりよったりで「誰かに刺されて死んでしまえっ!!」と裸のまま俺の背に向かって言っていた。
ちょっと鬱陶しかったので、俺は最後に振り返り「君も他の女と何も変わらなかったよ」と言って声を上げて笑いながら部屋から出た。
今日の女は外れだった。と思いながら歩いていると、また女が近寄ってくる。
俺のどこがいいのか知らないが、幼少の頃から女の子に囲まれていた。
当時は、お友達が出来たと素直に喜んでいたが、女たちは直ぐに喧嘩して、楽しい時間は愁嘆場になった。
両親は「この子の将来が心配で仕方ないわ」と言って、俺の頬にキスをしてくれた。
もう少し大きくなると、男の友だちができて、女の子たちのことはすぐに忘れた。
男同士でもくだらないことで喧嘩にはなるが「カーベンは僕のものだよ」なんていう喧嘩は起こらなかった。
男同士が楽しい時期の後半になると、メイドが俺のベッドを急襲する事が日常的にあり、俺は美味しくいただいた後、両親に「夜中にメイドがベッドに乗り上がってきた」と告げるとそのメイドはその日の内に屋敷から居なくなっていた。
女の子に目が行くような年頃になると、俺はすでに女に飽きていた。
メイドは俺にまたがり、自分たちが楽しむとあっさりとベッドから降りていく。
父があまりにもメイドが俺の部屋にやってくるので、俺に子が出来ないようにする薬を飲ませるようになった。
女の子が男に興味を持つようになり、十一〜二歳でも、女は女なのだと知った。
メイドとは違うまだ骨が当たる柔らかさのない体は、楽しめなかったが、中に入ろうとすると、痛がり、締め付けが強く気持ち良かった。
まだ成長していない体にも、楽しみ方はあるのだと知った。それからは、取り敢えず、女の子を見かけると、ちらりと視線をやって引き寄せていた。
俺の視線を受けた子は真っ赤になり、数日後には俺の下で、上で、喘いでいた。
女の子たちは恥ずかしげもなく俺の周りを取り巻いていた。
女の子たちにも婚約者がいるだろうに。相手の男を哀れに思っていた。
その頃、俺に興味を示さない女がレレミアだった。
他にも何人か居たが、俺の興味を引いたのはレレミアだけだった。
レレミアは時には一人で本を読んでいたり、時には仲のいい友人達と楽しそうに笑っていて、俺を見ることがなかった。
俺はレレミアが欲しくていろいろ試したが、一向になびいてこなかった。
俺は父に「レレミア・アーガスと婚約できないか」と尋ねた。
少々父にからかわれたが、アーガス家と結婚が出来たら互いに都合のいいことがあったので、父が話を持ちかけたが、アーガス家はレレミアを大事にしていたので、婚約の話には渋った。
父は手を替え、品を替えアーガス侯爵と友人になり、一年の時をかけて婚約が取り結ばれた。
俺は有頂天になり、レレミアを手に入れようとしたけれど、レレミアは俺の思う通りにはならなかった。
手に触れようとすると「まだ早いです」と断られ、頬にキスをしようとして、間にノートを差し挟まれた。
触れたくて仕方ないのに、触れられないために俺はいっそうレレミアにのめり込んだ。
その一方でやってくる女の相手は変わらず続けていた。
俺の周りを見回して、手を付けていない女のほうが少ないのではないかと思うほどだった。
一人、少し毛色の変わった女が俺を取り巻く女の子たちの端っこにいるのに気がついた。
その子に名前を聞くと「フレッタ・シュアリーです」と答えた。
俺はそれ以外何もしなかったが、その子はそれから生傷が絶えなくなった。
いつもどこかに傷を作っていて、あまりに気にかかったので「どうしたのか?」と聞くと、周りにいた女の子たちが気まずい顔をしたために、理由を察した。
「まさかと思うけど、いじめとか嫌がらせとかしてないだろうね?」
