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狂者達の物語  作者: 下南
前日譚※一章を読み終わってから読むこと推奨
2/30

記念回 前日譚② 月を見て望む物

評価、ブックマーク共にありがとうございます。

何事でも快く受け入れ人、そんな人にはなりたくないと思っていた。けれども実際は生まれた時からそうなっていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


私は2xxx年9月15日に組織に拾われた。

親は分からない。…知りたくもない。


私の過ごした組織の名前は『ジャッジメント』。お金さえ貰えるのであれば本当に何でもする組織だ。

暗殺依頼に限っては暗殺対象が殺すに値する人間かを確かめて、値するなら殺し、値しないなら依頼者を殺すっと言った事を行っている。

その中で私が主にやっていた事は暗殺依頼と護衛依頼だ。

本部は月に、支部は全国にあるのだ。

その中で私が住んでいるのは日本兵庫支部の近くにある普通の民家だ。


小学校に入学するまでは戦闘訓練と言った物はなかった。

あったのは座学だ。しかも中学校卒業までの。

私の物覚えの良さに組織の全員が驚いていたのは今でも覚えている。


小学校に入学…いや、幼小中高大一貫校に編入した。因みに、偏差値50の普通の所だ。

家の近くにたまたま学校があって、たまたま一人空いていたのだ。

偶然だよね?

親(変わり)の人が電話で『計画通り』って言ったのは別のことだよね?


学校生活…正直に言おう。思い出なんてものは無い。

人を避け続けて関係を作らずに過ごしたからだ。

思い出は組織での事しかない。


~小学生低学年~


やっていた事は武器の実戦練習と気配探知と気配遮断の練習だ。

それと髪を伸ばし始めた。小学二年生ぐらいのころに短くしろって言われたが、殴っ(説得し)て黙らせた。


~小学校高学年~


ここから私の仕事が始まった。

最初の一か月は護衛だけをしていた。

私が子供だから護衛対象は不審な顔を、襲ってきた人は油断し切った顔をしていた。

襲ってきた人は全員この世から消えてもらったが。


組織の中では私の実力は異常と言われており、私は直ぐに階級を上げられた。

組織には新月、半月、満月の三つの階級があり、満月が一番上で六人しかいなかったが、そこに私が加えられて七人になった。

満月の階級になるとオリジナルの武器を作ってもらうことが出来る。そして作って貰ったのが『八連式リボルバー銃』だ。一応『満月』と言う名前があるが、他の六人の武器も同じ名前なので武器種名で呼んでいる。

