#83 割り込む・・・?
悠希と一緒に図書室へと向かってきている奏太を見て、優弥は思わず呟いた。
『奏太・・・』
「・・・もう帰りますね」
けんけんは静かに微笑んで図書室から出て行ってしまった。
『あ!ちょ、けんけ・・』
そんなことをしている間に奏太と悠希は図書室に入って来た。
思わず優弥は本棚の影に隠れる。
「ごめんね、奏太君。こんなところに呼び出して」
「・・・別に」
悠希と奏太の声がはっきりと聞こえる。
「えと・・・昨日の返事、聞きたくて」
(返事・・・?やっぱり品浜さん昨日告白したんだ・・・)
『・・・・』
ふと、優弥は千秋の言葉を思い出した。
"んなもん、その2人に突っ込んで行って割り込めばいいじゃん"
『そんなこと、出来るわけない・・・』
そんな言葉が、頭に繰り返し流れてくる。
『でもっ・・・』
気付いた時には優弥はそこら辺にあった本を投げつけていた
『あ・・・』
本は2人の間をすり抜け、壁に当たって落下した
「何?!」
「?」
驚いた2人は、優弥に気付く。
優弥は手を強く握り締めた。
(大丈夫。奏太を信じるんだもん・・・)
心の中で何度もそう言い聞かせ、優弥は静かに口を開き、喋り始める。
『・・・私じゃもう・・・だめなの?』
わかっている。全部、悪いのは自分だ。
奏太を信じないで、あんなたった1枚の写真で奏太との関係もこんな事になってしまって。
「・・・・・お前気付いてないのかよ」
奏太からは、よく分らない返事が返ってきた
『へ・・・?』
「優弥、コイツの手押さえとけ」
奏太が悠希を指さした。
久々に奏太に呼ばれたという感動に浸る暇はなく、優弥は指示通りに悠希の後ろにまわって悠希の両手をつかんだ。
『・・・・・つかんだよ・・・?』
「ちょ・・・何?!」
悠希が抵抗するので優弥は力を強めた。
『・・・何するの・・・?』
優弥と悠希の声など聞こえないかの様に、奏太が悠希に近づいて制服のボタン一つ一つ、外していった。
「ちょ・・・奏太君?!」
『奏太!!何してんの!!』
そんな2人の言葉は無視して、奏太は次々とボタンを外していく
「・・・」
制服のボタンが全て外されると、奏太は悠希のシャツを思い切り捲り上げた
『ちょっと、奏っ・・・・・・』
優弥が目にした悠希の上半身は、全く凹凸の無い体だった。
それはまるで、男の子―・・・。