誰も返答せず、その後フレッタは怪我をしなくなった。
フレッタは俺に感謝して、涙を浮かべていたが、俺は面倒事を回避しただけだったので「気にしなくていいよ」というと頬を赤らめていた。
フレッタの俺への思いは他の子達とは違うと気がついた。
だから絶対にフレッタにだけは手を出してはいけないとも思っていた。
俺の数少ない友人、エインリッヒ・シュバルツとレイディルーン・ウェイトスもフレッタには手を出すなと言っていた。
あの子はどこかおかしい感じがすると言っていた。
この二人は女には興味がないのか、婚約者だけを特別と扱い、それ以外はメイド並にしか気にかけなかった。
この二人には婚約者を大事にしないと、痛い目を見るぞと言われていたが、俺はレレミアのことはこの世界中の誰よりも好きだったし、大切にしているつもりだった。
その日の授業は男女別で、久しぶりに静かな時間をエインリッヒとレイディルーンと楽しくやっていた。男女別なのに、休憩時間になるとフレッタは俺のもとにやってくる。
俺は「男同士で楽しみたいときもあるから、いつも来られると迷惑だ」と伝えると、目に涙をいっぱい浮かべて「ごめんなさい」と言って、また次の休み時間になるとやって来る。
「さっきも言ったけど、俺の側に来るのやめてくれ」とはっきり言った。にも関わらず、俺に付き纏う。
あまりにも鬱陶しくて、俺はレレミアの側に侍っていた。
そしてこの日、レレミアが「コンスタンス・ベルベットって知っているかしら?」と聞いてきた。
「聞いたことがある名前な気がするが・・・その人が何か?」
「カーベン様と子ができる関係を結んでいると態々私に教えに来てくださったの。それ以外の方々の名前も色々教えていただいたわ。一枚の紙では書ききれずに何枚もの紙に女性の名前が書かれた紙を私にくださったの」
レレミアの表情が無表情で、どう返答するのが正しいのか判断がつかなかった。
「わたくし、多少の遊びは目をつぶるものだと思っていたのですが、父が、限度があると言ってお怒りになってしまわれて、その紙に書かれた方々に確認を取られたようなの。昨日から、父がホーカス家を訪ねていると思うのだけれど、知っていて?」
「ああ・・・」
アーガス侯爵が家に来ていたのは知っていた。
「婚約破棄は決定だそうよ。不誠実な男は、結婚しても不誠実だからと仰っていたわ。わたくし、あなたの顔は好きだったのだけど、普段の行いは好きではなかったので、婚約破棄できたことが嬉しくて。フッフッ」
「嬉しいって・・・」
「カーベン様の有責での婚約解消で話はまとまるそうです。カーベン様、私に関係ないところで、お幸せになってくださいませ。では、わたくし失礼いたしますわね」
「レレミア・・・!!」
振り返ったレレミアはそれはそれは嬉しそうに笑って、教室を出ていった。
学園を早退して家に帰ると、アーガス侯爵が帰るところだった。
「女遊びだけでは物足りず、学園にすらまともに通っていないのかい?」
「今日は特別です。レレミアから婚約解消になると聞いて・・・」
「婚約解消にならないと思うほうがどうかしていると思うが?」
「子供のお遊びですよ?」
「子どもの遊びとは、ちょっと酒場に行ってみるとか、女性の絵画を眺めるとかであって、性行為を不特定多数とすることではない。君ではレレミアを幸せにできないと判明した」
「では本当にレレミアと婚約解消にすると?」
「もう、解消した。君の父親はいい人間だから、仕事の付き合いは続けるが、君の代になったら付き合いができるか解らない。では、失礼するよ」
俺はそのアーガス侯爵が去っていった方を向き、執事が俺を屋敷へと引っ張っていくまで立ち尽くしていた。
レレミアと婚約解消した俺は自暴自棄になった。
