#92 新学期。
ふと気付くと優弥は、学校の中にいた。
何がなんだか分らないが、自分はしゃがみこんで泣いているようだった。
優弥はこの場面を知っている。
『これ・・・バレンタインの時の私・・・・?』
何がどうなっているのか分らない
何故自分は学校にいるのだろうか?
何も、思い出せない。
ふと、向こうから誰かがやってきた
『・・・誰?』
それは、奏太だった。
奏太は近づいてきて優弥の前でしゃがみこみ、寂しそうな顔でこちらを見つめていた
「・・・・ごめん」
『奏太!!!』
気が付くと、優弥はベッドの上にいた。
『・・・夢?』
時計を見てみる。朝の6時だった
『あれ・・・?私いつの間にベッドに・・・』
優弥は昨日あった出来事を途中から全く覚えていなかった
真実は、奏太がベッドまで運んでねかせ、現在に至る。
ケータイで日付とメールを確認。
『今日からまた学校か』
短かった春休みは昨日で終わり、今日からはまた新学期。
そして優弥達は3年生。
とはいってもクラス替えが無いので実感が無い生徒も少なくはない。
優弥はベッドから降りて学校へ向かう準備を始めた。
学校で始業式が行われた。
去年より先生が1人、2人ほど減っている。なにかとうるさかった体育教師がいない。他の学校へ移るのだろう。
校長先生の長い話を聞き、教室に戻ってもまた新しい女の担任の長い話を聞いて話は突然修学旅行の班についてと変わった。
先生は、ずっとケータイをいじっていた千秋に班決めのくじをつくるよう頼むが千秋と先生との言い争いが始まってしまった。
優弥はそんな千秋にひっそりとメールを送る。
内容は「どうせならくじに細工でもしてやれ」ということ。
千秋はそのメールを見て先生との言い争いをやめ、黙々とくじをつくり始めた
教卓の上にたくさんの紙切れが置かれた
「暇な奴からくじ引きに来い」
千秋のなんとも適当な掛け声のせいで一斉にたくさんの人々がきてしまい、先生の指導により1列に並ばされてしまった
千秋は優弥、奏太、竜、静香、カナが来た時だけ先生にばれないようにくじを手渡した。
「ふん!ばーか、私にくじなんか作らせるからだよ!」
千秋は窓の外を見ている先生に対して舌を突き出した
その後、千秋の細工により優弥、千秋、静香、奏太、竜、カナで同じ班になったということはいうまでもない。