武器そのものはオリジナルではなく、弾丸がオリジナルだ。

弾丸に当たるだけでこの世のありとあらゆる病気に感染するのだ。


そして私の暗殺依頼が始まった。

まぁ時々別組織の破壊を依頼される事もあったけど。


私は全ての暗殺を完璧にこなした。

実際の所、弾丸を体のどこかに当てるだけで対象は12時間以内に確実に死ぬのだ。

そして私に付いたあだ名は『白い悪魔』『深紅の悪夢』『動く病原菌』などだ。

そして、組織から直々に与えられた二つ名コードネームが『喰らう者イーター』だ。


私が三年間で受けた依頼は600と少し、そしてそれら全てが完遂である。


~ある日~


「お母さん、おはよう。」

「おはよう、望。」


それは何気ない普通の朝の日常、『お母さん』と私が呼んだ人は実際の親ではない。

普通に朝ご飯を食べて、普通に学校に行く準備して、普通に家を出る。

そう、全てが普通なのだ。


私の通っている学校の女子の制服は三色あり、紺、灰、黒だ。私は灰の制服である。

学校に着けば多くの子達が賑やかに喋っているのが見える。教室も同様だ。

私はその中を全力で気配を消して通り過ぎ、自分の席に着く。

私の席は廊下側から3番目、前から3番目のほぼ真ん中の席だ。

出席を取る時まで気配を消している為、出席確認の時に『いたの?』となるのが普段の日常だ。

授業中は気配を消して、目を開けながら寝たり、テロリストが攻めてきて来た時どうすかの二つしかしていなかった。

そして学校が終われば家に帰る。


此処まではボッチな人の普通だろう。

けれども私は違う。


私は家の前を通り過ぎて別の場所に向かう。そう、組織の支部にだ。


「来たよ~」

「おう、今日も依頼が来てるぞ。」

「OK~どこ?」

「即答か…はいよっと」


私は渡された紙を見る。


「これって依頼人を消すべきだよね?」


そこに書かれていたのは世界の中枢、合計二十六社で構成されている『世界樹』の内の一社『Re』、通称R社、の社長の暗殺だ。

第三次世界大戦後に作られた『世界樹』、その中の二十六社は何らかの技術的特異点を持っているのだ。

R社は『物質再生』の特異点。50gまでならどんな物質でも再生出来るのだ。尚、動植物は例外とする。

因みに、私の銃の弾丸は『スペース社』(通称 S社)と『Medicine』(通称 M社)の特異点を合わせたものだ。

…話が逸れた。R社はリユース、リデュース、リサイクルの3Rを社訓にしているゴミ回収社だ。

特異点を主に使っているにはリユースだけらしいが…


とにかく、R社は表、裏どっちから見ても普通の会社なのだ。


「まぁ一度調べておけ。」

「めんどくさいですね…」


私はそう言いながら奥の部屋に向かう。

その部屋には無数のパソコンが置かれておりそれら全て『Information』(通称 I社)のものだ。

I社の特異点は『情報看破』、I社の技術が使われているコンピューターではこの世の全てを検索する事が出来る。プライバシー何て物は無い。

そんな機械を10台一斉稼働してR社の社長について調べた。I社の技術は数が多ければその分効果が増すのだ。だから10台で行っている。


~3時間後~


「悪い履歴は無しっと。それじゃあ…」


私は依頼主について調べ始める。


「ワオ…」


そしたら大量の悪事のデータが出るわけで…

私の意思は直ぐに固まった為部屋を出る。


「おっ、行くのか?」

「うん。ところで…他の人は?」

「本部だ。今日は定期報告日だからな。」

「そう言えばそうだったね。まぁ、元から本部に寄っていかないとダメだからね。」


私はそう言い近くのエレベーターっぽい物に入り込む、勿論月に行くためのものだ。

使われているのは『Warp社』(通称 W社)の特異点『転移』だ。

これを使えば何処にでも直ぐに行けるのだ。


「…毎度の事ながら月に来た実感がない。」


風景もそうだが、重力も変わっていないのだ。

月の重力は地球の六分の一と言われているが、本部の中だけは例外である。勿論特異点、『Gravity社』(通称 G社)の特異点『重力操作』だ。

本部の中を本来の重力の六倍にして地球と同じにしているのだ。


「来たよ、リーダー。」

「おっ、来たか。報告する事なんてないから、あの依頼をやるんだな?」

「うん。()るのは依頼者だから。」

「分かった。それじゃあこれ、終わったら報告よろしく。」


リーダーは私に私の通信機(壊れていたから直してもらっていた)を渡してそう言ったら何処かに歩いて行った。


「行きますか…」


月の滞在時間1分未満、私はエレベーターに乗り込む。行先は濠太剌利国。日本との時差は1時間だ。

ここはオーストラリアメイトランド支部…何で依頼人はこの付近にいるんだろうね?取り敢えず出会ったら顔面に一発パンチを入れておこう。

私は誰にも気付かれない様に支部を出る。


「現在時刻日国時間で十九時、濠太剌利黒時間で十八時…少なくても二時間は空きがある。」


まぁ標的を探すだけで二時間何てあっという間にきえるが。


~三時間後~


「やっと見つけた…」


探し続けて三時間やっと標的を見つけた。

場所は路地裏、監視カメラ及び人の気配はない。


(後は殴って、一発撃てば終わり。)


私は堂々と、気配を隠さず正面から近づいていく。

距離は十メートル、この時点で警戒をしていない時点で私の勝ちだ。


「ん?どうしたんだい君?」

「いえ……ちょっと…」

「…?まさk」

「遅い…」


私の拳が標的に突き刺さる。

うん。スッキリ。

一応注釈、日本語じゃなくて英語で喋っているよ。


そして私は右袖から『八連式リボルバー銃』を抜き取り標的の額に照準を定める。


「ぐぅ…あっ…⁉ま、待て、私は善良な一般市民だぞ。だからそんなものを向けるな!!」

「…」


私はゆっくりと銃を下ろしていく。標的の顔が段々と安心の顔になっていく。

そして完全に安心しきった顔になった瞬間に腹部目掛けて発砲。

距離が近すぎるため避ける事は不可能。無事に標的の腹部に命中した。一瞬で絶望の顔になるのは中々に見物だった。

それじゃあこの言葉で〆よう。


「チェックメイト。」


標的は直ぐに立ち上がり腹部を押さえて何処かへ向けて走り出すが…


「言いましたよ。『チェックメイト』と。」


標的は突然倒れこむ。疑問の顔を向けてくるので説明しよう。


「まず最初に『後天性免疫不全症候群』、そこからは病気のオンパレードですよ。『インフルエンザ』『コロナウイルス』『結核』『梅毒』『黄熱病』『黒死病』『エボラ出血熱』etc…フフッ、潜伏期間何て物はありませんよ。即発症です。」


私は近づきながら満面の笑みで言った。


~十分後~


「あら、死んでしまいましたか。脆いですね。」


M社の技術で作られた病気は空気感染する事はなく、病原菌自体十二時間で死滅するのだ。

言ってしまえばこの弾丸は超安全な生物兵器である。


私は通信機を取り出し、


「終わりましたよ、遺体回収はお願いします。」

『了解、任務ご苦労だった。』



~日国に帰還~


「やっと帰れる~」


現在時刻日国時間で二十二時三十分だ。良い子は皆寝ている時間である。

今日は満月。私の階級と同じだ。

月は常に同じ面を地球に向けている。それこそ人が表面しか見せないように。

普通の時と仕事をしている時、どっちが表の私なのだろうか...それとも、どちらも違うのだろうか...

月を見ながらそんな事を思った。


「急ごう」


支部に戻って色々としないといけない事がある。

駆け出したを同時に、


『ガガッ…おい望、遺体が無いんだが…』


突然そんな連絡が通信機から聞こえてきた。


「ちゃんと道のど真ん中に放置しましたよ?」

『けど無いんだよ。血痕ごとな。』

「…謎でツッ!!」


突然背中にスタンガンを当てられ地面に倒れた。


『ガガ………どうした?……応答しろ………【喰らう者(イーター)】!』


何でここだけコードネームで呼んだんだろうね。

あ、この後は皆さんのご存知の通りですよ。

読んでくれてありがとうございます。

良ければ感想、評価をしてくれると嬉しいです。

あと誤字脱字報告もあればお願いします。

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