メイドを部屋へ呼び入れ、学園でも寄ってくる女は二度目でも手を出した。
相手構わず手を出していると、知らぬ間にフレッタにまで手を出してしまっていた。
フレッタは嬉し涙を浮かべ、その日の夜、荷物を纏めて俺の家にやって来た。
両親に体の関係を持ってしまったこと、もうどこにもお嫁にはいけなくなったこと、両親に家から放り出されたことを俺達に話して、俺の家にいついてしまった。
その日から、メイドが俺の部屋へ行くことを許さず、俺の部屋、俺のベッドを自分の物のように思っている。
眠っていると、俺を起こして上に乗り、腰を振って満足気にしている。
フレッタの両親に何度も話に行ったが「手を出したのはそちらだ」と言って、フレッタを引き取ろうとはしなかった。
学園の中でもフレッタは俺の腕を取り、他の女と話すことも許さなかった。
周りにどんどん女が居なくなっていく。
エインリッヒとレイディルーンは「あの女だけは手を出すなと言っただろう?」と俺を哀れみの目で見た。
俺はフレッタの存在を気にしない女とフレッタの前でイチャつき、フレッタの前でその女と何度も楽しんだ。
俺の部屋には入れないように鍵をつけ、開けられないようにドアに閂も取り付けさせた。
フレッタは俺を罵り、暴力を振るうようになった。
それでも俺は他の女と遊ぶことをやめなかった。
そのうち、俺か、女かどちらかがフレッタに刺されるぞと忠告され「それもいいかもしれない」と俺は疲れた顔で答えた。
父は裁判所へ現状を訴え、フレッタの両親がフレッタを引き取るべきだと申し立てた。
裁判は、どちらもどちらだが、フレッタに、俺に近づかないようにと接近禁止命令が出された。
フレッタは学園をやめることになり、俺の周りはやっと静かになった。
レレミアのことと、フレッタのことがあったので、俺の婚約者は決まらないまま学園を卒業することになった。
俺は騎士団に入団することができて、上へ上がることだけを考えて、訓練に勤しんだ。
ホーカス家は弟に譲り、俺は小さな武功をいくつか上げて、騎士爵をいただいた。
騎士団の食堂で働く俺より二つ年上の「私、出戻りなの」を笑って言えるコレスタを口説き落として、結婚にまでこぎつけた。
学生の頃が嘘のように、遊びをしなくなっていた俺の過去を話しても、受け入れてくれた大事なコレスタだった。
親族だけの小さな結婚式を挙げて、幸せを噛み締めていた。
コレスタが妊娠して、大きなお腹を擦るようになると、仕事を休職して、家で俺の帰りを待つようになった。
コレスタが待つ家へ少しでも早く帰りたくて、走って帰る。
ドアノブに手をかけると、ドアが開いた。
「無用心だから鍵をかけなくちゃ駄目だぞ」と言いながら室内に入ると、そこは血の海だった。
フレッタがコレスタの上に馬乗りになり、何度も何度もナイフを振り下ろしていた。
俺は叫び声を上げ、フレッタに体当りして、コレスタから離し、コレスタを抱きしめたが、コレスタは息をしていなかった。
コレスタは八十九箇所刺されていた。
十箇所を超える頃には息絶えていただろうと。
取り調べでも、裁判中でも、フレッタは笑い狂っていた。
判決は、常軌を逸しての犯行のため、五年間の病院送りとなった。
俺は騎士団を辞め、国を出ることにした。
何カ国も流離って、身を落ち着けたのは小さな国だった。
運良くそこでも騎士団に入団することが出来て、下っ端から頑張っている。
時折、フレッタに似た女を見かける気がする。
気のせいだと思いたいが、コレスタが死んでから六年が経っている。
俺はコレスタが刺されたナイフをよく切れるように今日も研いでいる。
レレミアはレレミアに釣り合った方を今回はきちんと調べた上で、婚約して、その後結婚しています。




