#96 私の自慢の。
修学旅行の日は、だんだんと迫ってきていた
『あ!ねぇ!!このタオル可愛くない?!』
学校の帰り、優弥は千秋、静香と一緒に修学旅行の持ち物で足りないものを買いに来ていた
「いや、それよりこっちの方が」
「先輩?!」
千秋の言葉を遮って遠くから叫び声が聞こえた
見てみるとそこにいたのはけんけんだった
けんけんが近寄ってきたと思うと千秋はいきなりけんけんの前に立った
「おいコラてめぇ。今喋ってたのがわかんねぇのかよ」
いきなり怒り出したので静香が必死に止めていた
けんけんは必死に謝っている
「えぇぇ?!すみません、・・・あ!そうだ。優弥先輩!」
『?・・・何?』
けんけんは急に寂しそうな顔になった
「修学旅行・・・行くんですよね?・・・3日間もいないんです・・・よね?」
『そうだけど・・・。どうしたの?!私の夫のように』
するとけんけんはいきなり優弥の肩をがしっとつかんだ
「いいですか?!先輩!決して奏太先輩とラブラブしちゃ駄目ですよ!半径1m以内には近づかないでください!!」
『えぇぇ?!何そ・・・ぐえっ』
急に優弥の首に何者かの腕がきて、けんけんと引き離された
『く・・・苦しっ・・・誰?!』
優弥が必死に振り向くと、そこにいたのは奏太だった。その後ろに竜と叶もいる。
「けんけん、お前はコイツの保護者か」
優弥の首を絞める腕の力が更に強くなっていた
『く、苦しい苦しい!!離しっ・・・だから苦しっ・・・離せっ!もしもーし?!ちょっと、聞いてる?!』
優弥が抵抗するが、奏太は聞こえないフリをしていた
「やっ、やめてください!!優弥先輩が苦しそうですよ!!」
けんけんが優弥と奏太を無理矢理引き離した
『ふぃ~・・・死ぬかと思った』
「もう!これだから心配なんですよ!やっぱり半径1m以内には・・・」
けんけんの話の途中で止まった
奏太が急に優弥の方を向いたからだ
「へーぇ。じゃぁ、けんけんの言う通り、半径1m以内には近づかないようにするか」
『えぇぇぇぇ?!そんなの嫌!!・・・・・・あ』
つい優弥の口から本音がでてしまった
奏太はそのまま無表情で店から出て行った
けんけんが、急に俯く。
「やっぱり・・・奏太先輩には敵いません」
優弥はそんなけんけんにデコピンを一発。
「痛っ!」
『当たり前じゃん!奏太は私の自慢の彼氏だもん!』
けんけんは珍しそうに優弥を見た
「・・・先輩、変わりましたね。内面的に」
『えぇぇぇ?!やっぱそう思う?!』