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気づいたら俺はそこに居た。
そこは白い地面、空が果てしなく広がっており他には何もない。
ドラゴ○ボールの精神と時の部屋の様な感じだ。
「単刀直入に言います。あなたは死にました。」
中性的な無機質な声が何処からか聞こえた。
「え?お、俺ですか?」
突然のことに理解が追い付かない。
「はい。あなたにはこれから異世界に」
「ちょっと待ってください!あなたは誰ですか?俺が死んだってどう言うことですか?」
「私は″神″です。...面倒なのであなたの脳に直接情報をインプットしますね。」
「え?」
そこで俺の意識は暗転する。
「ここは...?」
気がつくと俺は小屋の中で寝そべっていた。
俺は起きあがり、小屋の外にでる。
小屋を中心とした半径約10mは雑草が生い茂り、それ以降は木々が生えている。
そして僅かだが小屋の正面から波の音も聞こえる。
俺は頭に入れられた情報の真偽を確かめるため後ろの方角を見る。
巨大な怪鳥や山のような大きさの犬、そして明らかに異質な足。巨大すぎて足より上が雲に隠れて見えない。
...今のところ″神″に与えられた情報に間違いはなさそうだ。
俺は小屋に戻り無造作に積まれた何の肉で出来てるか分からない干し肉を食べながら思考する。
″神″から与えられた情報をまとめよう。どうやらこの場所はこの世界で一番危険な大陸らしい。
ここはその中では一番安全な海岸部だ。島の中心に近づくほど危険度は増していく。
他の大陸で繁栄している人類は幾度となくこの大陸を征服しようとしたらしいがことごとく失敗していたようだ。
この大陸には犠牲を払ってでも手に入れたい″何か″があるのだろうか。
そしてこの体はどうやら俺の体では無いらしい。ナラスと言う男の体なんだそうだ。他人の体だと言うわりには違和感なく動けるが何故だろうか。
ナラスと言う男は力に貪欲で、いずれは神の力をも奪ってしまうと危惧した神々がナラスの魂が異界に行っている内に魂の強度が高いらしい俺の魂をこの体に入れたんだそうだ。
「はぁ...」
一息ついたら不意に疑問が出てくる。
「あれ...俺の名前って何だっけ」
″神″に無理やり記憶を植え付けられたせいで少々記憶が飛んでいるのかも。確か俺の名前は...
黒川...だっけ?
「グオォォォォォォ!!!」
魔獣の声...!
急いで小屋の外に出る。
小屋を出て右方に10mほどの所に15mは有ろうかという熊がいた。
「でけぇ!!」
熊は雑草と木々の狭間にある見えない壁を破壊しようと叩いている。
「これがナラスが自分の脱け殻を守るために張ったて言う結界か...!」
熊の後方は木々がなぎ倒され
一つの道になっていた。
一直線でここまで向かってきたようだ。
そもそも何で熊がここに来たんだ?
神々に恐れられるようなナラスが貼ったって言う結界なら信用出来そうだが...鬱陶しいし追い払ってやるか!!
俺は熊に近づいて行く。
「...こえぇな」
熊の正面に立つ。
真下から見るとその巨大さが良く分かる。
俺は意を決して熊の足を力を込めて殴る。
鈍い音が鳴り熊が数cm退いた。それだけだ。
「あれ?」
どういうことだ?確かにあの巨体を数cmでも動かせたのは凄いけどダメージなんて全く無さそうだ。
何故ダメージが入らないんだ?ナラスは身体能力はそんなに高くないのか?それとも何か別の要因があるのか...
下を向き思考に耽ていると突然熊の鳴き声と壁を叩く音が止んだ。
怪訝に思い前を見ると、熊が黒い液体に飲み込まれていた。
「...ッ!!」
なんだあの液体は!!生物なのか?
あっという間に熊を補食した″それ″は目の前の透明な壁を通ることができないことを理解すると何処かに去っていった。
...もしかしてあの熊はあいつから逃げていたのか?
「あ」
そういえばステータスを見てなかったな。
そう。この世界にはステータスと言うものが存在している。
それを見れば俺が熊にダメージを与えられなかった理由が分かるかも知れない。
「ステータスオープン」
黒川 蒼
Lv 1/3500
HP 500/500
Mp 200/200
攻撃力 10+30
防御力 10+40
速度 10+30
魔法力 8+0
スキル
無し
特殊スキル
筋力解放
筋力開放率 0.1%




